イスラム教
 

マレーシアの国教はご存知イスラム教。アジア・アフリカの熱帯地域に10億人分布する世界最大の宗教であるが、日本人にとって最もなじみの薄い宗教である。ペナンなどの都市部では仏教徒である華人比率が高いが、会社のあるケダ州スンガイペタニではマレー人比率が高くイスラム色が濃い。酒は飲まず、豚肉は食わないマレー人は俗人である私には付き合いづらい。仕事中にお祈りに行ってしまうし、断食月には生産性は落ちるわで仕事もやりづらい。それに女性は肌を露出できないのでファッショナブルじゃないし・・・。

カルチャーの違いは如何ともしがたいところがある。いったい彼等は何を考えてるんだろう? イスラムの教義は言わずと知れた「コーラン」である。これを現代の日常生活に当てはめたものが聖法としての「シャーリア」である。例えば脱俗(禁酒・禁欲)などのイスラム教徒の道徳的価値観は「道徳律」から来ている。またイスラム教徒以外との結婚を禁ずる等の民法に相当するのが「和解事項」である。目には目を・・・のイスラム刑法である「刑罰」も規定されている。中でも重要なのは信仰の柱である「信条(六信)」とその実践行為としての「勤行(五行)」である。ここを見ればイスラム教徒の大筋が理解できる。


「信条(六信) それはイスラム教徒が信じなければならない6つの対象である。」

万物の創造主である神は唯一絶対であり、他の神は一切認めない。ちなみにアッラーとは「神」という意味で「アッラーの神」と言うと「神の神」になってしまう。
天使 天使は神が創造し、預言者に啓示をもたらすメッセンジャーである。言っておくが彼らは松田聖子のようなレディーではない。
啓典 これはようわからん。

預言者 神の言葉を正しく理解しその啓示を人々に伝える。ムハンマドを以外の預言者は、啓示を正しく伝えることに失敗したとなっている。
来世 イスラム教でも天国と地獄での来世生活が待っている。現世の行いの良い者は天国で酒池肉林の生活を送り(これ本当でっせ)、悪い奴は地獄に落ちる。
天命 人間の行為を含めた一切の事柄は、あらかじめ神によって定められていると言う宿命論。一歩間違えると努力しても運命には逆らえないという悲観論につながる。


「勤行(五行)と聖戦 イスラム教徒は信じるだけじゃ駄目で、5つの実践が必要である。」

信仰告白 イスラム教徒は日々の礼拝の中で「アッラーのほかに神はなし。ムハンマドはアッラーの使者なり。」と宣言しなくてはならない。
礼拝 イスラム教徒には一日5回の礼拝が義務付けられている。水で手足を清めた後、メッカのアカバ宮殿に向かい平伏し、地に頭をつけて神をたたえる。
断食 イスラム暦9月(ラマダン月)の30日間、日の出から日没まで一切の飲食はおろか喫煙、SEXも禁じられる。ただし夜になれば合図を待って一斉に喰い始める。
喜捨 所有する財産に対し一定比率の寄付「ザカート」が義務付けられている。これとは別に任意の喜捨「サダカ」もある。主に貧者救済のための使われる。
巡礼 全てのイスラム教徒は生涯に一度メッカ巡礼する事を義務付けられている。メッカ巡礼したものは敬称「ハッジ」を名乗る。
聖戦 イスラム教徒を迫害から守るための正当な行為で「ジハード」という。西ティモールのキリスト教徒虐殺も、シバダン島誘拐事件も彼等によると「ジハード」である。


中東の厳格なイスラム国家ではこのシャーリアがCivil-Low(文民法)である。だから外国人も酒が飲めなければ、公共の場で女性が肌を露出することも出来ない。ただし多民族国家マレーシアではCivil-Lowで宗教の自由が保障されている。外国人は勿論、華人やインド人(ヒンズー教徒)は酒を飲むし、華人女性はタンクトップを着ている。シャーリアはマレー人や一部にインド人(イスラム教徒)にのみ適用される。この点でマレーシア国教がイスラム教であるか、はたまたマレーシアはイスラム国家であるか議論が分かれるところである。

マレー人(イスラム教徒)とのお付き合いの中で面白い話はたくさんあるが、ここで掲載するのは控えたい。マレーシアでは宗教問題は人種的感情を煽るSensitive Issue(過敏事項)として監視されている。興味半分で書くと宗教警察にぱくられてしまう。また「悪魔の詩」でイスラム教を冒涜した作家はホメイニ氏から暗殺指令が出たくらいですからね。

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