臨床心理学:パーソナリティ (25)

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パーソナリティ

Allport,G.W.の定義で、パーソナリティとは、個人の中にあって、その人の特徴的な行動と考えとを決定するところの精神身体的体系のダイナミックな組織であるという定義。

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質問紙法

質問紙法とは、パーソナリティ特性や行動傾向などの質問項目に対し、被検者の自己評定により回答させ、その結果を一定の基準で整理・数量化する客観テスト。質問紙法の長所は、短時間で多人数に実施可能で、実施と採点が容易である。一方短所は、意図的な回答操作が可能であること、質問項目の読解力や自己洞察能力に問題がある被検者には不適当であることなどがある。

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Y-G性格検査

Y-G性格検査とは、矢田部・ギルフォード性格検査とも呼ばれるもので、ギルフォード,J.P.の性格特性論に基づき、矢田部達郎により作成された質問紙検査法のひとつ。12の特性尺度ごとに10問、合計120問の質問項目から構成される。検査時間は約30分程で、採点も容易である。手軽に実施でき多面的な診断が可能である為、広く用いられている。しかし被検者の意図的な回答操作に弱いという短所がある。

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ミネソタ多面人格目録

ミネソタ多面人格目録とは、精神医学的診断の客観化を目的として、マッキンレー,J.Cとハサウェイ,S.Rにより開発された質問紙法のひとつ。550項目の質問からなり、10の臨床尺度だけでなく、被検者の回答態度を測定する妥当性尺度(虚偽尺度など)も含まれる。質問数の多さ、尺度の詳細性において信頼性が高いパーソナリティ 検査のひとつであり、あらゆる臨床場面で用いられている。しかし質問数が多い為に検査に時間がかかるのが短所である。

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CMI

CMIとは、短時間(20~30分)で患者の心身の自覚症状を把握する為の問診表として作成された質問紙法のこと。アメリカで作成されたCMIは、身体的項目が144項目、精神的項目が51項目で構成されているが、日本版では新たに身体的項目に16~18項目の質問が追加されている。精神症状だけでなく、身体症状との両面からスクリーニングできるのが特徴。元々は医学検査として開発されたが、現在では心身症や情緒障害の診断に欠かせない要素となっている。

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顕在性不安検査

顕在性不安検査とは、テイラー,J.A.により開発された、不安を測定する為の代表的な質問紙検査。テイラー不安検査とも呼ばれている。顕在性不安と呼ばれる、持続的に生じる精神身体的症状の測定に用いられる。この検査は、MMPIから抽出した不安評価尺度の50項目の質問に、妥当性尺度などの項目を加えて作成された。日本版MASは、不安尺度50項目と虚偽尺度15項目からなる。不安検査には、MASのほかにもスピルバーガー,C.D.が作成した状態-特性不安尺度がある。

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EPPS性格検査

EPPS性格検査とは、エドワーズ,A.L.が、マレー,H.A.の社会的欲求理論をもとに作成した、パーソナリティ検査である。達成・追従・秩序・顕示・自律などの社会的欲求の15特性の中から2特性を組み合わせた、全部で225対の質問項目から成る。質問対は、社会的望ましさがほぼ等しくなるように組み合わされており、どちらかを選択させるという強制選択法が用いられているのが特徴である。それゆえ、質問紙法の弱点である、社会的望ましさによる回答の意図的操作を回避できるのである。

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投映法

投映法とは、投影法とも呼ばれるもので、あいまいな刺激素材に対して、被検者に自由に反応してもらい、その結果を分析・解釈することでパーソナリティを測定する検査である。長所は、回答の意識的な操作が困難な点、また無意識領域までわたる多面的・総合的・力動的な把握が可能な点があげられる。一方短所としては、実施と解釈に時間と手間、経験と熟練を要する点、結果の解釈においても検査者の主観的判断に多くを頼らざるを得ない為、信頼性・妥当性に疑問が残る点などがある。

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ロールシャッハ・テスト

ロールシャッハ・テストとは、代表的な投映法で、スイスの精神科医ロールシャッハ,Hが精神診断法として考案した検査のこと。左右対称のインクの染み10枚からなる検査図版を、被検者に1枚ずつ提示し、それが何に見えるかを自由に反応させる方法。豊富なデータに基づく客観的・量的解釈に加え、力動的な解釈も可能。解釈において検査者に習熟が要求され、実施及び解釈に手間と時間が必要とされるが、得られる情報も多い為多く利用されているのである。

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TAT

TATとは、モーガン,C.D.とマレー,H.A.が考案した投映法であり、主題統覚検査または絵画統覚検査と訳されるもの。日常生活での光景が描かれた絵を1枚ずつ見せ、その登場人物の内面、そして過去・現在・未来について自由に物語を語ってもらい、内容を分析し、被検者のパーソナリティや欲求を探り出すという方法。マレーの欲求=圧力理論に基づく分析が基本形である。また児童用として、登場人物をすべて擬人化された動物に置き換えたCATがある。

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文章完成テスト(SCT)

文章完成テストとは、未完成の文章を完成させるパーソナリティ検査のこと。質問紙を用いるが、分類は投映法である。反応文には自己概念や対人関係、家族関係などが投映され、パーソナリティの全体像を把握することができる。被検者の反応選択がかなり自由であり、施行方法も簡単で集団施行も可能などの利点がある。しかし一方で、その自由さゆえに客観的評価が難しく、検査者の習熟が必要とされるのである。

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バウムテスト(樹木画テスト)

バウムテストとは、コッホ,K.により考案された投映法である。子供の発達検査としての側面もある。A4版の紙と鉛筆、消しゴムを用意し、「実のなる木を1本描いて下さい」と指示。その画像の全体的印象、樹木の各部の形態、空間図式の検討などについて分析する。子供から大人まで適用範囲が広く、集団施行も可能であり、所要時間も短いゆえに臨床現場で広く活用されている。ただし、自由度が大きい分客観性が低く、他の検査や面接で得られれたデータと組み合わせて解釈する必要がある。

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DAP(人物画テスト)

DAPとは、投映法のひとつで、元々はグッドイナフ,F.が、児童の知的発達の測定用に開発した検査であるが、現在ではパーソナリティ検査として成人にも広く用いられている。実施法は、まず特別な指定をせずに人物の全身画を描かせ、次にその描かれた人物と反対の性別の人物をもう1枚の用紙に描かせる。こうして得られた2枚の人物画から、全体的評価、その描き方(形式)、描かれた人物の特徴(内容)などを分析し、被検者のパーソナリティを捉えようとするのである。

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HTP

HTPとは、家屋・樹木・人物画法テストとも呼ばれるもので、バック,J.により開発される。家屋・樹木・人物の絵を描かせた後、それらが被検者にとってどのような意味があるのか64項目の質問を行う。各描画像には、自己イメージが投映されると同時 に、家族イメージ・対人関係なども投映されると考えられており、パーソナリティを多角的に捉えることが可能。改良版として、家屋・樹木・人物・その反対の性別の人物という4枚を描かせるHTPPがある。

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P-Fスタディ

P-Fスタディとは、絵画欲求不満テストとも呼ばれるもので、ローゼンツァイク,S.により作成された投映法。欲求不満状況に対する反応のタイプから、被検者のパーソナリティ傾向を把握。日常の欲求不満場面について、漫画風に描かれた24枚の刺激に対して、空いているフキダシに自由に反応を書き入れさせる。結果の分析は、攻撃性の方向(他責・自責・無責)と攻撃型(障害優位型・自我防衛型・要求固執型)の組合せで行われる。

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作業検査法

作業検査法とは、被検者に、一定の状況の元で一定の作業を実施させ、その作業の遂行態度や結果から、作業者のパーソナリティを測定する心理検査のこと。内田クレペリン精神作業検査が、代表的なものである。長所は、一度に多人数の実施が可能、意図的な回答操作が困難、言語能力に依存しないなどが挙げられる。一方短所は、パーソナリティ傾向の一面しか捉えられず、解釈に熟練を要するなどが挙げられる。

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内田クレペリン精神作業検査

内田クレペリン精神作業検査とは、クレペリン,E.が実験心理学的研究の為に考案したものを、内田勇三郎が翻案したパーソナリティ検査のこと。テスト用紙に印刷された数字列を、連続して加算し、その結果である作業能率の時間的推移を表す曲線(作業曲線)のパターンを分析することで、パーソナリティを把握する。実施方法は、練習2分、本検査(前期)15分、休憩5分、本検査(後期)15分。練習の効果、疲労、作業曲線のパターンに基づいて、パーソナリティや精神機能の診断を行うものとして広く活用されている。

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ベンダー・ゲシュタルト検査

ベンダー・ゲシュタルト検査とは、ベンダー,L.が作成した作業検査法のことで、投映法に分類される場合もある。ゲシュタルト心理学者のウェルトハイマー,M.が作成した、点や直線・曲線、閉合図形などを組合せた9枚の図形を1枚ずつ模写させ、その結果を分析。現在では、パーソナリティ検査としてよりも、発達検査や器質的脳疾患の識別診断における認知機能の測定に用いられることが多い。特に、学習障害や高次脳機能障害の診断には欠かせない検査となっている。

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防衛機能

防衛機能とは、精神分析の概念であり、イドの欲求や超自我の命令、外界の制約などの間の葛藤を処理するとともに、自我の安定が脅かされないように働くメカニズム。自我が不安に直面すると無意識的に発動し、内界を操作することで安定状態を取り戻すものである。実際に問題を解決せずに現実を歪めることで一時的な適応を可能にすることができるが、長期的または不適切な機制の作動は神経症などの不適応を引き起こすのである。

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抑圧

抑圧とは、フロイト,S.により最初に明らかにされた、自我の代表的な防衛機制で、全ての神経症の発生に関係しているとされている。性的願望や両親に対する憎悪など、苦痛となる願望・感情・記憶を意識から締め出す無意識の作用。それにより抑圧された願望や感情は、夢や失錯行為をいった形で表現される。抑圧は、意識的な抑制とは区別される。

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同一視

同一視とは、防衛機制のひとつで、対象関係の発達において重要な働きをしており、自我同一性の形成に関わりが深い。対象の考え・感情・行動などを無意識的に取り入れ、その対象と同じような傾向を示すようになる心的過程のこと。自分の中にある傾向が性質を他人になすりつける場合は投影と呼ばれるが、これも主観的に自他を混同する同一視の一種と考えられる。フロイト,S.は、男児の超自我の形成において、父親との同一視を取り上げている。このような同一視を通じて、道徳性・性役割などを含んだ人格が形成されていく。

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反動形成

反動形成とは、防衛機制のひとつで、フロイト,S.が強迫神経症に特異なものとして記述したものである。意識された内容が、自我にとって受け入れ難い場合、それとは反対の言動をとることで抑圧を強化しようとする心的過程。子供を憎んでいる継母が、却って極端な愛情を示すように、無意識下で攻撃・憎悪などの破壊的衝動が強く抑圧されている場合に、意識面では過度の親切・丁寧な態度となって現れる、などがその例である。

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合理化

合理化とは、フロイト,S.が、夢の二次的加工における自我の働きのひとつとして取り上げたものであるが、ジョーンズ,E.により、防衛機制のひとつとして一般化された。「すっぱいブドウ」に代表されるように、自己のとる行動・態度・考えに対して、論理的・道徳的に妥当な説明を与えて、不安や葛藤を回避しようとする心的過程のこと。一般的な正当化といった適応過程から、手洗いの脅迫神経症などの病的な過程までをも含むものである。昇華や知性化と異なり、欲求充足の手段や目的が、より低い水準にとどまっているのである。

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知性化

知性化とは、フロイト,A.により理論化された防衛機制のひとつ。青年期によく見られるもの。感情や欲動を直接意識化したり解放せずに、それらに対する知的認識・論理的思考を獲得することによりコントロールしようとする自我の働き、知的な面での昇華の意味を持つもの。論理性の面では合理化と近いものであるが、知性化が、現実検討の正確さを前提とする肯定的意味を持っているのに対し、合理化は、現実否認の意味が強くなっているのである。

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昇華

昇華とは、フロイト,S.が、「本能欲求が性的満足以外の目的に振り向けられる」過程として定義したものである。特に、性的欲動・攻撃性などの抑圧された心的エネルギーが、文化的・社会的に有用でより創造的な目的へ向けられるようになること、スポーツや文化・芸術活動など、個人的な生活を豊かにするとともに、人類の文明や社会の進歩の原動力ともなるものである。

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