母性剥奪

母性剥奪とは、発達段階(乳児期)においての用語で、発達初期に母親もしくは、養育者からの世話や情愛的刺激を喪失している状態のこと。従来、スピッツらのホスピタリズム研究で指摘されていた母子分離・母子剥奪の問題は、50年代にボウルヴィ,Jにより、母親の養育態度における母性の喪失の問題に一般化・体系化されて、愛着理論とともに、母性神話の一端を担うものとなった。これは、発達における初期経験の重要さを支持するものであり、マザリング・ペアレンティングなど文化社会的に規定される育児態度でもあり、父親の役割も含めて多面的なアプローチが必要とされる問題になっている。