シアン自身は、 NC-CN の構造を持つ無色・アーモンド臭の気体である。
が、むしろ、NC- の構造を分子内に持つ「シアン化合物」が有名で、重要である。「青酸化合物」とも言う。
例えば、有名なものとしては、
シアンはまた、反応中間体として重要であるなど、様々な性質を持つ。
KCN や NaCN 等の青酸化合物による中毒。
青酸化合物は、ミトコンドリア内のチトクロム酸化酵素の3価の鉄と結合して、酸化作用を消失させる事で、細胞の呼吸を障害する。結果として、細胞中毒性低酸素症の状態となり、急激な中毒症状を発現する。
有機シアン化物 R-CN を「ニトリル」と言う。
ニトリルは、酸もしくは塩基触媒の条件で加水分解し、カルボン酸を生じるため、カルボン酸の生成方法として重要である。
では、そのニトリル自身は、どうやって合成するかといえば、ハロゲン化アルキルとシアン化ナトリウムをSN2反応して合成する。
だから早い話が、ニトリルは、
という、一連の流れの中間体として重要なわけだ。
なお、この過程で、主鎖にニトリルの炭素が加わるので、炭素数が1だけ増える事になるね。
一応、一例のストリームを例示する。臭化n-プロピルから、ブタン酸(酪酸)を合成する過程である。