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自尊心

オリジナル記事はこちら⇒https://setsinrigaku.com/16.html 自尊心とは自分に対する価値観でどれだけ自分自身を大切にし評価し好きであるかという尺度を意味します。 自尊心を高く持つことは、人生を成功させ、幸せにするための鍵であると言われています。 自尊心は自信と似ていますが違います。 自尊心は自分を全体として好きになることですが、自信は自分の能力をどう見るかです。 自尊心はこれまでの経験から形成されますが、自信は状況によって変化します。 自尊心は幼児期から形成される価値観で、自尊心の形成には、両親、教師、幼なじみなどが強く影響します。 親が子供に十分な愛情を注ぎ、尊敬と優しさを持って接していたら、その子供は十分な自尊心を育むことができます。 逆に親が子供に温かく接することができず、いつも批判したりバカにしたりていると、子供の自尊心は低くなります。 周囲の人たちから肯定されているかどうかが自尊心に影響を与えます。 否定的な言葉を受けることが多い人は、自尊心が低くなる傾向が高い。 身近な人との良好な人間関係は、健全な自尊心を形成します。 孤独だと自分は他人から必要とされていないと感じるため、マイナスの影響を与えることがあります。 病気や障害があると自尊心を低下させます。 自尊心を高める方法はいくつかあります。 自尊心は、自分の能力に気づき、それを伸ばすことによって築かれます。 他人の目を気にしていると、自由な行動がとれなくなることがあります。 自分のやりたいことにもっと集中することが、自尊心を高めることにつながります。 他人を常に人生の基準にしてはいけません。 人がSNSに投稿するものは、その人の人生の中で一番いいものばかりです。 だから他人と比べる必要はなく、自分の中で伸ばせるものだけに集中すればいいのです。 自分の長所と短所を認識することで、自尊心も高まります。 自分の長所や好きなこと、頑張ったことなど自分の中でポジティブなことを書き出してみましょう。 自分自身に嫌なところがあれば、どんな風に変えていけるかを考えます。 そして、その変更を実行に移すための計画を立てます。 自尊心の概念は、18世紀、スコットランドの啓蒙思想家デイヴィッド・ヒュームの著作で初めて表現されました。 ヒュームは、自分自身を評価し、よく思うことは重要であり、それによって人は自分の可能性を最大限に追求することができるという動機づけの欲求を満たすことができると主張しました。 1960年代半ば、社会心理学者のモリス・ローゼンバーグは、「自尊心」を「自己価値感」と定義しました。 その後、ローゼンバーグ自尊心尺度(RSES)を開発し、この尺度は後に社会科学の分野で自尊心を測る尺度として最も広く使われるようになりました。 1992年、政治学者のフランシス・フクヤマは、自尊心をプラトンの魂の「精神」の部分である「テューモス」と結びつけました。 初期の多くの理論は、自尊心は人間の基本的な欲求や動機であると述べています。 アメリカの心理学者アブラハム・マズローは、人間の欲求の階層に「自尊心」を含めました。 彼は、2つの異なる形の自尊心を説明しました。 1つ目の自尊心は、他人から認められること、成功すること、賞賛されることなど、尊敬されることへの欲求です。 2つ目の自尊心は、自己愛、自信、スキル、才能といった形の欲求です。 マズローによれば、自尊心の欲求が満たされないと、個人はそれを求めるようになります。 なぜなら、自尊心がなければ人間は成長できず、自己実現も得られないからです。 マズローはまた、自尊心のもっとも健全な表現は「単なる名声、悪評、お世辞ではなく、他者にふさわしい尊敬に現れるものである」と述べています。 現代の自尊心理論は、人間がなぜ自分自身を高く評価し続けようとするのか、その理由を探っています。 ソシオメーター理論では、自尊心はその人の社会的集団の中での地位や受容の度合いを調べるために進化したとされています。 テロマネジメント理論によれば、自尊心はプロテクターの役割を果たし、生死に対する不安を軽減するとされています。 防衛機制とは不安な気持ちから自分を守るために無意識に行われる心理的なメカニズムのこと。

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サイコパス

オリジナル記事はこちら⇒https://setsinrigaku.com/15.html サイコパスとは、医学では反社会的人格障害と呼ばれ、社会的に好ましくない人を言います。 サイコパスは英語で魂を意味するpsycheと病気を意味するpathosという単語からきています。 サイコパスの特徴としては、他人の気持ちを気にせず、ウソを付いたり悪いことをしても罪悪感を感じることがありません。 サイコパスは、映画などでは猟奇的な犯罪を犯す人として描かれていることが多いのですが、実際は凶悪犯罪を犯すサイコパスは多くありません。 サイコパスは、自分の行動を完全に認識しているので、統合失調症とは異なります。 現実にいるサイコパスは、見た目は普通で饒舌、最初は好かれやすい傾向があります。 多くのサイコパスはうまく社会に適応しています。 中には高いIQを持っていたり、カリスマ的な存在だったり、高学歴で安定した職業に就いている人も少なくありません。 サイコパスは人口の1%、男性は女性の3倍のいると推定されています。 サイコパスになる原因として考えられることの1つは遺伝です。 家系にサイコパスの人がいるとサイコパスになりやすいと言われています。 感情を制御する脳の構造に異常があると、サイコパスになる可能性があります。 脳の異常は、脳の発達過程における障害や傷害に起因することがあります。 2つ目は幼少期に育児放棄や虐待、言葉の暴力を受けたり、激しい夫婦ゲンカを目撃したなどのトラウマ的な体験があるとサイコパスになりやすいと考えられています。 すべてのサイコパスに当てはまるというわけではないのですが、サイコパスには以下の特徴があります。 サイコパスは、話がうまく、気さくなため人を引き付ける魅力があります。 そのためサイコパスの第一印象はいい。 サイコパスは、自分の利益のためによくウソを付きます。 ウソがばれると言い訳したり、ウソを隠すためにウソを付くことも多い。 サイコパスはウソを付くことに良心の呵責がありません。 サイコパスはルールを理解していますが、ルールを破ることを好みます。 ルールを破ることで自己満足を得ることができるのです。 例えば、物を盗んだり弱い者イジメをした場合でも、サイコパスは罪悪感を感じることはありません。 サイコパスは無責任です。 自分の問題やミスを他人のせいにします(それを認めることはあっても、罪悪感や後悔の念を示すことはない)。 また、約束を破ったりやるべき義務を放棄します。 そのため仕事が続かず、継続的な人間関係を築くことができません。 サイコパスは他人の気持ちを読むことには長けていますが、共感性がありません。 他人を傷つけることをしても罪悪感を感じません。 他人が苦しんでいても、たとえそれが親しい友人や家族であっても気にしません。 サイコパスは優しさを見せるときがありますが、それは相手のためではなく自分の利益になるからです。 恩を売って自分に従わせることが目的です。 サイコパスは自分に自信があります。 自分は優れた人間であると信じていますが、悪く言うと自信過剰、ナルシスト、傲慢です。 常に自分が正しいと思っているため間違いを犯しても認めないか、認めても罪悪感や反省の色を見せません。 サイコパスは寄生的です。 サイコパスは話がうまいため人を操る能力が高い。 自分の欲求を満たすために他人を利用する傾向があります。 サイコパスは金持ちや有名人になりたいという願望を持つことがあります。 しかし、どうすればその目標を達成できるかまで考えていません。 サイコパスは、努力せずに欲しいものを手に入れることを考えます。 サイコパスは飽きっぽい面があります。 退屈だと感じる仕事は途中で投げ出すことがあります。 サイコパスと似たような用語にソシオパスがあります。両者の違いについて説明します。…

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ホーン効果

オリジナル記事はこちら⇒https://setsinrigaku.com/14.html ホーン効果とはある人のネガティブな一面を見ただけでその人の他の面もネガティブに思い込むこと。 ホーン効果は別名、逆ハロー効果、ネガティブハロー効果、デビル効果と呼ばれています。 例えば、太っている人は「怠け者」「だらしない」「無責任」といったステレオタイプなイメージを持たれることが、ホーン効果の典型的な例です。 ホーン効果が起きると、その人のいい面を見落としたり、過小評価したりする傾向があります。 ホーン効果のホーンとは「角」であり、悪魔の角を意味します。 一方、ハロー効果のハローは「聖人の後光」という言葉であり対照的です。 採用については、採用担当者は短時間で応募者を見極める必要に迫られるためホーン効果の影響を受けやすい。 見た目や話し方、あるいは身のこなしが悪いと、採用担当者はすぐ応募者に嫌な感じを抱くかもしれません。 応募者が学生運動に参加していたことが分かれば、採用担当者は厳しい目で応募者を見ることになるでしょう。 ハロー効果はホーン効果とはまったく逆の効果になります。 ハロー効果とは第一印象が良いことで相手をより好意的に考えることで、ホーン効果とは第一印象が悪いことで相手を否定的に考えることです。 ハロー効果とはある人に魅力的な側面を見つけると、その人全体をポジティブに考えます。 ハロー効果の事例として、例えば、身だしなみが良く容姿がいい人は、知的で信頼できると思われる可能性が高い。 応募者が有名大卒であったり有名企業で働いていた職歴があれば、採用担当者はこの人は仕事ができそうと考えます。 ハロー効果が起きると、欠点があっても目立たず見過ごされ、ちょっとした失敗も簡単に許されてしまいます。 ハロー効果とは初めて会った人の外見や話し方あるいは服装や行動をざっと見ただけで、その人を分類すること。

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メラビアンの法則

オリジナル記事はこちら⇒https://setsinrigaku.com/13.html メラビアンの法則とは感情の7%は言葉、38%は声のトーン、55%は表情で相手に伝わるというもの。 別名「7-38-55%ルール」「3Vの法則」とも呼ばれています。 メラビアンの法則で重要なことは、非言語的コミュニケーション(声のトーンや表情)と話し言葉と一致しない場合は、人は非言語的コミュニケーションを信じる傾向があるということです。 一致しない場合は、話し手はウソをついているか納得していない可能性が高いと考えます。 例えば「楽しいね」と言いながら、声のトーンは低く不機嫌な顔している人を見かけたら「本当は楽しくないのでは?」と誰もが感じるのではないでしょうか。 感情を伝える手段として、話し言葉、声のトーン、表情の3つの要素があります。 問題は、言っていることと見せていること(声のトーンや表情)が矛盾している場合、聞き手は相手の感情をどのように解釈するのか。 このことについて、1967年にカリフォルニア大学のアルバート・メヘラビアン教授は2つの検証しました。 1つ目の検証では、言葉の意味と声のトーンの相対的な重要性を比較し、2つ目の検証では白黒写真の表情と録音テープの声色を比較しました。 そして、2つの研究結果を組み合わせて、7:38:55という比率を導き出しました。 1つ目の研究では、被験者に録音された9つの言葉を聴いてもらいました。 9つの言葉の内訳は、好きを伝える言葉(like, dear, thank you)が3つ、中立を伝える言葉(maybe, really, oh)が3つ、嫌いを伝える言葉(don't, rude, terrible)が3つ。 一言一言、声のトーンが異なっており、その言葉の裏にある感情を、被験者に推測してもらいます。 その結果、言葉よりも声のトーンが感情を推測するのに優れていることが分かりました。 被験者に、好き、嫌い、中立の3つの声のトーンで「たぶん」と発音した録音を聴いてもらいます。 録音を聞いた後、好き、嫌い、中立の3つの表情を見せる女性の顔の白黒写真を見せました。 前回同様、被験者には声のトーンと顔の表情からどのような感情が読み取れるか推測してもらいます。 結果は、声のトーンを変えて「たぶん」という言葉を聞くよりも、写真の表情を見た方が、好き、嫌い、中立の感情を識別していることが分かりました。 この検証結果により、私たちは相手の感情を解釈する際、話し言葉よりも表情や声のトーンを重要視していることが分かりました。 相手に自分の気持ちを伝えたい場合は、言葉だけでなく声のトーンと表情を一致させることが効果的だということです。 相手の気持ちを読み取りたい場合は、相手が使っている言葉以上に声のトーンや表情に細心の注意を払うことです。 そうすれば、あなたのコミュニケーション能力は飛躍的に向上することは間違いないでしょう。 ハロー効果とは初めて会った人の外見や話し方あるいは服装や行動をざっと見ただけで、その人を分類すること。

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認知的不協和

オリジナル記事はこちら⇒https://setsinrigaku.com/12.html 認知的不協和とは自分が認知していることの中で考えと行動が一致しないことです。 例えば、タバコは体に悪いと分かっているけど吸い続けるなど。 人は認知的不協和を感じると不快感を覚えます。 そこで人は認知的不協和を解消するために考えや行動を変化させようとします。 このことを認知的不協和理論と言い、1957年にレオン・フェスティンガーによって提唱された概念です。 認知的不協和は私たちの日常生活の中でしばしば経験します。 認知的不協和の例としては、以下のようなものがあります。 アメリカ心理学会の報告で、フェスティンガーは認知的不協和理論を、日常生活で起こる例を挙げて説明しました。 その1つが、喫煙者に生じる認知的不協和です。 フェスティンガーは、喫煙が健康に有害であることを知っている喫煙者は、不協和を経験すると説明しました。 なぜなら喫煙が健康に良くないと分かっていながら、タバコを吸っているからです。 喫煙者の中には、認知的不協和を解消するために禁煙する人もいるでしょう。 しかし、多くの人は禁煙が難しいので考えを変えます。 喫煙がストレスを軽減し体重増加を防ぐと考えるなど、喫煙のプラス効果を探し始めます。 認知的不協和の一例として、イソップ物語の『オオカミとブドウ』があります。 あらすじは次の通りです。 ある日、空腹のオオカミがブドウがなっている木を見つけました。 オオカミはブドウを手に入れるためにブドウに向かってジャンプしましたが、届きませんでした。 ブドウを食べたくても食べられなかったオオカミは「あのブドウは酸っぱいに違いない」と思って立ち去ったという話になります。 認知的不協和の例として、肉食が挙げられます。 肉を食べることと動物を大切にすることは一致しないので、認知的不協和が生じます。 しかし、肉食をやめることは難しい。 そこで肉を食べる人は、認知的不協和を解消のために、次のように考えます。 皿に盛られた肉は「牛」ではなく「ビーフ」と呼ぶことで、動物を殺して得られた肉であることの認識を切り離そうとします。 肉を食べることは健康維持に必要と自分に言い聞かせて、肉食への罪悪感を軽減します。 認知的不協和が起こっている人のサインには、次のようなものがあります。 人に認知的不協和を引き起こす条件として、次のようなものがあります。 必要に迫られ、自分の考えに反する行動を取ってしまうことがあります。 学校や職場、社会的な場面でよく起こることです。 例えば、出世したいから本当は嫌いな上司にゴマをするなどです。 もう一つのケースは、身近な人からの同調圧力です。 例えば、節約を心がけているのだけど、みんなに合わせるために最新のスマホを買ったり流行の服を買うなどです。 同じくらい魅力的な2つの選択肢に直面したときに認知的不協和が生じます。 例えば、実家から近いけど給料が安い会社と実家から遠いけど給料が高い会社の両方から内定を得た場合など。 すでに選択したことについては、その選択が間違っていなかったことを補強する情報を探そうとします。 後悔している場合に、認知的不協和が起こります。 例えば、難関資格を取るために何年も費やしているのに合格できなかった場合は「努力をしたこと自体が価値があったのだ」と自分を納得させようとします。 ある文化において人が持っている認知は、他の文化では異なる場合があります。 例えば、自分の地域では手で食べるのが当たり前だと知っているジャワ人は、ヨーロッパの食事マナーでは当たり前でないことに違和感を覚えます。 一般的に考えられることと事実が異なる場合に認知的不協和が生じることがあります。 例えば、世間では同じ政党の候補者を必ず応援すると思われている政党Xの議員が、実は自分の政党のライバルである政党Zの候補者を選んでいた、というような場合です。 ある事実が自分の過去の経験と矛盾している場合に認知的不協和が発生します。 例えば、A村に行けばBに会えると知っている人が、いざ行ってみるとBはいなかった場合です。 認知的不協和は、自分の考えに反する情報を否定することで軽減されます。…

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正常性バイアス

オリジナル記事はこちら⇒https://setsinrigaku.com/11.html 正常性バイアスとは異常事態が起きているのに軽く考えて落ち着こうとする心理。 ほとんどの人は、火山の噴火・津波・ハリケーンなどの自然災害が発生しても、最初のうちは状況を甘く見ていて、危機が迫っているのに何も行動しません。 ラジオやテレビ、近所の人から危険だという情報を得ていても「自分は安全だ」「これまで大きな災害が起きなかったので今回も大したことないだろう」と楽観的に解釈します。 また、正常性バイアスが働いている人は、異常事態を理解しやすい日常的なものに当てはめようとします。 例えば、銃声が聞こえても子供が花火で遊んでいるに違いないとか、銀行にマスクをして入っていった人を見かけても仮装パーティーに行く途中に立ち寄ったに違いないなどと思い込みます。 危険な状況にありながら行動に移せないのは何が原因なのか? 人は行動するためには情報を必要とします。 ある状況に対処する方法を知らなければ、その状況に対処し始めることができないので、対処し始めないのです。 行動するためには、より多くのデータを取得する必要性があります。 人は通常、何か行動を起こす前に、何が起こっているのか、何をすべきなのかについて、たとえ明らかな危機であっても、4つほど情報収集をします。 非常事態が発生して誰かに避難するように言われても、すぐには行動には移さずに「何が起こったの?」と他の人に聞きます。 脳が新しいデータを処理する方法に原因があります。 研究によると、脳は落ち着いているときでも、新しい情報を処理するのに8~10秒かかるそうです。 ストレスが加わるとさらにその処理が遅くなるため、脳は状況がよく分からない場合は、正常な状態にすぐに戻ると誤信し行動を起こさないのです。 これが正常性バイアスの働きであり、気がついたときには手遅れになっていることが往々にしてあります。 社会生活を送っている人は、他人から異常だと思われることに敏感です。 警戒心が強い、過剰反応、愚か者だと思われたい人はいません。 「過剰に反応することはクールではない」という羞恥心や自分が誤解している可能性、勝手な行動を取って失敗する可能性を考えることで、正常性バイアスが働きます。 正常性バイアスは心の安定機能のようなもので、実際には危険でない出来事に対して過剰に反応するのを防ぐことができます。 日常生活において不安や心配を減らす役割があります。 災害時には約70%の人が正常性バイアスの影響を受けると言われています。 映画では群衆が叫び、パニックになる様子が描かれていますが、約70%の人は危機的状況でもいつも通りに振る舞っています。 これは正常性バイアスのメリットと考えることができます。 研究者は、正常性バイアスが働いている人々はおとなしく、混乱することなく指示を待つことができることを発見しました。 正常性バイアスが働いている人は、パニックになる10~15%の人たちを静め、落ち着かせる傾向さえあります。 しかし、裏を返せば、適切に行動する10〜15%の人々の進歩を遅らせる傾向があるということです。 緊急事態なのに逃げ遅れるなど危険に巻き込まれる原因にもなります。 西暦79年、ヴェスヴィオ山が噴火し、ローマ帝国の都市ポンペイとその住民1万6千人が埋没しました。 史上最悪の自然災害の1つとされていますが、ポンペイの住民は避難せずに何時間も見ていました。 早く避難しなかったのは正常性バイアスが働いていたからです。 ハリケーン・サンディは、かなり前から予測されており、避難勧告も出されていました。 しかし、ニュージャージー州の人々は「ただのハリケーンだろう」と思って、いつもと同じように生活が続くことを期待して避難しませんでした。 正常性バイアスにとらわれたことで、大きな代償を払わなければなりませんでした。 ユダヤ人に危険が差し迫っている兆候はいくつもありました。 ユダヤ人は識別すための黄色い星をつけさせられ、Jスタンプのついた身分証明書を常に所持しなければなりませんでした。 ユダヤ人に対する差別的な法律ができたあとも、ドイツに住み続けていました。 「長い間、生活が良かったのだからきっと良い方向に向かうに違いない。」 ユダヤ人たちは、アドルフ・ヒトラーとナチスを過小評価し、そのまま居座り続けました。 国外に移住する余裕のあったユダヤ人は、国内に留まり死んでいきました。 確証バイアスとは、自分に都合の良い情報を求め、自分に都合よく情報を解釈する傾向のこと。

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バーナム効果

オリジナル記事はこちら⇒https://setsinrigaku.com/10.html バーナム効果とは誰にでも当てはまることなのに自分のことを言い当てていると思い込む心理。 例えば、読者は星占いのコラムを読むとき、星占いの内容と同じだと思う自分の様々な面を探し出し、関連付けます。 そして、自分の性格に当てはまると思い込みます。 これがバーナム効果です。 バーナム効果によって、科学的に証明できない星占いや血液型占い・タロットなど非科学的な手法が多くの人に信じられています。 バーナム効果とは、1956年に心理学者ポール・ミールがエッセイ「ウォンテッド-良い料理本」の中に初めて出てくる言葉で、19世紀の有名な興行師バーナムに由来します。 バーナムは次のように語っています。 "A sucker is born every minute." (カモは毎分生まれてくる)。 この一文は、人々のだまされやすい性質と、自分について言われたことを信じようとする気持ちを指しており、バーナムが働いていたサーカス業界を明確に指しています。 心理学者バートラム・R・フォアは、学生39人を対象にして心理学に関するアンケートを行い、後日アンケートの結果に基づいてあなたの性格について説明すると言いました。 1週間後、フォアは学生一人ひとりに、相手に向けて書かれたような性格診断書を渡しました。 ほとんどの学生が性格診断の結果は正確だと感じており、0〜5段階評価の平均は4.26でした。 実は、全員が同じ「性格診断」を受けています。 フォアが作った性格診断書は占星術の本からまとめたもので、内容は「人に好かれたい」「自分に批判的な傾向がある」「まだ十分に発揮できていない能力がある」などごく一般的なものでした。 バーナム効果がもたらされる事例として、性格診断テストでよく見られる文章がをいくつかを紹介します。 これらの文章をすべて読み自分に置き換えてみると、そのほとんどが自分にぴったりと当てはまるように思うのではないでしょうか。 バーナム効果を効かせるコツは、ポジティブなことを言うことです。 なぜなら人は自分の良いところを信じる傾向があるからです。 ネガティブことを言う場合は「たとえ弱点があったとしてもあなたは克服することができます。」などとポジティブことと一緒に伝えると信じてもらいやすくなります。 確証バイアスとは、自分に都合の良い情報を求め、自分に都合よく情報を解釈する傾向のこと。

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ゴーレム効果

オリジナル記事はこちら⇒https://setsinrigaku.com/9.html ある人に対して周囲の期待が低いと、その人のパフォーマンスが低下するという心理現象です。 「あいつはダメ人間」だと思っていると、本当にダメな人になるということです。 ゴーレム効果は『負のピグマリオン効果』とも呼ばれています。 例えば、先生が生徒に「この子は見込みがない」と思えば、熱心に教育をしなくなります。 先生に見捨てられたと思った生徒は、やる気を失います。 その結果、成績が振るわなくなります。 それを見た先生は「やっぱり自分が思った通りだ」と自分の予想が正しかったことを確認します。 そして、先生はますますそっけない態度で生徒に接するようになります。 このようにして悪循環が繰り返されることになります。 ゴーレム効果は、親子や上司と部下との関係にも当てはまります。 『ゴーレム』は、ギリシャ神話に出てくる泥で作られた怪物です。 ゴーレムは主人に仕えるために作られましたが、ゴーレムの作者は、ゴーレムが危機と破壊をもたらすと考えるようになりました。 作者の予想通りゴーレムは凶暴で制御不能になったため、最後には破壊しなければならなくなりました。 ゴーレムの物語は、誰かに低い期待を抱くことがその人のパフォーマンスを低下させることを描写していたため「ゴーレム効果」という名前が付けられました。 ピグマリオン効果とは、期待が大きいと特定の分野でのパフォーマンスが向上する心理現象のこと。

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自己効力感

オリジナル記事はこちら⇒https://setsinrigaku.com/8.html 自己効力感とは、自分の能力についての信念で、目標を達成するために必要なものです。 何をすべきか分かっていて、それを実行できると思う精神的な余裕です。 自己効力感とは「自分自身の力を信じること、信頼することで、あることをするのに自信が持っていること」と言ってもいいでしょう。 自己効力感が高い人は、自己効力感が低い人よりも努力をし、成果を上げ、困難な課題にも粘り強く立ち向かうことができます。 専門家による自己効力感の定義を紹介します。 自己効力感とは、何かをするときに自分は成功する能力があると信じること。 自己効力感とは、自分自身のスキルや能力を信じること。 自己効力とは、状況がよく分かっており、自分にとって好ましいものを生み出すことができる信念のこと。 自己効力感は、外部環境、個人の能力、適応メカニズム、教育や経験との相互作用の結果。 バンデューラは、自己効力感を形成する以下の4つ要因があると言います。 ある人が過去に何かをして達成した経験があると自己効力感が高まります。 逆に失敗した経験があると自己効力感が下がります。 自分に似ている他人の行動を観察することで自分もできると思えば、自己効力感は高まります。 他の人から「君ならできる」と励まされたりサポートを受けることで、自己効力感が高まります。 心身ともに健康であることで自己効力感を高めることができます。 自己効力感の概念は、大きさ、強さ、一般性という3つの次元に分けられます。 自己効力感の大きさとは、本人が処理できると認識している難易度のことを指します。 例えば、1人目は「5回は的の中心に矢を当てる」という信念を持っていて、2人目は「8回当たる」と信じている人がいる場合h、2人目は1人目と比べて自己効力感が高いと言えます。 自己効力感の強さとは、自己効力感の強弱に関連する信念のことです。 先ほどの例で、1人目は「たぶん5回しか当たらないだろう(弱気)」と思い、2人目は「確実に8回当たる(強気)」と思っている場合h、2人目は1人目よりも自己効力感が強いと言えます。 自己効力感の一般性とは、自分の能力にどれだけ自信を持っているかを示しています。 最初の人が、ライフル、矢、ピストルなどを使って的に当てられると思い、2人目はそのように考えていない場合は、1人目は2人目よりも広い一般性を持っていることになります。 スタンフォード大学の心理学者であるアルフレッド・バンデューラは、自己効力感が職場における学習やパフォーマンスに5つの方法で影響を与えると説明しました。 自己効力感の高い社員は、自分にとってより困難な目標を選択する傾向があります。 自己効力感が高い社員は、成功の確信があるため、新しい仕事の習得に励みます。 自己効力感の高い社員は、成功するという確信があるため新しい仕事、困難な仕事に直面しても、粘り強く努力を続けることができます。 自己効力感が高い社員は、失敗してもすぐに立ち直ることができます。 自己効力感が高い社員は、課題に直面したときに不安やストレスによる悪影響がありません。 職場において、自己効力感は、従業員の生産性、ストレス耐性、健康状態に影響を与えます。 自己効力感を高めることで、従業員のパフォーマンスを向上させ、それが会社の業績向上に直結するのです。 ここでは職場で自己効力感を高める方法を紹介します。 自己効力感を高めるには、まず、ある課題をうまくやり遂げた人を観察することです。 誰かが成功して評価されているのを見れば、それをお手本することができます。 自分も同じことをできると感じてモチベーションが上がります。 クリエイティブな友人を持つことで自己効力感を高めることができます。 あなたのスキルは、クリエイティブな友人との付き合いの中で磨かれていくことでしょう。 職場において、相談に乗ってくれる人はとても貴重な存在です。 なぜなら相談に乗ってくれる人は、あなたが悩んでいるときに、あなたのキャリア形成のために意見を述べることで、役に立っていると実感させることができるからです。 ささいなことでも成功したことを毎日書き留めることで、自己効力感を高めることができます。 あまり得意でないことにも自信を持ち、日々進歩を実感することができます。 機嫌が悪いとき、気分が乗らないときは、パフォーマンスに重大な影響を与えます。 自分を落ち込ませる人や場所から離れましょう。 ストレスのかかる状況を避けることが大事です。 自己効力感を高めるためには、より効果的に仕事をするために必要なスキルを身につけることです。…

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プラシーボ効果

オリジナル記事はこちら⇒https://setsinrigaku.com/7.html プラシーボ効果とはプラシーボ(偽薬)偽薬でも効果があると信じて飲むことで病気が良くなること。 ※プラシーボとは、本物の薬に似せて作られた「偽薬」のことで、プラシーボという言葉は、ラテン語の動詞pleasureに由来しており、"好きになる "という意味です。 患者が、自分が飲んでいるくすりは効き目があると思い込むことで、本当に効くようになります。 プラシーボには、錠剤、カプセル、注射液などの種類があります。 材料は小麦粉や砂糖、生理食塩水だけで、ただの水ということもあります。 一般的にプラシーボの錠剤やカプセルを飲んだ人よりも、プラシーボの注射を受けた人のほうが、より強いプラシーボ効果を経験することができます。 これは「飲み薬より注射の方が早く効く」という認識と関係がありそうです。 2005年、ミシガン大学の研究グループは、14人の若い健康な男性のあごに塩水を注入し、痛みを誘発させました。 その後、プラセボが投与され薬が効いていることを告げられました。 プラセボを投与すると、脳のエンドルフィン分泌が活発になることがスキャンで確認されました。 被験者は薬を飲んだあと痛みが軽減されたと言っています。 プラシーボは、臨床試験で薬の効果を検証するために使用されることが多い。 例えば、コレステロールを下げる新薬の研究において、被験者を2つのグループに分けます。 一方のグループにはプラシーボを、もう一方のグループには試験対象となる薬剤を投与します。 しかし、誰も自分がどの薬をもらっているかは知りません。 研究者は2つのグループに対して、薬とプラセボの効果を比較します。 研究者は新薬の有効性を判断し、薬の副作用がないかどうかを確認することができます。 もし先発医薬品とプラセボが同じ結果を出した場合、その医薬品は効果がないと判断されます。 プラシーボは有効成分が含まれていないにもかかわらず、服用者の中には病気や症状が改善されたと感じる人もいるようです。 臨床試験でもプラシーボ効果が表れます。 薬の臨床試験では、約21〜40%の被験者がプラシーボ効果を経験するという調査結果があります。 この効果は、心拍数、血圧、心理状態、痛みの強さ、あるいは脳活動の変化など、さまざまなパラメーターに反映されます。 プラシーボ効果は特にうつ病、睡眠障害、過敏性腸症候群などに効果を発揮します。 実際、ある研究ではプラセボ薬を使用することでぜん息が改善されました。 この研究では、プラシーボ吸入器を使用したグループは、呼吸テストの結果が良くなりませんでしたが、不定愁訴の知覚が改善されたことが報告されました。 ※不定愁訴(ふていしゅうそ):原因がはっきりわからないけれど、なんとなく体調が悪い」といった状態のこと。 プラシーボが与えられると、脳はその薬が病気に効くと思い込み、痛みや頭痛が軽減されたり、気持ちが落ち着くなど、症状の改善を実感することができます。 研究の結果、プラセボは脳を刺激してエンドルフィン、ドーパミン、オキシトシン、セロトニンなどの化学物質を生成し、痛みを緩和したり心を落ち着かせたりする効果があると考えられています。 プラシーボ効果を実現するためには、精神的な暗示や心理的なサポートがプラシーボ効果に一役買っています。 患者が有効な治療を受けていると信じることが必要です。 医師はその治療をすることによって病気が治ると信じるように仕向けられる必要があります。 薬が効くと信じている人は、プラシーボ効果が表れやすく、薬の効果に懐疑的だとプラシーボ効果は出にくくなります。 プラシーボ効果とは正反対の意味の用語にノセボ効果があります。 ノセボ効果とはネガティブな思い込みによって薬が副作用をもたらす恐れがないのにもかかわらず患者が副作用に悩まされること。 ノセボという言葉は「私は害をなす」という意味のラテン語に由来しています。 例えば、眠くなる成分が含まれていないのに「この薬を飲むと眠くなる」と言われたあとに飲むと、患者は実際に眠気を感じることがあります。 薬や担当医に不信感を持っている人は、その傾向が強くなります。 ピグマリオン効果とは、期待が大きいと特定の分野でのパフォーマンスが向上する心理現象のこと。 ハロー効果とは初めて会った人の外見や話し方あるいは服装や行動をざっと見ただけで、その人を分類すること。 サブリミナル効果とは人が意識できない刺激によってその人の思考、感情、または行動に影響を与えることできる効果のことです。

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