阿闍世コンプレックス

阿闍世コンプレックスとは、母親が親であると同時に妻でもあり、自分の誕生の由来が母親の性の産物であることに対して、子供が持つ恨みを中心としたもの。日本の精神分析の第一人者である古沢平作が、仏教説話を下敷きに提唱した概念。子供が持つ母親との一体感、そしてそれが崩れた時に生じる母親への恨みと攻撃、母親の許しに伴う許され型/懺悔型の罪悪感、の3つが基本要素である。古沢は、父性中心主義的な欧米の精神分析に対し、母子関係を重視した日本特有の精神分析理論を発展させたのである。