コロニアル様式とは?
 

そもそもコロニアル様式(Colonial Style)とは、どんなものだろう。一般的に1718世紀の英国、スペインなどの植民地で行われた、本国の建築様式の模倣といわれる。それでは本国の建築様式とは? 

一言で言えば欧州古典様式(Western Classical Style)だそうである。19世紀の英国ではパラディオ主義(Palladianism)に代表される、新古典主義(Neoclassical movement)がはやっていた。さてこのパラディオ主義だが、ベネチアの建築家アンドレア・パラディオ(Andrea Palladio)によって生み出された手法である。知らなかったが、全世界に最も影響を与えた、偉大な建築家だそうだ。

特徴はギリシア、ローマ神殿を思い浮かべて欲しい。ペディメントと呼ばれる三角壁を、重厚な列柱で支える手法である。単なるモニュメントであったこの手法は、パラディオによって実際の建築技術として実用化されたそうだ。これらのモティーフが構造体として、時には単なる装飾としてコロニアル建築に用いられる事になる。では具体的にはどんなものなのか、ペナン州議会ビルが良いお手本なので、例にとって説明しよう。

最も特徴的なのが堂々とした円柱(Column)である。列柱ともいう。最下部にBase、最上部にCapitalと呼ばれる彫刻の施された部位を持つ。

円柱が支えるのは特徴的な梁部分(エンタブラチュア / Entablature)である。軒じゃばらで額縁の様に幾層にも縁取られた小壁(Frieze)である。

そして梁部分に鎮座ましますのが切妻壁(ペディメント/ Pediment)である。三角屋根の端を塞ぐ形のものだが、単なる装飾として使われることもある。

それではコロニアル建築とは、欧州古典様式そのものかと言うと、答えはNOである。英国による植民地支配は、マレーシアに先駆けてインドで行われていた。そこでは欧州古典様式が熱帯気候に適合するようアレンジされ、アングロインディア様式(直訳すれば英印様式)と呼ばれていた。18世紀のフランシスライトの住居であった、サフォークハウスはその典型である。マレーシアのコロニアル建築のルーツは、ここにあると言われている。

更にマレーシアの建築物は、アングロストレイト様式(Anglo-Starait's-Style)と呼ばれている。それは1830年、ある男がカルカッタからシンガポールに赴任してきた事から始まる。英国人建築家ジョージ・コールマン(George Drumgold Coleman)である。彼の仕事はラッフルズ卿の元で、シンガポール植民地政府の都市計画立案、及び公共ビルの設計であった。コールマンはアングロインディア様式に加え、伝統的マレー建築を観察し、その手法を取り入れた。例えばルーバー付の大きな窓(右写真)、オープンエアの渡り廊下、高い天井に、ベランダ等である。こうして本国とは「似て非なる」、マレーシア独自の建築様式が定着していった。

(引用:The Encyclopedia of Malaysia Volum 5 "ARCHITECTURE")

2001812日)

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