ピグマリオン効果

ピグマリオン効果とは

ローゼンタール効果とも呼ばれるピグマリオン効果

ピグマリオン効果とは、教師が生徒に対して熱烈な期待を抱いていることが、望ましい効果を劇的にもたらすことがあるという現象を指します。

ピグマリオン効果の由来

昔々、ギリシャにピグマリオンという彫刻家がいました。

彼の作品は、実にリアルに再現されていることで有名であり、多くの人に賞賛されました。

しかし、ピグマリオンは決して傲慢ではありませんでした。

彼は常に前よりも良い像を作ろうとし、作業の前には神仏に祈ることを忘れませんでした。

ある日、ピグマリオンはガラテアという美しい女性の像の制作に取り組むまで。

ピグマリオンは、その美しさに驚嘆し、自分の像に恋をしてしまったことを自覚しました。

そこで愛の女神アフロディーテに、像のように美しい女性と結ばれるようにと祈りました。

女神はピグマリオンの祈りに応えガラテアの像に命を吹き込み、彼女は生きた女性になりました。

ピグマリオンはガラテアと結婚し、二人は幸せに暮らしました。

このピグマリオンの話は、今回のテーマである「ピグマリオン効果」の用語として使われるほど有名な名前です。

ピグマリオン効果に関する実験

ラットを使った実験

ローゼンタールの実験では、参加者はラットに対して迷路での行動を監視するように指示します。

ある参加者には「このネズミは賢い」と伝え、別の参加者には「このネズミはバカ」と伝えました。

その結果、参加者は「賢い」ラットと一緒に作業するとき、ラットをなでるなどして優しく接することで、課題を完了するためのプラスの効果が生まれたことがわかりました。

生徒を使った実験

ローゼンタールは、小学校で生徒に対して知能テストを行いました。

そのあと、知能テストの成績が優秀だった生徒の名前を教師に知らせました。

実はこの生徒たちは、最初のテストとは関係なく無作為に選ばれた生徒たちです。

ローゼンタールは、8ヵ月後にテストをしたところ、成績優秀だと伝えた生徒が高い点数を取っていることが分かりました。

教師が「この生徒なら成績が伸びるだろう」と思って期待したことが関係していると思われます。

ピグマリオン効果にまつわる逸話

ロールズは、ニューヨークのビッグ・サンディ・ヘッドというニューヨークのスラム街で生まれました。

子供の頃のロールズは、学校をさぼり、やんちゃでケンカに明け暮れていました。

そんなロールズに校長は「私は一目見て、君が将来ニューヨーク州の知事になると思った」と言いました。

ロールズは驚き、心を揺さぶられました。

それ以来、ロールズはこの言葉を忘れず「ニューヨーク州知事」は、彼の目標になりました。

服の汚れがなくなり、言葉遣いに汚い言葉が混じることもなくなり、背筋を伸ばして歩くようになり、すぐに学級委員長になりました。

月日は流れ、ロールズは51歳で本当にニューヨーク州の知事になりました。

ニューヨーク史上初の黒人知事です。

ピグマリオン効果に対する批判

ピグマリオン効果に対する評価は必ずしも肯定的なものばかりではありませんでした。

「誰が有望な生徒として選ばれたのか教師が思い出せない」と疑う声もありました。

教師は学期初めに生徒リストを受け取りましたが、リストに載っている生徒の名前を思い出せる者は少なく、多くの者は「学校帰りの仕事の中で単なるメモ」だったと報告しています。

関連心理学用語

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ステレオタイプとは対象の人を一般化・固定化すること。

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プラシーボ効果とは、薬物ではないものを投与した後に、患者の健康、幸福、状態が改善されること。

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自己効力感とは、不活性な物質が、心理的なメカニズムによって身体に改善をもたらすこと。

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