ヘリテイジツアー(2) | ||
「アールデコ調は好きではないが」 PHT(Penang Heritage Trast)のサイトビジットツアーに初めて参加したのは2002年3月であった。その後、Penang Hill、Seri Mutiara(知事公邸隣で修復中), Clan Jeti、等など企画されたが参加する機会に恵まれなかった。日曜の午後にゴルフに行くことが多くなった事と、2003年の年会費(RM35)を納めていなかったからだ。そんなある日、PHTからサイトビジットの案内がe-mailで届いた。今回はNortham Road の邸宅群のひとつケダハウス(Kedah House)である。個人的にはこの類の建物は好きではないが、邸宅内部が見れるので参加した。 5月31日(土)午後3時、所有者であるTunku(王族の称号/名前は忘れた)の特別の許可があり敷地内の駐車、建物内の見学が許可された。ケダハウスはクラッシックなパラディオ様式の邸宅が立並ぶNortham Road では異なった趣である。アールデコ(Art Deco)調や、ロマネスク(Romanesque)調、等の影響を受け、正面に配した旗竿(Flagpole)、幾何学模様の漆喰細工(Plaster Molding)、等直線的な意匠が特徴である。戦後に普及した近代建築をいち早く取り入れ、当時としては最先端の建物だった事だろう。 「内部は驚くほど質素」 1階はリビングとダイニング、2階は書斎と3ベッドルームという構成である。解っていたことだが古い建物は決して快適ではない。ましてや主がムスリムのせいか、目を見張るような高級な調度品がある訳でもなく、「こんな処に王族が泊まるの?」と思うほど内部は質素である。 昔はエアコン等無かったので、通気性を配慮して換気口が至るところにあるが、今ではムクドリの格好の住み家になっている。そして天井が抜け落ちてる部分もあり、メンテナンスは決して良いとは言えない。ゲストベッドルームに至っては3スターホテル並みの、安っぽいベッドが置いてあるだけである。もし「泊まっても良いよ。」と言われたら、辞退申し上げて向かいのThe Northam に泊まったほうがどれだけ快適な事か。 |
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海をみ晴らすゲストルームのベランダ 富豪でないと味わえない空間である。 |
建物を裏から見ると正面とは異なり 中央部にドームが配されている。 |
2階ドーム内部は書斎になっている。 インテリアは驚くほど質素である。 |
Tunku の説明によると、ケダハウスはケダ州王族の別邸として20世紀前半に建てられたそうだ。当時Alor Setarからペナン島の日帰りは困難であった為、所用でペナン島に来た王族はこの別邸に1泊して帰ったそうだ。ペナン大橋が完成し高速道路が全線開通した現在、(白バイに先導されて200kmでぶっ飛ばせば)1時間で帰れるので、ほとんど利用していないそうだ。ジョージタウンの一等地で広大な敷地と屋敷を維持していくのも楽ではないだろう。 (2003年6月15日)
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