野生児研究

野生児研究とは、発達の初期において、人間的環境と切り離された環境で育った子供に関する研究のこと。近代西欧思想の中で、文明と自然、人間と動物、大人と子供、生得性、と後天性、本性と教育可能性といった点から検討され続けてきたもの。迷子や遺棄により、動物と一緒に、あるいは自力で野生生活を送った子供(アヴェロンの野生児、アスラとカマラ)や、隔離されて育てられた子供(カスパー・ハウザー)などが著名であるが、近年では児童虐待などによる母性剥奪、貧困など社会問題的な文化剥奪が問題となっており、いずれも、発達における初期経験の重要性を表すものとなっている。