シアン化合物(青酸化合物)

NC-CN


シアン自身は、 NC-CN の構造を持つ無色・アーモンド臭の気体である。

が、むしろ、NC- の構造を分子内に持つ「シアン化合物」が有名で、重要である。「青酸化合物」とも言う。

例えば、有名なものとしては、

  1. KCN:青酸カリ(シアン化カリウム)
  2. NaCN:青酸ソーダ(シアン化ナトリウム)
等がある。

シアンはまた、反応中間体として重要であるなど、様々な性質を持つ。


シアン中毒

KCN や NaCN 等の青酸化合物による中毒。

青酸化合物は、ミトコンドリア内のチトクロム酸化酵素の3価の鉄と結合して、酸化作用を消失させる事で、細胞の呼吸を障害する。結果として、細胞中毒性低酸素症の状態となり、急激な中毒症状を発現する。


有機シアン化物・ニトリル

有機シアン化物 R-CN を「ニトリル」と言う。

ニトリルは、酸もしくは塩基触媒の条件で加水分解し、カルボン酸を生じるため、カルボン酸の生成方法として重要である。

加水分解した結果、カルボン酸アンモニアを生じる。

では、そのニトリル自身は、どうやって合成するかといえば、ハロゲン化アルキルとシアン化ナトリウムをSN2反応して合成する。

だから早い話が、ニトリルは、

アルキル → ハロゲン化アルキル → ニトリル → カルボン酸

という、一連の流れの中間体として重要なわけだ。

なお、この過程で、主鎖にニトリルの炭素が加わるので、炭素数が1だけ増える事になるね。

一応、一例のストリームを例示する。臭化n-プロピルから、ブタン酸(酪酸)を合成する過程である。

CH3-CH2-CH2-Br → CH3-CH2-CH2-CN → CH3-CH2-CH2-COOH


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