コロニアル建築(4)
ビーチストリートのパブリックビル


気まぐれでペナンのコロニアル建築を紹介することにする。中にはコロニアルという定義から外れるものもあるが、そこは大目に見て欲しい。

さてさて第1回はジョージタウンの旧市街に、ビーチストリート(Beach street)のパブリックビルを紹介しよう。別名パンタイ通り(JL.Pantai)とも呼ばれ、かつてペナンの玄関口に近い目抜き通りであった。当時は英国植民地政府や貿易商社が軒を連ねていた。現在はペナンの金融街として銀行が軒を連ねる、東京丸の内の様な処である。最近では建物老朽化や駐車場不足などで、多くのオフィスがノーザンロードなどの、新興オフィス街に移転しつつある。かく言う私も会計士事務所がペナンガーデンに移転したので、最近はほとんど訪れることが無くなった。多くの歴史的建築物が残るこの地域、今後どのように再開発が進むのか興味のあるところである。

さてトップバッターはABN AMRO Bank Buildingである。このビルは「Wilson & Neubronner」 社の設計により、1905年に建設された。当時は東インド会社のライバルであるオランダ系貿易会社が入居していた。1階部分がアーチ型開放部を持つ渡り廊下、2階以上が典型的パラディオスタイルの特徴的なビルである。最近改修され「Old China Cafe」が入居した。内部は天井が高く、金庫室がワインセラーに改造された不思議な空間なので、是非一度訪れて欲しい。このように一般に開放されるコロニアルビルが増えて欲しいものである。

次はABN AMROの向かいで圧倒的な存在感を誇るこのビル、1930年に完成したStandard Chartered Buildingである。特徴は他の粘土細工のビルとは違い、重厚な質感を誇る外壁である。だからこのビルの前だけは欧州の街角の様な雰囲気である。構造はABN AMRO 同様、1階と2階以上が異なる様式で仕上げられている。時代を感じる1階の夜間金庫がレトロな雰囲気でよい。設計は有名な「Stark&Mcnail」で、ペナンには彼らの手がけたコロニアル建築が今でも数多く残っている。今もStandard & Chartered Bankとして営業している。

最後に紹介するのはビーチストリート入り口にあるState Religious Council漆喰細工が見事なこのビルは、1907年建設された。この付近は英国植民地政府があったため、第二次大戦中、日本軍によって徹底的に破壊された。最近改修されが、なんとも趣味の悪いパステルブルーにペイントされてしまった。現在ではモスリム庁舎が入居していると聞けば、趣味の悪いペイントもうなずける。イスラム法裁判所であるシャーリアコートもあり、モスリムにとってはポリスより怖い存在である。不用意に中に入らないようにしよう。

さて以上が私の個人的に好きな建物である。なぜならメンテナンスが行き届き、有効活用されているからである。いくら歴史的に意味があっても、朽ち果てた廃墟じゃつまらない。ABN AMROOld China Cafe)の様な建物が、もっと増えて欲しいところである。そうすればコロニアル建築ファンも増え、観光客も増えることだろう。そうそう夜はライトアップすれば尚良いだろう。

この他にもビーチストリートには、由緒ある長屋「Logan's Building」、すっかりモダンなビルに生まれ変わった「HSBC Bank Building」、Southern Bankとしてお馴染みの「Ban Hin Lee Bank Building」、かつてCIAが入居していた「India House Building」、等がある。

次回はライトストリートのパブリックビルか、ノーザンロードの豪邸を紹介しよう。えっ、興味無い?屋台飯の話題の方が良い? まあまあそうおっしゃらずに。

(2001年92日)

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