作者 熊猫
Japanese Translation : ONE
前書き
| ずっと私も何か小説を一本執筆したいと思っていましたが、題材の為かいつも悩んでおりました。 一度「めぞん一刻」をじっくり
視聴した後、心の中に少なからずアイディアが浮かんできて、加えてこのHP上に他の方のHPには無い物を加味したいと思うよう になり、この小説を書く事を試みました。 題名はOVAの《めぞん一刻総集編・・移り行く季節の中で・・》を参考にしました、 私は題名で「めぞん一刻」の味わいを失うことはしたくなかったのと、「めぞん一刻」は桜が満開の季節に完結した事を考えて、こ の小説は上記の題名に致しました。 物語の始まりは桜が満開の季節で、とある日の夕方、五代くんと響子さんが結婚して2年後、 すなわち昭和64年の春です、それゆえこの物語の副題を「桜が満開の季節の中で」としたのです。この物語の構想を練る前に、私 は既に新しいキャラクターを一名追加させることを考慮していたのですが、物語には一本の鮮明な主題が有りましたので、詳細を熟 考した後にその案を頭から打ち消しました。何故ならば、大部分の方々が原作キャラクターの物語が大好きであることと、何と言っ ても彼らへの愛着があること、新しいキャラクターの加入が原作の物語構造を容易に破壊してしまうことを単純に比較した為です。 この小説を執筆中に、私は出来るだけ読者が読んだ時に同時に求められる「めぞん一刻」の味わいを保つようにして、私もそれを 忘れたりしないように「めぞん一刻」をずっと読んで見ていました。 物語の初期では、私は比較的手軽な手法を用いましたが、物 語の発展に連れて、雰囲気が漫画の後期と同様に段々と厳粛に向かっていくようにしました、その上に人が感じる情緒的な気持ちを 加えましたので、よしんば皆さんを感動させられないまでも、皆さん各位の情緒を多少でも揺り動かす事が出来れば幸いです。 執 筆形式の面では、人物間のセリフで物語が発展していく手法を多く採用して、漫画の風格を保てる様に致しました。 皆さんが気に 入って頂ける事を希望致します。ありがとうございました。 2001年8月19日
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プロローグ
「一之瀬さん、一之瀬さん」 1号室の扉がゆっくりと開き、寝惚けまなこの一之瀬さんが声の主を捜した。 「何だよ?うるさいねえ・・・」 一之瀬さんは欠伸をしながら、気の進まない調子で言った。 「今日・・・」 声の主はやはり四谷さんだった。 「管理人さん、確か、今日が退院じゃなかったですか?」 「ああ・・・・」 一之瀬さんはポンと手を叩いて言った。 「もうそろそろ帰って来る頃だよ?」 「こんちゃーす!」 玄関から朱美さんの声が聞こえて来た。 「あ!やっぱり朱美さんだ」 一之瀬さんは言った。 朱美さんは袋からお酒を一本取り出して、言った。 「ほい、これ亭主(マスター)から差し入れ」 「ほほー、これはまた」 四谷さんはすぐさま見て調べた。 「そうだ、あの二人どうするつもりなのかな?」 朱美さんは問うた。 「うん・・・子供が出来たら引っ越すって言ってわりに・・・」 一之瀬さんは答えた。 「居ついちゃいましたねー」 四谷さんが続けて言った。 「まあね」 一之瀬さんが嬉しそうに言った。 「それもいいんじゃない?」 その時、一刻館の外から車の音が聞こえてきた。 「ばうばう!」 惣一郎が吠え続け、全員が屋外に出て行った。 タクシーが停まると、両手に赤ん坊を抱えた響子さんがゆっくりとタクシーから降りて歩き出し、五代くんが 荷物を手にして後に続いた。 「ただいま」 響子さんが微笑んで言った。 「お帰りなさいませ」 四谷さんが声を掛けた。 「きゃー・・・見せて見せて赤ちゃん」 朱美さんが嬉しそうに近付いて言った。 「へー、血色いい」 「パパに似て健康なのよねえ」 響子さんが言った。 「女の子だって?名前決めた?」 一之瀬さんが問うた。 「春の香りで・・はるか」 五代君が答えた・ 「へー、春香ちゃん・・・いい名前じゃないの」 一之瀬さんは微笑んで言った。 五代くんと響子さんは頭を低くして春香ちゃんを眺めた・・・・・。 春香ちゃん、お家に帰って来たのよ。 ここはね・・・ パパとママが初めて会った場所なの・・・・・・
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