一般心理学:発達心理学 (46)

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IRM

IRMとは、テインバーゲン,Nにより提唱されたエソロジーの中心概念。環境のある刺激により、系統発生的に種に固有の行動パターンが活性化される、生活体の生理学的仕組みのこと。例えば、トビウオの縄張り行動では赤い腹部に対して攻撃行動が解発されたり、アヒルやカモなどの刻印づけでは後追い行動が解発されたりするもので、一定の環境のもとでの学習を必要としない行動の発現である。子育てにおいても、赤ん坊らしさという幼児図式が、世話をしてやりたくなるといった反応を引き起こしたりするものとなっている。

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アタッチメント

アタッチメントとは、ボウルビイ,Jにより、「人間(動物)が特定の個体に対して持つ情愛的絆」を表すものとして提唱されたもので、愛着と訳されている。乳児は、自己の発信行動に対してタイミング良く反応してくれる成人に対して愛着を形成し、様々な不安を低減させるのに利用し、その対象となる成人を安全基地として探索活動をしはじめる。離乳・歩行・自立の基礎となるもので、エインズワースらは、ストレインジ・シチュエーションによりそのパターンを測定しているのである。

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依存性

依存性とは、一般に、心理的・身体的安定の為に、他者や事物への接近・同一化などを求める性質を表す。発達心理学では、子の親に対する依存を意味することが多く、愛情や栄養など様々な心理物理的対象に対する動機づけとしての依存欲求と、それを実現する接近や接触などの依存行動が含まれる。また臨床心理学的には、ホーナイの対人的病的依存症、様々な嗜癖、薬物依存などの症状を示すもの。

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刻印づけ

刻印づけとは、ニワトリ・アヒル・カモなど、孵化直後に開眼・歩行可能な鳥類が、孵化後のある臨界期に目にした「動くもの」に対して示す後追い反応のこと。K,ローレンツにより報告されたもので、臨界期(敏感期)があり、練習・経験が不要。無報酬性で、不可逆的な学習であり、性的刻印づけも見られる。この現象が、親子の相互認知、愛着の形成とも深く関係するものと考えられるのである。

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心の理論

心の理論とは、心の性質いついての素朴理論のこと。プレマックらの霊長類の研究で、チンパンジーが、他の仲間の心的状態を推測した行動を取っていることから、人間との違いを見るのに提唱された倫理。80年代以降、発達心理学・障害児心理学・人工知能論などで広く研究されている。ウェルマンによると、2歳と3歳の間に飛躍があり、3歳になり初めて、行為者の信念や欲求といった心の表象的な働きを考えることができるようになり、4歳では自分と他者では異なる信念を持っていることを考慮できるようになる。それに対し、自閉症の子供では、こういった心の理論の欠如が指摘されているのである。

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コンピテンス

コンピテンスとは、言語心理学や認知心理学では、深層構造にある言語能力といった潜在能力を示すものであり、発達心理学では、人にすでに備わっている潜在能力と、環境に能動的に働きかけての自らの有能さを追及しようとする動機づけを、一体のものとして捉える力動的な概念を指すもの。特に、ホワイト,R.W.は、この動機づけの性質をエフェクタンスという用語で記述し、発達を促進させるものは、自己の活動の結果、環境に変化をもたらすことができたという効力感であるとした。

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視覚的断崖

視覚的断崖とは、乳児や動物の奥行き知覚の研究の為、ギブソン,E.J.らにより考え出された実験装置及びその知覚的状況のこと。台の半分を透明ガラスにした状態で、台の地柄と、ガラスを通して見える地柄が、勾配をなすようにしておき、奥行きを知覚してガラスの手前で止まるかどうかをテストするもの。ニワトリでは生後24時間以内で、乳児では6ヶ月で獲得されると言われているが、歩行器など自発的な運動経験の有無により左右されるものである。また、心拍数の変化から、生後2ヶ月から深さに注目していることが分かっている。

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ストレンジ・シチュエーション法

ストレンジ・シチュエーション法とは、ボウルビィの愛着理論に基づき、60年代以降、エインズワース,M.D.S.により開発された母子関係に関する実験観察法のこと。新奇な実験室において、母子同室場面、見知らぬ女性の入室場面、母親の外出・見知らぬ女性との同室場面、母親との再会場面などを経験させる。その状況において、新奇さ、母親との再会にも無関心な回避的行動を示す不安定な愛着のAタイプ、母親を求めて感情的な行動を取り母親との再会で落ち着く安定した愛着のBタイプ、いつまでも機嫌が直らない不安定な愛着のCタイプなどがある。

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成熟

成熟とは、身体的にも精神的にも完全な発達にいたることを可能にする、生物・心理・社会的な過程の全体のこと。心理学的には、学習という概念と対概念を形成。学習では、有機体が生存している環境からの情報を自己の内部に取り込むことにより形質を 発現させていく。それに対し成熟では、環境と全く無関係に発達が進行する。成熟的な変化は、ある一定の時期という制約の中で、環境あるいは経験的要因の影響を受け、単純に「遺伝」と「環境」というように分けることができないもの。

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社会化

社会化とは、個人がある社会の中に所属し、適応的に行動できるように、知識・価値・言語・社会的技能・知能を獲得していく過程のこと。その前提には、個人の周囲に親・教師・近隣者といった重要な文化・制度のエージェント(担い手)がいて、賞罰などの強化、条件付け、同一化、モデリングの諸契機となることが必要。ミード,M.の文化化は、これと類似する概念で、社会に特有の役割取得に重点を置いたものとなる。対極には、個人がそれぞれ特異な特性・能力・行動様式を発揮していく個性化概念があり、社会化とともにバランスを持って発達していくことが求められているのである。

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シェマ(シェム)

シェマ(シェム)とは、ピアジェ,J.の用語で、人間が環境に適応していく中で体制化される、認知システムを構成する諸要素のこと。発達初期においては、吸啜反射・把握反射などの感覚運動的や生得的反射のシェマが中心であり、同化と調節を繰り返すうちに、シェマの分化・協応・内面化が生じ、表象的シェマが形成されるようになり、より複雑な行動・認知が必要となる。具体的操作期になると、行為の意識化が進み、対象に対する操作の可逆性・保存性の理解とともに知的理解の構造化か高次化されていく。

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社会的参照

社会的参照とは、他者への問い合わせとも言う。乳児期における情動的やり取りは情報としての価値を持っており、1歳前後では、行動決定に迷うような曖昧な状況では、大人の表情を手がかりにして承認を求めた上で行動化するということ。自我発達の初期において、そのような周囲の大人は、一般化された他者と区別され、重要な他者(意味ある他者)と呼ばれているのである。

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初期学習

初期学習とは、個体発生期に生じる学習で、初期経験とも呼ばれるもの。哺乳類の場合、受精から離乳期にあたるもので、個体の様々な経験の中で、後の発達に大きな影響を与え、ある臨界期における、永続性のある学習となるものである。早成性の鳥類では、ローレンツによるインプリティングの現象があり、ハーロウによるアカゲザルの実験では隔離保育された乳児は、大人になるまで情動的な不安定を示すなど、人の乳児では、愛着形成、言語習得、社会性の発達に重要な要素となる。

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生涯発達心理学

従来の発達心理学は、乳幼児・児童・青年を対象として、身体的・ 精神的・社会的成長に伴う変化を見ることを目的としていたのに対し、 中年期・老年期まで広げて、認知的にも学的知だけでなく生活知の あり方として多面的知能の面から、生活史・伝記的要素も取り入れて 個人特異的要因を考慮した多面的な人間理解を行うとするものが、 生涯発達心理学である。発達の方向性も、成長・獲得と衰退・喪失 といった二面性、可塑性とその限界、普遍的発達と社会文化・ 歴史的文脈の要因などを持つため、学際的要素が強いものと なっているのである。

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生理的早産

生理的早産とは、ポルトマン,Aによる概念で、一般的に小型動物は出生時に未熟で動き回れない就巣性のものが多く、大型動物は出生時によく成熟していて自力で動ける離巣性のものが多いのである。しかし大型動物である人間の場合、感覚器はよく発達しているのに対し、運動能力が未熟な状態で生まれてくる為、二次的就巣性をもつとされている。人間が二次的就巣性をもつ理由としては、本来21ヶ月で誕生すべきところが、直立歩行による骨盤の矮小化いよって、胎児の身体的成長に限界がある為、大脳の発達を優先させて10ヶ月で誕生することがあげられ、これに因んで生理的早産と呼んでいる。

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漸成説

漸成説とは、後成説とも言われるもので、生体の形態や構造の発生について前成説と対になる概念のこと。古くは、潜在的発生能力を持つ可能態が、外的力により完態になるというアリストテレスの考え方に遡るものでもあり、特に近代発生学の中で、胚の分化や複雑な発達の基本原理として発達。心理学的には、エリクソン,E.H.が、ライフ サイクルの中で、人間の心理社会的発達は8つの危機的段階を経ながら漸成発達していくものとしているのである。

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同化

同化とは、ピアジェ,Jの認知発達理論の中心概念で、生物学的理論に基づく、生体が環境に適応していく為の不変的な機能のこと。環境を既存の自己のシェマや構造の中に取り入れるプロセス。同化と調節は、相補的に働き合って、より複雑なシェマが形成されていくのである。

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調節

調節とは、ピアジェ,J.の認知発達理論の中心的概念で、生物学的理論に基づく、生体が環境に適応していく為の不変的な機能のこと。自己のシェマを環境に合わせて修正していくプロセス。同化と調節は、相補的に働き合って、より複雑なシェマが形成されていくのである。

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発生的認識論

発生的認識論とは、ピアジェ,Jが体系化したもので、知識を、その歴史的・社会発生、またその知識の基礎である概念や操作の心理的起源に基づいて説明しようとするものである。形式的分析及び発生的方法により、認識の系統発生/個体発生に対応して、歴史批判的方法による科学史の再構成と、心理発生的方法によって子供の認識の発達過程の再構成と平行関係を明らかにしようとした。

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発達加速現象

発達加速現象とは、世代が新しくなるにつれて、身体的発達が促進される現象のこと。身長・体重・胸囲などの量的側面の加速化という成長加速現象と、初潮・精通など性的成熟、乳歯・永久歯の初歯・生歯完了といった質的変化の早期化という成熟前傾現象がある。これらの要因としては、栄養状態の改善、生活様式の欧米化による影響、都市化に伴う種々の刺激の視床下部・自律神経系への影響や婚姻圏の拡大による異型接合による効果などが挙げられている。

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発達課題

発達課題とは、ハヴィカースト,R.J.により提唱された概念で、人が発達過程のそれぞれの段階で達成すべき課題のことである。身体の成熟などの生物学的課題、個人的な認知・価値判断など精神的課題、しつけなどの社会文化的課題などが含まれている。社会的にも精神的にも、健全かつ幸福に生きていく為の条件として、それらをひとつひとつ達成していくことが必要。エリクソン,E.H.は、ライフサイクルの8段階で、それぞれ信頼性・自律性・自主性・勤勉性・同一性・親密さ・生産性・統合性といった危機的発達課題を提出している。

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野生児研究

野生児研究とは、発達の初期において、人間的環境と切り離された環境で育った子供に関する研究のこと。近代西欧思想の中で、文明と自然、人間と動物、大人と子供、生得性、と後天性、本性と教育可能性といった点から検討され続けてきたもの。迷子や遺棄により、動物と一緒に、あるいは自力で野生生活を送った子供(アヴェロンの野生児、アスラとカマラ)や、隔離されて育てられた子供(カスパー・ハウザー)などが著名であるが、近年では児童虐待などによる母性剥奪、貧困など社会問題的な文化剥奪が問題となっており、いずれも、発達における初期経験の重要性を表すものとなっている。

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ライフサイクル論

ライフサイクル論とは、生物個体に見られる、生まれ、成長・成熟し、老いて死ぬという時間の進行に伴った規則的な変化、もしくはその期間のことで、生活周期と訳す生物学の用語のこと。エクリソン,E.H.は、対人関係的で心理社会的な活動の基礎となる心理特性という観点から、人間の8つの発達段階を記述する用語として使用。また彼は、各発達段階には分岐となるような危機があると提唱するとともに、それ自身完結しようとする傾向と世代連鎖の一環を形作ろうとするふたつのサイクルの重なりに注目し、発達の意味を探ろうとしたのである。

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レディネス

レディネスとは、学習の成立にとって必要な、個体の発達的素地、心身の準備性のこと。成熟的要因と学習的要因の両者が関与している。学習の適時性というゲゼルの成熟優位説では、加齢によるレディネスの自然な成立を待つ「待ちの教育」が強かったが、最近では形成的レディネスの観点から、教育の力でレディネスそのものを作っていこうとする積極的な教育に変わってきているのである。

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感覚運動期

感覚運動期とは、発達段階(乳児期)においての用語で、生後2歳位までの時期を指し、反射的行動から象徴的思考へと、認知の基礎となる感覚運動的シェマを形成していく時期のこと。この時期の認知発達は、対象物の永続性の獲得であり、6段階に分けられる。第1は、生得的反射、第2は第1次循環反応(快行動の反復)、第3は第2次循環反応(目と手の協応)、第4は2次的シェマの協応(手段―目的の分化)、第5は第3次循環反応 (能動的探索)、第6は象徴的表象(心像・洞察)の段階となる。

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循環反応

循環反応とは、発達段階(幼児期)においての用語で、ピアジェが生物学から借りてきた言葉。「吸う」「たたく」といった感覚運動的活動の反復を表すもので、ある欲求のもとに既存のシェマを修正・調節する働きを持つものである。第1次循環反応は、生後3、4ヶ月までで、「指吸い」のように自分の身体に限定されたものであり、第2次循環反応は、シーツを引っ張るというように、物との関係において目と手の協応が成立するようになる。生後1歳頃からの第3次循環反応は、物を落とす場合でも、試行錯誤的に、音の響きを楽しむというように、能動的・実験的関わりを見せるようになる。

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エントレインメント

エントレインメントとは、発達段階(乳児期)においての用語で、乳児期の母子相互の働きかけを指すもの。この時期の最も基本的なやり取りであり、このような情緒的共生の段階を経て、自己の情動的核(エムディ)を形成し、自律的自己に移行していくものである。乳児の様々な欲求は、情動浸透的に母親に伝わり、母親は、乳児の情動表出に対して調子を合わせるという情動調律(スターン)により、適切な応答を示すことになる。

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内的ワーキングモデル

内的ワーキングモデルとは、発達段階(乳児期)においての用語で、発達初期の、養育者との関係の中で形成される認知的枠組、スキーマのこと。具体的には、親との相互交流の経験から、自分の要求に親がよく応じてくれたかどうかをもとに形成、依存対象の特徴や対人状況のパターンや世界との関わり方についてのビジョン。乳幼児の精神分析から発展してきた考え方で、安定型・不安型(両価型、回避型、混乱型)に分かれ、世代間伝達することが指摘されている。

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母性剥奪

母性剥奪とは、発達段階(乳児期)においての用語で、発達初期に母親もしくは、養育者からの世話や情愛的刺激を喪失している状態のこと。従来、スピッツらのホスピタリズム研究で指摘されていた母子分離・母子剥奪の問題は、50年代にボウルヴィ,Jにより、母親の養育態度における母性の喪失の問題に一般化・体系化されて、愛着理論とともに、母性神話の一端を担うものとなった。これは、発達における初期経験の重要さを支持するものであり、マザリング・ペアレンティングなど文化社会的に規定される育児態度でもあり、父親の役割も含めて多面的なアプローチが必要とされる問題になっている。

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自己中心性

自己中心性とは、発達段階(幼児期)においての用語で、ピアジェ,Jは、物事の一面にのみ注意を集中し、同時に他の面に注意を向けることが難しいことを「中心化」と呼び、特に前操作期の子供の認知的制約を示す特徴として「自己中心性」と呼んだ。幼児においては、自他が未分化な為、自分の視点や経験を中心にして物事を捉え、他人の視点に立ったり、自他の経験を相対化したり、自他の相互関係を捉えて判断することが難しいことを表す。発達の方向性は、自己中心性からの離脱・社会化にあり、柔軟な姿勢をとれるようになること。

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人工論

人工論とは、発達段階(幼児期)においての用語で、7~8歳までの前因果的思考のひとつである。因果的思考には発達差があり、第1段階は、主観的な思考の段階で、魔術的(言葉には力がある)・動機論的(夢は悪い事をしたから神が送ってよこした)な考え方、第2段階ではアニミズム的(太陽は生きているから動く)・人工論的(太陽は誰かが作ったものだ)な考え方が優勢となっている。11~12歳頃までには、客観的で合理的な思考が生じてくるとされている。

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前操作期

前操作期とは、発達段階(幼児期)においての用語で、ピアジェ,Jの認知発達の第2段階で、1歳半から6~7歳にかけての時期のこと。その特徴は、イメージや言語的な象徴化が可能になるとともに、対象の永続性を獲得していくが、他者の視点に立つことができない自己中心的、周囲の知覚的影響、アニミズム的世界観に拘束されていて、物事の全体としての理解・分類・系列化の操作が不十分であるという点にある。大きく分けて、4歳ぐらいまでの象徴的・前概念的思考の段階と、後半の直観的思考の段階に分けられる。

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相貌的知覚

相貌的知覚とは、発達段階(幼児期)においての用語で、ウェルナー,Hが提唱したもの。幼児・未開人・精神病者に顕著に見られる概念であり、アニミズム心性の表れである。彼らの知覚の基本的・原始的な傾向として、外界の世界を、人と共通した表情・運動を持つ世界・対象として知覚する特徴を持っており、運動情動的態度が強く、非生物に対しても生命力のあるものとして知覚する。それに対し、大人・近代人・健常者においては、客観的・幾何学的・技術的知覚が支配的となっているのである。

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第1反抗期

第1反抗期とは、発達段階(幼児期)においての用語で、周囲の環境に対する反抗が著しくなる時期で、幼児期における、自我の芽生えとも考えられるもの。乳児期の、母親を中心とした共生的関係から、2~3歳にかけての自律への第一歩。自分には独自の意思や感情があり、親とは異なる存在であるという意識が強くなり、親が何を言っても拒否したり反対の事をしたり、わざと悪い事をしたりするようになる。発達の力の表れでもあり、この時期の欠如が、将来的に意思薄弱・自己の弱さといった形で、思春期に問題になることが多いのである。

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ギャング・エイジ

ギャング・エイジとは、発達段階(児童期)においての用語で、児童期の中期から後期にかけて、遊びを中心にして形成される凝集性の高い集団のことである。4~5人から8人程度の同性の集団成員からなり、きわめて閉鎖性が高い。役割分担、成員だけに通じる約束やルールが存在し、この中で「われわれ意識」が形成される。後の青年期において 親友を形成する基盤となるものであり、また社会的知識や技能を獲得する機会を提供するものでもある。

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具体的操作期

具体的操作期とは、発達段階(児童期)においての用語で、ピアジェ,Jの発達区分によるもの。6歳前後から11歳前後にかけての知的発達を特徴づけるもののこと。前操作期までに生じた思考活動に、可逆性(否定と逆)や相補性が加わり、実際の事物を対象にした分類・順序づけ・対応づけに必要な一群の操作(群生体とよぶ)が発達する。7~8歳頃には長さ・物質量・数などの保存の概念が生じ、9~10歳を過ぎると面積や重さなどの保存の概念を持つようになり、やがて形式操作の基礎を形成するものとなるのである。

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脱中心化

脱中心化とは、発達段階(児童期)においての用語で、前操作期から操作期への移行を特徴づけるもので、自己中心性を脱することを意味する。具体的には、対象に対して知覚情報に基づくひとつの次元・視点に限定されていた思考が、操作期に変換できるようになり、複数の次元の組み合わせ、複数の視点をとること、保存性の概念の理解をも可能になる。言葉や思考も、自己中心言語から社会的言語へ、同時に主観的な思考から客観的思考へと移行し、道徳性についても、他律的なものから集団の中でのルール作りといった自律化の傾向が生まれてくるのである。

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保存性

保存性とは、発達段階(児童期)においての用語で、対象の形や状態を変えても、ある次元の属性は変わらないという概念のこと。操作期の中心的概念となるものである。知覚的外観にとらわれている自己中心的な前操作期においては、液体を他の容器に移し替えただけで量も変化すると考えたりして、移し変えの操作を形の変化と切り離して独立に 考えることが出来ない。これに対し、7~8歳になると、もとにもどせば同じ状態になることが理解されるようになり、合成性・可逆性・結合性・同一性の論理操作が、数・利用・長さ・重さといった具体的な物理特性において、それぞれ時期は異なり(デカラージュ)ながらも可能となってくる。

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勤勉性/劣等感

勤勉性/劣等感とは、発達段階(児童期)においての用語で、エリクソン,E.H.が、心理社会的発達段階における学童期の課題として提示したもの。勤勉性は、社会における技術や道具の使用などに関する、外の世界に向かって集団の中で発揮される知的技能のこと。他者と比較することにより、確証されていくもので、有能感や自信を育むものである。逆にこの課題に失敗することは、劣等感を生み出すことになる。勤勉性と劣等感は、課題の達成に成功・失敗で二分されるものではなく、それ以前の発達課題を元にして、両者がバランスをとりながら、適切な社会的自己を形成していくものである。

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形式的操作期

形式的操作期とは、発達段階(青年期)においての用語で、ピアジェ,Jにより提唱された、11~12歳から14~15歳にかけての知的発達の段階のこと。前段階である具体的操作期に、実際の事物についての論理操作において可逆性と相補性による操作群が形成されていたのに加え、抽象的な記号を使って、仮説演繹的に、命題間にINRC群の操作(同一性変換・逆変換・相補変換・相関変換)を加えることができるようになる。このように、現実をひとつの可能態・命題の組み合わせとして反省的に捉えることが可能となる時期である。

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自己意識

自己意識とは、発達段階(青年期)においての用語で、これまで主として外界に向けられてきた目が、自分自身に向けられるようになり、それまで気づかなかった自分の存在を、自ら意識するようになること。抽象的思考が可能となる形式操作の段階に入ると、目に見えない自分の内面について思考できるようになり、行動や意識の主体としての自分と客体としての自分が分離されていく。自尊感情を中心とした様々な情緒体験、また友人関係を基礎として、特に急激な身体的発達により自分の身体に関心が向けられることが契機となり、社会的自我に目覚めていくこととなる。

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思春期

思春期とは、発達段階(青年期)においての用語で、児童期から青年期への移行が行われる11~13歳の青年前期で、成熟・発毛する時期という意味を持ち、ことに第2次性徴が出現する時期のことである。個人差が大きく、家族への感情・自己意識により大きく影響を受ける。また大人へ近づくことの自信と羞恥心といった感情が、ジェンダー意識に影響する。心理的にも、児童期の外向的・合理的・社会的傾向から、自己に目を向ける内向的・思索的・非社交的傾向が始まり、心理的離乳や、第2次反抗期をもたらすのである。

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心理的離乳

心理的離乳とは、発達段階(青年期)においての用語で、ホリングワース,L.S.の提唱した概念である。青年期になり、それまでの両親への依存から離脱し、一人前の人間としての自我を確立しようとする心の動きのこと。第2反抗期とも言われ、親との葛藤・親への反抗といった強い分離不安を伴うもので、精神的に不安定になりやすい。甘えの雰囲気の強い家庭では、様々な家族問題を引き起こしたりするが、同じ苦悩を共有する友人との相互依存関係を通して、漸次的に克服されていくのである。

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モラトリアム

モラトリアムとは、発達段階(青年期)においての用語のことであるが、元来は債務の支払を猶予することを示す経済用語のことであった。アイデンティティの確立までの社会的な責任や義務から猶予される青年期の特質を表すのに、心理社会的モラトリアムという言葉を用いた。古典的モラトリアムと現代的モラトリアムに分けられる。前者は、半人前意識と自立への渇望、真剣な自己探求、局外者意識と歴史・時間的展望、禁欲主義とフラストレーションに特徴があり、後者は、万能感、性的解放、遊び感覚、局外者意識、自我分裂、無意欲、しらけといった特徴を持っている。

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中年の危機

中年の危機とは、発達段階(中年期)においての用語である。中年期は、成人前期と後期の過渡期にあたる時期のこと。身体的変化、家族関係・職場関係における大きな変化を迎える時期で、病気・離婚・転職といったライフイベントとなるものが起こり易く、生涯発達的に危機となる場合がある。ユングは個性化プロセスをふたつに分け、40歳前後を人生の正午とし、午前が成人としてのアイデンティティを確立していく時期であるのに対し、午後は心の内なるプロセス・死・無意識を射程に入れた自己受容へと焦点が移動していくことになるとしているのである。

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エイジング

エイジングとは、発達段階(老年期)においての用語で、加齢、老化と訳される。初期には老人学として、高齢化に伴う身体・精神的衰退過程を研究するものであった。50年代以降には、生涯発達心理学の視点から、知能の新たな見直し、サクセスフル・エイジングとして、社会的な老人観の変化が行われるようになっている。60年代には、現役からの引退を勧める離脱理論が、70年代には、生涯現役という活動理論が提出され、その後ライフサイクルにおける一貫性という連続性理論、生活の質から自己実現の重視へと移行してきている。特に日本では、人口の7%が65歳以上の老人人口の比率となる老齢化社会を70年代に迎え、ゴールドプランなど福祉行政も整備が進んでいるのである。

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