アセチレンへの水の付加反応

ビニルアルコールは不安定


前にも出てきましたが、アセチレンに水を付加させると、

 + H2O →

ではなくて、

 + H2O →

という反応を起こします。

というのは、(これをビニルアルコールと言います)は不安定で、存在出来ないという性質があるからです。

ですから正確に言いますと、 + H2O → という反応が間違いなのではなく、

 + H2O →  →

という二段階の反応が自動的に起きるんです。だから見た目には、ビニルアルコールは生じない様に見えるのです。

なぜそんなことが起きるのか?

それは、ビニル基に付いたアルコール性水酸基は不安定であるというルールがあるからです。

(「じゃぁ、なんでそれが不安定なの?」という疑問は当然ですが、「ケト−エノール互変異性」という問題が関係していまして、それは大学受験の範囲ではないので、興味があれば、大学で学んで下さい)

ビニルアルコールが自然分解して、アセトアルデヒドが生じる仕組は、

こんな感じで、水素の移動に伴うπ結合の移動に依ります。

つまり、電気陰性度の大きい酸素が、水素から電子を奪い取って、水素イオンが生じます。

すると、酸素が一本足になって都合が悪いので、炭素と二重結合を作ります。

しかしこれでは二重結合を持った炭素の足が五本となって困るので、炭素間二重結合のπ電子を左側の炭素に移動させます。

すると、左側の炭素が非共有電子対を持って不安定になるので、通りかかった水素イオンを捕まえて、単結合を作ります。

と、結果的にアセトアルデヒドが出来る訳ですね。

これは有機化学の基本ですから、「知らない」では済みません。よ〜く理解して下さいね。


さて、アルコールで最初に学ぶべき内容は、このくらいでしょうかね。


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