電子軌道

電子軌道(その1)


最初に断っておかなければなりません。

といいますのは、ここの説明では、あえて間違った説明をたくさん使います。

しかし「理科のお話」でも書きましたように、間違った(事実と違った)説明は、理解するためには時として、とても役に立つことが多くあります。ですから、あえて間違った表現をたくさん使います。正確な説明には高度な数学と物理が必要です。どうしても正確に知りたい場合、大学で専攻してください。


さて、本題に入りましょう。

ここでは「電子」の取り扱い方、「電子殻」の扱い方を説明します。

多少、教育課程から逸脱しますが、知っていると役に立つ知識です。


原子に含まれる電子は、原子核の周りをクルクル回っています。

電子というのは小さい小さい粒でして、もちろん質量もあります。

それが太陽の周りを回る地球の様に、地球の周りを回る人工衛星の様に回っています。(遠心力とクーロン力がつりあっている訳ですね)


そう習ったと思います。

で、確かにそれはそうではあるんです。

でも、そう解釈すると、化学結合がうまく説明できないんですよ。


そこで、一見説明が矛盾する様ですが(実は矛盾ではないんですが)、こう考えてください。


電子は確かに小さな小さな粒ですが、そうではなくて、綿の様な、雲の様な、ぼんやりした、広がりを持った物なんだと考えてみます


で、さらにこう考えます。

電子は電子殻という殻の中を回っていると習ったと思いますが、そうではなくて、「電子殻の半径に相当するあたりに、ぼんやりとした雲のような電子が漂っているんだ」と考えてみます。


と、ここまでは参考書によってはここまでは書いてありますが、これではちょっと誤解を生じやすいです。


えとですね、確かに電子は原子核の周りを回っているんです。クルクルクルクル・・・・。

でもね、その「雲のような電子」が回っている訳ではないんです。

雲のような電子、これを「電子雲」と言うんですが、電子雲は、殻の半径に相当する付近で静止しています。

はぁ?

訳、分からないですね。

矛盾していそうですが、矛盾していないんです。

「電子は小さい粒で、原子核の周りを回っているけれど、電子は広がりを持った電子雲で、回らずに止まっている」という、とんちんかんな話になってしまいます。


さぁて、難しくなってきました。(^^)


では、説明してみましょう。

いく川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」(鴨長明:方丈記)

国語の時間に出てくる言葉ですね。無常感を表す言葉として有名ですね。

「川はいつもそこにある。川はじっと、そこにあるけれど、川を形作っている「水」は常に流れている。目の前の水は常に動いている。」 と言う事ですね。

水が流れ続けるからこそ、川はいつもそこにありつづける事ができるのですよね。もし水の流が止まってしまったら、そこには川は無くなってしまいますね。(池になっちゃうもん)

流れているから、動いているからこそ、そこに止まって居られるのです。

これって一見矛盾しそうですが、矛盾していないでしょ?


電子の話も、同じような事なのです。

「粒々の電子」が「くるくる回る」ことで、「止まっている電子雲としての電子」が生まれます。ですから矛盾はしないんです。(詳しく知りたい人は大学で)


さて、ここまでの話を一端整理しましょう

電子は「電子雲」という、広がりを持った雲の様な存在として存在します。

「電子殻に電子が入っている」というのは、「電子殻の半径付近に、電子雲が漂っている」事を意味するんです。

そして、電子雲は核の周りを回転してはいません。止まっているのですね。

ここまで理解できましたか?

理解してもらえば、次に進みましょう。

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