さて、ブドウ糖(グルコース)の事は、大体分かって頂いたと思います。
では次に、違う種類の糖を学びましょう。
中学理科との関係で書きましたように、
デンプンからブドウ糖が生じる途中過程で、「麦芽糖」ってのが生じていますよね。今回はそれを学びましょう。(麦芽糖は「マルトース」とも言います)
まず結論から書きますと、「麦芽糖」ってのは、
こんな構造をした糖です。
ありぇ?なんか似てませんか?
そうですね。「麦芽糖」ってのは、ブドウ糖が二個、横向きに合体したものです。
どうやって合体したのかと言いますと、
ブドウ糖の一番炭素についた水酸基と、四番炭素についた水酸基から、HとOHがはずれて、H2Oとして脱離した訳です。
これに伴って、「二個のブドウ糖」は、水一分子分だけ軽くなりますよね。縮んだ訳です。縮んで合体したので、この様な反応を縮合反応と言います。
さらにこの場合、水が取れる事で縮合していますから、「脱水縮合」と言います。
つまり麦芽糖は、αグルコースが縮合してできた物なんです。
逆に消化で麦芽糖からグルコースが生じるのは、逆反応で、
が起きた訳です。加水分解ですね。
試験管でこれをやるためには、酸を触媒として加えます。
体内では、消化酵素「マルターゼ」で消化します。
糖を識別する方法で重要なのが、この「還元性」なんです。ですから、これを考えておく必要があります。
麦芽糖は、ブドウ糖が二個繋がっています。
左側にあるブドウ糖は、一番炭素にある水酸基が、二個繋がるために使われているため、以前書いた反応ができないため、鎖状グルコースになることが出来ません。ですからアルデヒド基を生じる事が出来ず、還元性を持ちません。
しかし、右側にあるブドウ糖に注目しましょう。
一番炭素が空いていますから、アルデヒド基を生じる事ができます。だからここに還元性があります。
そんな訳で、麦芽糖としては、(右側のブドウ糖の力で)還元力を持ちます。
さて、麦芽糖はこんなもんでしょう。
これでブドウ糖、麦芽糖は分かりました。
じゃぁ、「デンプン」って何?
次はそんな話をしましょう。
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