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甘え理論

甘え理論とは、土居健郎が構築した、精神分析及び日本文化理論のこと。甘えとは、他者との分離の事実を否定し、分離の痛みを味わいたくない心理と定義されている。土居によると、この心理の起源は、日本文化特有の密着型母子関係にあり、発達後も対人関係における基本的態度であった。しかし、近代以後の欧米的個人主義文化の流入により、甘えが抑圧され、その葛藤が様々な神経症的不適応を引き起こしているとされている。阿闍世コンプレックスと並んで、日本における精神分析の重要概念である。

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新フロイト派

新フロイト派とは、精神分析学派の中で、フロイト直系の分析家達がリビドー発達という生物学的観点を重視したのに対し、パーソナリティ発達や神経症の発症に及ぼす社会的・文化的要因を重視した学派のこと。ホーナイ,K.は、神経症が文化的要因・人間関係により引き起こされるとし、フロム,E.は、資本主義経済が個人から自由を奪い人間の存在機能が阻止されるゆえに生じるとした。上記に挙げた人物に加え、サリヴァン,H.S.なども含め、アメリカを中心に活動した彼らは、文化学派とも呼ばれているのである。

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自我心理学

自我心理学とは、自我の主体的な役割を強調した精神分析の一派。フロイト,S.の精神分析が無意識の解明に重点を置いたのに対し、自我構造の解明を理論の中心に置く。神経症とは自我機能の機能不全であり、自我機能の異常さを除去し自我の本来の機能を回復することが、患者にとって重要である、とした。自我の防衛機制を体系化したフロイト,A.(フロイト,S.の末娘)や、自我の自律的・能動的側面を強調したハルトマン,H.らにより発展した。

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自我機能

フロイト,S.の古典的構造論では、自我の役割は、単なる調整役に過ぎない。自我心理学では、自我の能動的・積極的機能を重視した。特に、現実検討能力(外界を認識し現実的で妥当な判断を下す)、防衛規制(欲求や感情を制御する)、自我境界(自己の内界と外界の境界を識別し維持する)などの能動的自我機能に関する理論は、自我障害としての精神病や境界例の理解と治療に多大な影響を与えたのである。

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対象関係論

対象関係論とは、乳幼児期において、感情を向ける重要な他者(特に母親)との関係(対象関係)を重視し、子供が自ら内的世界に母親イメージを取り入れる過程と、そのイメージ(内的対象)との関係性という観点から、パーソナリティの理解や精神病理の治療の為に構築された理論のこと。クライン,M.により創始され、フェアバーン,W.R.D.やウィニコット,D.W.らにより発展した。個人の現実適応を重視したフロイト,A.らの自我心理学との論争は有名である。

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移行対象

移行対象とは、ウィニコット,D.W.が提唱した概念である。人形・ぬいぐるみ・毛布など、客観的に見るとただの物であるが、発達のある時期(乳幼児期)の子供にとってはかけがえのない愛着の対象となるような存在のこと。ウィニコットによると、乳児期の子供は、主観的な内的世界で錯覚(イリュージョン)に生きているが、成長につれて外部の現実世界へと移行していく(脱錯覚)。その移行の橋渡しの役目をするのが移行対象である。

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移行領域

移行領域とは、中間領域とも呼ばれるもので、ウィニコット,D.W.の理論における主観概念のこと。成長につれて、子供は主観的な内面世界から現実世界へと生活の場を移す(錯覚から脱錯覚へ)。これらの内界と外界の中間に位置するのが移行領域である。 移行領域は、ファンタジーと現実が共存できる世界であり、ここでは移行対象はただの物であると同時に母親と等価の愛着対象でもある。この領域で遊ぶ事で、子供は自らの内面と外界の折り合いをつけていくとされている。大人になっても移行領域は消えず、芸術や宗教の場となるのである。

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ホールディング

ホールディングとは、「抱えること」とも呼ばれるもので、ウィニコット,D.W.が提唱した、乳児の心身の発達を助ける環境としての母親の機能のひとつである。母親は、子供が自由に自分を表現し、安心して遊ぶことができるような心的空間を与えて支える。それゆえ子供は、主観的な内面世界から現実世界へと生活の場を移すことができる(錯覚から脱錯覚へ)。このような心的空間を、抱える環境と呼ぶ。この概念は心理療法にも応用されるようになり、クライエントをホールディングすることが、セラピストの機能として重要視されるのである。

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自己心理学

自己心理学とは、コフート,H.が創始した精神分析の一派のこと。精神分析や自我心理学が、心的装置のひとつに過ぎない自我を治療対象にしたのに対し、人間精神の全体である自己を治療対象にすべきであると主張した。自己及び自己愛の発達を理論の中心に置き、特に健全な自己愛の存在と、その延長としての他者(自己対象)の概念が重要視される。クライエントの自己対象としてセラピストが適切に機能し、クライエントがその機能を取り入れること(変容的内在化)で治療が行われるとされているのである。

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自己愛

自己愛とは、フロイト,S.は、自我に向けられたリビドーであり、幼児において見られるとしており、児童期以降は他者愛が正常な発達であるとみなした。しかし、コフート,H.は、自己愛はそれ自体独立したものであり、健全なもので成人後も残るとして おり、さらに他者愛の成立も、健全な自己愛の前提によると主張した。彼はまた、幼児期に満たされなかった自己愛の代償として、病的な自己愛が肥大した自己愛的性格(人格障害)に関する独創的な理論を展開したのである。

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