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遷移金属元素

10 11 12 13 14 15 16 17 18
He
Li Be Ne
Na Mg Al Si Cl Ar
Ca Sc Ti Cr Mn Fe Co Ni Cu Zn Ga Ge As Se Br Kr
Rb Sr Zr Nb Mo Tc Ru Rh Pd Ag Cd In Sn Sb Te Xe
Cs Ba Hf Ta Re Os Ir Pt Au Hg Tl Pb Bi Po At Rn
Fr Ra

金属元素のうち、周期表の中央付近を占めるのが この「遷移金属元素」です。

鉄や銅など、結構馴染みの深い元素が含まれます。

電子軌道の関係で、これらの元素は内殻に空きがあるため、原子番号が増えても、価電子の数があまり変化しないのです。(新しく入る電子が、空いている内殻に入るため、最外殻の電子状態が変わらないわけです。)ですから、価電子数はほとんどの場合2で、変わりません。(1の場合もあるけどね)

これら遷移元素は錯体を形成する事が多く、その事がかなり元素の性質に影響します。まず、錯体に関して学びましょう。

ここを読んでから、戻ってきて下さい。

では、それぞれの金属の具体的な性質を勉強してみましょう。

  1. マンガン
  2. コバルト
  3. ニッケル
  4. クロム
  5. 白金


なぜ遷移元素は似ているか

第4周期 Ca Sc Ti Cr Mn Fe Co Ni Cu
K殻
L殻
M殻 10 11 13 13 14 15 16 18
N殻

遷移元素は、価電子数はほとんどの場合2です。

なぜそんな妙な事が起きるかというと、電子軌道に起因しています。

というのは電子軌道で書きましたように、電子殻は単一構造ではありません。K殻は1S軌道だけでできていますが、L殻は2Sと2p軌道、M殻は3S、3p、3d軌道からできています。

S軌道、p軌道、d軌道はそれぞれエネルギーが違い、s、p、d・・・の順番に高くなります。

そのせいで、妙な事が起きます。

M殻の3d軌道よりも、N殻の4s軌道の方が、エネルギーが低いのです。

良く分からない人は、「M殻の高い部分は、N殻の低いところよりも高い」とだけ分かって下さい。

電子はエネルギーが低い軌道から順に入りますので、一部でM殻より先にN殻に電子が入るという状況が生じます。

具体的には、例えばArは希ガスでして、最外殻に8電子で閉殻(電子が満タンの事)になっているとは言いますが、正確にはまだ空きがあります。M殻は最大まで入れれば18個の電子が入りますから、後10個の電子が入る事ができます。

しかし、M殻に9個目の電子を入れるよりも、N殻に1個入れる方がエネルギー的に低くなるので、KではM殻の9個目ではなく、N殻に1個目が入ります。

同じ理由で、CaもN殻に電子が入ります。

しかしN殻に2電子が入ったところで、N殻の一番エネルギーの低い4s軌道が満員になりますので、次のScからは、N殻ではなく、M殻の空いている軌道に入ります。

そんな関係で、Scからしばらくの元素は、価電子数が原子番号が増加しても変わらず2になるのです。

価電子数が同じならば、化学的性質も似ているはずですね。

ですから遷移元素は、化学的性質が似てきます。

さらにこれらは、M殻とN殻の至る所に電子の「空き」がありますね。そこへアンモニアやシアン等の非共有電子を持った分子が配位結合できるんですね。こういう訳で、遷移元素は錯体を形成できる訳です。


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