地学史勉強会
過去の会合プログラム
2009年 5月15日 第35回地学史研究会のご案内 21世紀に入り早くも2000年代が終わろうとしています。今回は、長いタイムスパンを取って地学教育の歴史に焦点を当てたいと考えます。明治時代の教育掛図と平成時代の「地学教育の再生」に関するレポートです。はたして地学教育のルネサンスはなるか。熱い討論が期待されます。 記 日 時 2009年 6月 6日(土) 午後2時〜5時 場 所 早稲田奉仕園 (新宿区西早稲田2-3-1、電話:03-3205-5411) 日本キリスト教会館6階3号室 交 通 (1) 高田馬場駅よりバス約10分、都バス「学02 早大正門行き」に乗り 2つめのバス停「西早稲田」で下車、進行方向に 50m ほど歩き最初の横断歩道を渡って、そのまま小道に入り20mほど直進してください。 (2) 東京メトロ東西線「早稲田」駅より徒歩5分、地下鉄出口は千葉方向からの 場合2番、三鷹方向からの場合3Bが便利です。 (3)
東京メトロ副都心線「西早稲田」駅より徒歩8分、地下鉄1番出口を出て左に進み諏訪通りに出たら左折して500mほど歩き、さらに左折して少し行くと左手に奉仕園入り口が見えます。 〔地図: http://www.hoshien.or.jp/map/map.html〕 費 用 会場費として1人当たり500円程度を予定しています。ご協力お願いします。 話題提供 浜崎 健児(コマツ建機販売) 演 題 和田維四郎編纂の金石一覧(教育掛図)について 内 容 「金沢大学図書館所蔵の教育掛図に 和田維四郎 編纂の文部省教育掛図が存在することが、京都大学電子図書館(松田 清 京大大学院教授)によりウェブ上公開され、その画像を見ることができるようになった。明治初期の西洋鉱物学導入の初期に彩色鉱物図譜の嚆矢となった文部省掛図の所在が確認され、この掛図の原本であるドイツ Kurr 鉱物図譜との関係について考察する。」 話題提供 小尾 靖(神奈川県立相武台高等学校) 演 題 20代公立高校教員が語る「高等学校・地学の再生」―大学で地学を専攻する学生の皆さん、公立高校の教員になろう― 内 容 「神奈川県がここ10年ぐらいで進めている「県立高校改革推進計画」(*) によってつくられた高校(新タイプ校)では、一部の学校を除いて単位制を採り、文部科学省が設置した普通科目はほぼすべて置いている。昨年度までの3年間に、改革によって作られた新タイプ校を3校経験したが、その3校とも地学選択者は年々増えていた。神奈川県の公立高校では全体的に地学の選択者の割合が増えているのかもしれない。神奈川県は今年度20数年ぶりに高校・地学の教員採用試験を行ない、5名程度を採用する見通しである。こうした最近の経緯とともに、これまで私が行なってきた実践(フィールドワーク、普段の授業、特別授業など)や教員採用試験対策(私は生物枠で採用)についても報告する。」 (*) http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/kokokyoiku/kenritu/sinko/index.htm 地学史勉強会事務局
山田 俊弘
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2009年 2月22日 第34回 地学史研究会のご案内 今回は、地学史と関係の密接な天文学史、特に東洋天文学史に造詣の深い大橋氏に、天文学史の基礎から現在取り組んでいる研究の最前線までを、映像等も用いてできるだけわかりやすく話していただく予定です。ふるってご参加ください。なお本会合に先立ち、3月21日の「科学史学校」(下欄参照)では大橋氏によるアストロラーベ(天体観測器具)に関する講演があります。別企画ですが、いっしょに受講されますと有益でしょう。 記 日 時 2009年
3月28日(土) 午後2時〜5時 場 所 早稲田奉仕園 (新宿区西早稲田2-3-1、電話:03-3205-5411) セミナーハウス1階101号室(セミナーハウスフロントのある建物1階) 交 通 (1) 高田馬場駅よりバス約10分、都バス「学02 早大正門行き」に乗り 2つめのバス停「西早稲田」で下車、進行方向に 50m ほど歩き最初の横断歩道を渡って、そのまま小道に入り20mほど直進してください。 (2) 東京メトロ東西線「早稲田」駅より徒歩5分、地下鉄出口は千葉方向からの 場合2番、三鷹方向からの場合3Bが便利です。 (3)
東京メトロ副都心線「西早稲田」駅より徒歩8分、地下鉄1番出口を出て左に進み諏訪通りに出たら左折して500mほど歩き、さらに左折して少し行くと左手に奉仕園入り口が見えます。 〔地図: http://www.hoshien.or.jp/map/map.html〕 費 用 会場費として1人当たり500円程度を予定しています。ご協力お願いします。 話題提供 大橋由紀夫 演 題 東南アジアから見た東洋天文学史 ●前回の報告および地学史勉強会としてのこれまでの活動は、地質学史懇話会のHPにある「地学史研究会」のページ http://www.geocities.com/jahigeo/jahigeo51.html 地学史勉強会事務局
山田 俊弘
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2008年11月22日 第33回地学史研究会のご案内 現在最も活発に科学史研究を推進している地理学者の一人、島津氏に調査旅行の合間を都合してお話ししていただけることになりました。内務省地理寮・地理局の活動は、前回の榎本武揚の事績と照らしても興味深いものです。みなさま、ふるってご参加ください。 記 日 時 2008年12月20日(土) 午後2時〜5時 場 所 早稲田奉仕園 (新宿区西早稲田2-3-1、電話:03-3205-5411) セミナーハウス1階102号室(セミナーハウスフロントのある建物1階) 交 通 (1) 高田馬場駅よりバス約10分、都バス「学02 早大正門行き」に乗り 2つめのバス停「西早稲田」で下車、進行方向に 50m ほど歩き最初の横断歩道を渡って、そのまま小道に入り20mほど直進してください。 (2) 東京メトロ東西線「早稲田」駅より徒歩5分、地下鉄出口は千葉方向からの 場合2番、三鷹方向からの場合3Bが便利です。 (3)
東京メトロ副都心線「西早稲田」駅より徒歩8分、地下鉄1番出口を出て左に進み諏訪通りに出たら左折して500mほど歩き、さらに左折して少し行くと左手に奉仕園入り口が見えます。 〔地図: http://www.hoshien.or.jp/map/map.html〕 費 用 会場費として1人当たり500円程度を予定しています。ご協力お願いします。 話題提供 島津
俊之 (和歌山大学教育学部) 演 題 国土調査機関としての内務省地理局―官庁の学問的実践をめぐって― 地学史勉強会事務局
山田 俊弘
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2008年 9月10日 第32回地学史研究会のご案内 没後100年に当たる榎本武揚 (1836–1908) の地学史上の貢献について再検討します。吉岡氏は以前「流星刀記事」などをめぐって本会で講演してくださっています。今回、最近出版された「日本地質学界の先達――学理と技芸の間で」 (榎本隆充ほか編『近代日本の万能人・榎本武揚 1836–1908』、藤原書店、2008年 所収) をさらに発展させる形での講演をお願いしました。ふるってご参加ください。 記 日 時 2008年 9月27日(土) 午後2時〜5時 場 所 早稲田奉仕園 (新宿区西早稲田2-3-1、電話:03-3205-5411) セミナーハウス1階100号室(セミナーハウスフロントのある建物1階) 交 通 (1) 高田馬場駅よりバス約10分、都バス「学02 早大正門行き」に乗り 2つめのバス停「西早稲田」で下車、進行方向に 50m ほど歩き最初の横断歩道を渡って、そのまま小道に入り20mほど直進してください。 (2) 東京メトロ東西線「早稲田」駅より徒歩5分、地下鉄出口は千葉方向からの 場合2番、三鷹方向からの場合3Bが便利です。 (3)
東京メトロ副都心線「西早稲田」駅より徒歩8分、地下鉄1番出口を出て左に進み諏訪通りに出たら左折して500mほど歩き、さらに左折して少し行くと左手に奉仕園入り口が見えます。 〔地図: http://www.hoshien.or.jp/map/map.html〕 費 用 会場費として1人当たり500円を予定しています。ご協力お願いします。 話題提供 吉岡 学 演 題 榎本武揚は日本地質学史上に如何なる位置を占めるや――その2 オランダ留学以降 内 容 「東京地学協会創設等の事績で知られる榎本武揚が地学、地質学にどのように関わっていったかを検証した。ヨーロッパ留学に端を発するその知識は当時の日本としてはかなり高度なレベルに達しており、帰国後の開拓使、ロシア公使時代の記録からはその優れた学識、産業への眼差しをうかがい知ることができる。結果として産業、学術への寄与は必ずしも目立つものではないが、日本地質学界の隠れた先達の一人として、その存在意義を見出すことができる。」 地学史勉強会事務局
山田 俊弘
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2008年 5月17日 第31回地学史研究会のご案内 今回は今日的に重要な環境・エネルギー問題の歴史的起源について話題提供していただきます。問題を多角的にとらえ積極的に考える契機にしていただければと思います。なおこの間の会合での議論に基づき、今回から名称を勉強会から研究会に改めます。 記 日 時 2008年 6月15日(日) 午後2時〜5時(いつもの土曜でなく日曜の開催です) 日本キリスト教会館6階 2号室 交 通 (1) 高田馬場駅よりバス約10分、都バス「学02 早大正門行き」に乗り 2つめのバス停「西早稲田」で下車、進行方向に 50m ほど歩いてください、そこの信号付き横断歩道を渡った所の 小道を行くと奉仕園の看板が見えます。 (2) 東京メトロ東西線「早稲田」駅より徒歩5分、地下鉄出口は千葉方向からの 場合2番、三鷹方向からの場合3Bが便利です。地下鉄構内の地図を参照下さい。〕 〔地図:http://www.hoshien.or.jp/map/map.html〕 話題提供 水野 浩雄 (元香川大学) 演 題 地球環境問題と資源エネルギー問題 内 容 「公害問題が global 化して、今日では地球環境問題となった。1987年、国連・環境と開発委員会が報告書「われら共有の未来」を発表した。そのなかに「持続可能な開発」という concept が現れた。その後実際には、地球温暖化論が前面に押し出され、二酸化炭素の排出規制が国際問題の中心になった。しかし、二酸化炭素の排出が原因で地球が温暖化し、人類の生存を脅かす結果をもたらすというIPCC流の論立てに批判的な学者は少なくない。それにもかかわらず条約までできて、抗しがたい流れを形成している。 20世紀、人類は石油に浸って物質文明を果てしもなく膨張させた。21世紀は石油が無くなる世紀である。人類の危機はここに在る。この事態の重大性を告発する論調は極めて弱い。政治家は例外無しに、二酸化炭素削減の中長期的目標をめぐる駆け引きに明け暮れている。しかしそれは上辺の話で、国際関係の実態は枯渇を目前にした地下資源の争奪戦の激化にある。 こうした状況に関わる科学と技術のそれぞれの側面、及び政治の側面を整理し掘り下げ、それらの相互関係を明らかにし、またその在り方を見定めることが、いつにも増して重要であると考える。」 地学史勉強会事務局
山田 俊弘
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2008年 2月29日 第30回地学史勉強会のご案内 今回は地理学史と古生物学史からの話題を扱います。いずれもきわめて興味深い内容です。ふるってご参加ください。 記 日 時 2008年 3月22日(土) 午後2時〜5時 場 所 青学会館 (渋谷区渋谷4-4-25、電話:03-3409-8181) 2階 校友会室C 交 通 (1) 渋谷駅より徒歩10分、国連大学ビル前の青山学院キャンパスに隣接して青学会館があります。 (2) 東京メトロ「表参道」駅より徒歩5分、地下鉄出口は青山学院方面B1あるいはB3が便利です。 地下鉄構内の地図でご確認下さい。〕 〔地図:http://www.aogaku-kaikan.co.jp/index_map.html〕 話題提供1 長田敏明 (元杉並区立西宮中学校) 演 題 多田文男(1900〜1978)の生涯と学問 内 容 日本の地形発達史及び第四紀研究に大きな足跡を残された多田文男没後30年の今年、地学史研究の一環として、改めてその業績をここに取り上げる。多田の論文や著書を見ると至る所に洪水・堆積・地震・火山・地形改変などといった営力に関連する言葉が出てくる。それがもっとも顕著なのは「自然環境の変貌」である。多田のことを知るためには営力論を意識して検討しなければならいであろう。多田を貫いていたもう一つの立場は、基本的には「地形の説明的記載」であり、ものに即して考えることであった。つまり現地主義・現物主義である。 話題提供2 風間 敏 (長野県立長野西高等学校) 演 題 ラドウィック『化石の意味』を読み直す 内 容 M. J. S. Rudwick 著 “The Meaning of Fossils:
Episodes in the History of Palaeontology” (1972, Second Edition 1976) も、原書第2版出版から30年が過ぎ、古生物学史に一時代を画した最重要な著作という評価は定着している。邦訳は長らく利用困難になっていたが、今回、全文の新訳原稿を作成する中で再確認された点について、著者の科学史記述における企図等を中心に述べてみたい。 地学史勉強会事務局
山田 俊弘
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2007年11月23日 第29回地学史勉強会のご案内 前々回に 泊 次郎 氏が提起した問題――20世紀に地球物理学者がグローバルテクトニクスにどのような反応を示したか――は、きわめて興味深いテーマであることが分かってきました。今回、この問題に詳しい地質学史懇話会会長の鈴木氏をお招きし、特にインドネシアをフィールドとしたオランダ学派の動向を中心に語っていただく予定です。ご期待ください。 記 日 時 2007年12月15日(土) 午後2時〜5時 2階 校友会室C 交 通 (1) 渋谷駅より徒歩10分、国連大学ビル前の青山学院キャンパスに隣接して青学会館があります。 (2) 東京メトロ「表参道」駅より徒歩5分、地下鉄出口は青山学院方面B1あるいはB3が便利です。 地下鉄構内の地図でご確認下さい。〔地図:http://www.aogaku-kaikan.co.jp/index_map.html〕 話題提供 鈴木尉元 氏 (元地質調査所) 演 題 20世紀における造構運動論の展開 内 容 造構運動に関する仮説は、地質構造単元の水平運動によるとする水平説と深部の運動に由来するとする垂直説が対立して現在に至っている。この間1920ないし30年代には、島弧の外側の海溝にそって重力の大きな負の異常、さらに島弧に沿う深発地震の発見があり、造構運動が数100kmの深部にまで及ぶものとして注目された。1980年代からは、地震波速度の地域性がマントル基底にまで及ぶことが明らかにされ、造構運動論を全地球の関与するものへ再構築することを余儀なくされるに至っている。 地学史勉強会事務局
山田 俊弘
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2007年 9月15日 第28回地学史勉強会のご案内 今回はいつもと少し趣向を変えて、オムニバスの発表会形式で進めます。イチョウの語源考、足尾山地の地質調査史、地学史ツアーの実施報告と多彩な話題が用意されています。ふるってご参加ください。 記 日 時 2007年 9月29日(土) 午後2時〜5時 2階 校友会室B 交 通 (1) 渋谷駅より徒歩10分、国連大学ビル前の青山学院キャン パスに隣接して青学会館があります。 (2) 東京メトロ「表参道」駅より徒歩5分、地下鉄出口は青山 学院方面B1あるいはB3が便利です。地下鉄構内の 地図でご確認下さい。〕 〔地図:http://www.aogaku-kaikan.co.jp/index_map.html〕 話題提供1 柴田松太郎 氏 (千葉市在住) 演 題 ケンペルの描いた2枚のイチョウのスケッチについて 内 容 (1) 廻国奇観のイチョウの記載とスケッチの検討 (2) 廻国奇観のイチョウのスケッチとケンペルの自筆遺稿 “Sl.2914”のなかの イチョウのスケッチ “fol. 80” との関係 話題提供2 市村 充章 氏 (白鴎大学法学部) 演 題 足尾山地チャート層とマンガン鉱床の考察史 ――マンガン鉱床成因論、地質図及びマンガン標本・地質標本 内 容 足尾山地に見られる層状マンガン鉱床の成因については、加藤武夫、吉村豊文及び渡邊武男の諸先生の考察があり、互いに相容れないユニークな諸説が提出されています。本発表では、日本のマンガン鉱床の成因論の変遷を紹介するとともに、収集した足尾山地の地質図をもとにマンガン鉱床の記載の状況を比較検討します。 話題提供3 矢島 道子 氏 (東京医科歯科大学・非常勤) 演 題 メアリ・アニング地質学史の旅の2年間(仮題) 内 容 2006年・2007年の2年間にわたって企画実行した、英国南部を中心にメアリ・アニングの足跡をたどり、近代地質学・近代科学の発祥の地をめぐるツアーの報告。 地学史勉強会事務局
山田 俊弘
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2007年 3月 4日 第27回地学史勉強会のご案内 20世紀の地学史における最も大きく人目を引くテーマは、大陸移動説からプレートテクトニクスに至る地球変動論の変革にあると言ってよいでしょう。今春、この主題で学位論文を提出された泊氏に、特に日本の地球物理学史とのからみで、日本人科学者の貢献やプレート理論の受容について語っていただきます。ふるってご参加ください。 記 日 時 2007年 6月23日(土) 午後2時〜5時 2階 校友会室B 交 通 (1) 渋谷駅より徒歩10分、国連大学ビル前の青山学院キャン パスに隣接して青学会館があります。 (2) 東京メトロ「表参道」駅より徒歩5分、地下鉄出口は青山 学院方面B1あるいはB3が便利です。地下鉄構内の 地図でご確認下さい。〕 〔地図:http://www.aogaku-kaikan.co.jp/index_map.html〕 話題提供 泊 次郎 氏 (元朝日新聞社) 演 題 日本の地球物理学分野でのプレートテクトニクスの受容 内 容 地震や火山、造山運動などの原因を、地球の表面を覆う厚さ100km程度の十数枚のプレートの運動によって説明するプレートテクトニクス(Plate Tectonics: 以下、PTと略)は、1960年代後半に確立し、欧米では70年代初めには多くの地質学者、(固体)地球物理学者に受け入れられ、地球科学に革命を起こした。日本でも、地球物理学分野では1970年代初めに受け入れられた。地質学の分野では、PTとそれにもとづいた日本列島論が受け入れるようになったのは、1980年代半ばを過ぎてからであったのと対照的であった。 勉強会では初めに、大陸移動説から始まり、海洋底拡大説を通してPTが成立するまでの歴史を概観する。次いで主に海外での研究成果をもとに、各国ではPTはいつごろ受容されたのかを報告する。ソ連や中国では欧米に比べると受容が遅れるなど、国によって受容の時期に差があることが特徴である。 日本については、学会での講演内容や学会誌に掲載された論文、教科書の記述の変遷を調べた結果を報告し、地球物理学分野では欧米と同様に1970年代の初めには、多くの研究者がPTを受け入れていたことを示す。 科学の国際性という観点からすれば、こうしたことは特異な事態とはいえないが、地質学分野と比較した場合には、地球物理学分野ではなぜPTの受容がスムースに進んだのかが問題となり得る。その要因として、@地球物理学分野の研究も多くは、日本列島の地震や火山噴火などの現象の記述に向けられていたが、その中から世界レベルの研究が誕生し、早くから世界を意識して研究が進められていた、A国際地球観測年などを契機にして、国際化も早い段階から進んでいた、ことなどがあげられる。 地学史勉強会事務局
山田 俊弘
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2007年 3月 4日 第26回地学史勉強会のご案内 今回は、昨年3月25日に逝去された今井 功 氏の地学史家としての業績をテーマとします。今井氏は、本勉強会の発足を応援してくださったほか、日本の地学史の研究に大きな功績を残されました。この機会にその生涯と業績を振り返ってみたいと考えます。 生涯については今井氏の蔵書を保存するのに尽力されている宮崎在住の宍戸氏に話題を提供していただき、地学史上の著作については各話題提供者から紹介していただいたうえで、座談会形式で、氏との出会いや、地学史研究、人柄などについて語りあいたいと思います。 ご関心のある方はお気軽にご参加ください。 記 日 時 2007年 3月24日(土) 午後2時〜5時 場 所 青学会館 (渋谷区渋谷4-4-25、電話:03-3409-8181) 2階 校友会室B 交 通 (1) 渋谷駅より徒歩10分、国連大学ビル前の青山学院キャン パスに隣接して青学会館があります。 (2) 東京メトロ「表参道」駅より徒歩5分、地下鉄出口は青山 学院方面B1あるいはB3が便利です。地下鉄構内の 地図でご確認下さい。〕 〔地図:http://www.aogaku-kaikan.co.jp/map.htm〕 話題提供1 宍戸 章 氏 (宍戸地質研究所・南九州大学非常勤講師) 今井功先生の生涯を振り返る 話題提供2 金 光男・八耳俊文・風間
敏・矢島道子 の各氏 今井功先生の業績を読み直す 『黎明期の日本地質学』(1966) 『木内石亭 雲根志』 (1969、訳注解説) 『地球科学の歩み』 (1978、片田正人氏との共著) 『地質調査所百年史』(1982) など 座 談 会 今井功先生と私 |
2006年11月13日 第25回地学史勉強会のご案内 倫理学というと一昔前は古色蒼然とした印象でしたが、今日では科学技術の発達にともなう人間行動の規範を検討する応用倫理学を中心として、科学技術者教育の分野で新たな需要が喚起されてきているようです。科学史の研究者である栃内氏は現在、技術者養成で顕著な実績を持つ金沢工大でこの分野の教育にたずさわっています。 今回の講演では、技術者倫理の入門的な内容の紹介から、地質学をはじめとする地球科学諸分野の歴史研究との関係までが扱われる予定です。震災や気象災害などの自然災害が頻発する日本列島における地球科学者の倫理も話題になることでしょう。みなさまのご参加お待ちしております。 記 日 時 2006年12月 9日(土) 午後2時〜5時 場 所 青学会館 (渋谷区渋谷4-4-25、電話:03-3409-8181)2階 校友会室B 交 通 (1) 渋谷駅より徒歩10分、国連大学ビル前の青山学院キャンパスに隣接して青学会館があります。 (2) 東京メトロ「表参道」駅より徒歩5分、地下鉄出口は青山学院方面B1あるいはB3が便利です。地下鉄構内の 地図でご確認下さい。〕 〔地図:http://www.aogaku-kaikan.co.jp/map.htm〕 話題提供 栃内 文彦 氏 (金沢工業大学) 演 題 技術者倫理と地球科学史 内 容 演者は現在、縁あって金沢工業大学で技術者倫理教育に携わっている。科学史(日本地質学史)を専攻した演者が技術者倫理の分野に足を踏み入れるきっかけの一つは、地学史勉強会における諸先輩方との邂逅だった。以上を踏まえ、本講演では、技術者倫理の紹介、および、同分野に地質学史の知見をどのように活かせるかの検討を行う。また、これらに関して演者が今年度と来年度の2年間に科研費を得て行う研究の概要もご紹介したい。 地学史勉強会事務局 山田 俊弘 |
2006年 9月15日 第24回地学史勉強会のご案内 前回に引き続き鉱物に関連した話題です。前回は方解石とトパーズでしたが、今回は水晶が中心的な題材となります。講師を引き受けてくださった岩崎氏は、企業で長らく結晶材料の開発に従事されたのち、世界有数の水晶産地であるブラジルの大学で研究された経験をお持ちです。当日は、めったに聞けない結晶成長学の歴史ばかりでなく、コンピュータによる結晶成長のシミュレーションの演示も楽しむことができることと思います。 記 日 時 2006年10月14日(土) 午後2時〜5時 交 通 (1) 渋谷駅より徒歩10分、国連大学ビル前の青山学院キャンパスに隣接して青学会館があります。 (2) 東京メトロ「表参道」駅より徒歩5分、地下鉄出口は青山学院方面B1あるいはB3が便利です。地下鉄構内の 地図でご確認下さい。〕 〔地図:http://www.aogaku-kaikan.co.jp/map.htm〕 話題提供 岩崎 秀夫 氏 (相模原市) 演 題 結晶成長学史―水晶:G. Spezia
(1842 - 1912) から現代まで 内 容 文献によると「石英(水晶):SiO2」を合成・育成しようとの試みは1845年にまで遡れる。今では、世界の電子工業を支える「鉱物−水晶」は、全て「人工水晶」であって、その結晶育成技術はイタリアの鉱物学者「Giorgio Spezia」による自然を模した水熱法」の研究に負っている。第1, 第2次世界大戦時の軍事無線通用「水晶発振子」の材料となる天然水晶の不足が「人工水晶の育成研究」を促し、ドイツのNacken に始まった研究は、戦中、戦後にイギリス、アメリカ、ソビエトで実用化へと発展した。日本の人工水晶研究は1953年に始まり、今では、世界一の「人工水晶生産国」である。加えて、日本において「水晶の成長形」や「人工水晶の成長過程」のComputer simulationの研究が進展し、また、2003年には「Single crystal quartz film」の成長にも成功した。 地学史勉強会事務局 山田 俊弘 |
2006年 5月15日
第23回地学史勉強会のご案内 今回は鉱物をめぐる地学史について2名の方をお招きして話していただく予定です。榊原氏の方解石と、浜崎氏のトパーズによって、鉱物と人間のかかわりの興味深い歴史が例示されることになるでしょう。浜崎氏によれば、当日は「なんでも鑑定団」に出品された標本もお目見えするとのことです。ご期待ください。 記 日 時 2006年6月10日(土) 午後2時〜5時 場 所 青学会館 (渋谷区渋谷4-4-25、電話:03-3409-8181) 2階 校友会室C 交 通 (1) 渋谷駅より徒歩10分、国連大学ビル前の青山学院キャン パスに隣接して青学会館があります。 (2) 営団地下鉄「表参道」駅より徒歩5分、地下鉄出口は青山 学院方面B1あるいはB3が便利です。地下鉄構内の 地図でご確認下さい。〕 〔地図:http://www.aogaku-kaikan.co.jp/map.htm〕 話題提供1 榊原雄太郎(東京学芸大学名誉教授) 演 題 貝殻をつくる方解石のはなし 内容 方解石は身近な鉱物であり、その形・化学的・結晶学的・光学的などいろいろな特徴が知られております。1669年、透明な方解石により複屈折や偏光などの現象が知られるようになり、X線回析によりそれらの現象が原子構造によるものであることが明らかにされました。また、方解石は貝殻などもつくっており結晶成長についても知られるようになりましたが、霰石からの転移や生成などについても未だ明らかでないところもあるようです。 話題提供2 浜崎健児(無名会) 演 題 トパーズは帝国の宝石? 内容 インペリアルトパーズと言われ”帝国”とのかかわりが深いトパーズの世界の産地と日本におけるトパーズの発見の歴史を中心に述べます。木内石亭、シーボルト、ナウマン、和田維四郎、神保小虎およびアマチュアの収集家たちの足跡をたどり、トパーズの特異な位置づけを表現できればと思っております。当日は無名会の澤田 操さんに和田維四郎の里帰り標本(田ノ上山のトパーズ)の現物も披露していただく予定です。 地学史勉強会事務局 山田 俊弘 |
2006年 2月18日 第22回地学史勉強会のご案内
記 日時 2006年3月18日(土) 午後2時〜5時 話題提供 風間 敏(長野県立小海高等学校) 演題 大陸移動説〜プレートテクトニクス受容史をめぐって 内容 『はじめての地学・天文学史』(ベレ出版、2004年)の中で担当した「大陸移動説からプレートテクトニクスへ」では、どこに力点を置いたのか、浮上した疑問点や、その後明らかになったこと、書ききれなかった内容等について披露したい。具体的には、ヴェーゲナーの科学観と大陸移動説、大陸移動と陸橋説・アイソスタシーの関係などについて話題とする予定である。また、日本におけるプレートテクトニクスの受容に関する私見も述べる。 地学史勉強会事務局 山田 俊弘 |
2005年 11月23日 第21回地学史勉強会のご案内 本勉強会も開始以来5年間が経過し6年目に入ります。今回はやや趣向を変えて、測量の歴史を扱うものです。といっても地球上の測量ばかりではなく、宇宙空間の測量に及ぶ気宇壮大なものとなりそうです。水野氏には教育上の配慮も考えて講演してくださる予定ですので、ふるってご参加下さい。 記 日時 2005年12月17日(土) 午後2時〜5時 場所 青学会館 (渋谷区渋谷4-4-25、電話:03-3409-8181)2階 校友会室B 交通 (1) 渋谷駅より徒歩10分、国連大学ビル前の青山学院キャンパスに 隣接して青学会館があります。 (2) 営団地下鉄「表参道」駅より徒歩5分、地下鉄出口は青山 学院方面B1あるいはB3が便利です。地下鉄構内の地図でご確認下さい。〕 〔地図:http://www.aogaku-kaikan.co.jp/map.htm〕 話題提供 水野 浩雄 氏(元香川大学) 演題 地球から太陽までの距離を測る:宇宙150億光年への第一歩 内容 地球から太陽までの距離(天文単位)をはじめて求めたのはカッシニ(1672年)であった。カッシニが測ったのはしかし、地球から火星までの距離であった。それを基に、太陽までの距離を求めることを可能にしたのはケプラ−の第三法則であった。ハレ−は金星の太陽面通過の観測から天文単位を求める方法を提出した。18世紀、19世紀には、それが天文単位を決める手段となった。現在は、金星までの距離をレ−ダ−で観測し、力学に基づいてそれを求めている。 地学史勉強会事務局 山田 俊弘 |
滋賀県地学史見学ツアーのご案内 地学史勉強会の特別企画として、滋賀県南部の地学史関係の史跡・博物館を見学するツアーを企画しました。宿泊は天台宗真盛宗総本山西教寺。秋の紅葉を楽しみながら当寺で勉強会も開きます。ふるってご参加下さい。 キーワード:穴太衆の石積み、西教寺、木内石亭、田上鉱物博物館、琵琶湖博物館 日 時:2005年11月26日(土)〜27日(日) 場 所:滋賀県大津市・草津市ほか 宿泊地:520-0113 滋賀県大津市坂本5-13-1 西教寺 電話077-578-0013 内 容:11月26日(土) 東京 9:26 → JRのぞみ113号 → 京都 11:47 京都 11:59 → JR湖西線 → 比叡山坂本 12:15 比叡山坂本 → (タクシー) → 西教寺 12:30 頃着 昼食:西教寺 菊精進料理膳 11月に西教寺でしか食べられないという菊尽くしの料理を食べます。 午後:坂本に降り、坂本に残る穴太衆の石積み、日吉大社を見学します。 そのあと西教寺に戻り、西教寺を見学。勉強会開始。 夕食:西教寺 夜 :西教寺で勉強会。 (宿泊)西教寺 11月27日(日) 朝食:西教寺 午前:8:00 西教寺出発 → 京阪坂本駅 → (京阪電車) → 9:00 石山寺駅 石山寺見学。紫式部ゆかりの寺として有名ですが、天然記念物に指定された巨大な珪灰石があります。木内石亭は石山寺に生涯百回も訪れたといわれます。 昼食:石亭登遊記念碑を見たあと石山寺周辺で早めの昼食(11:00〜12:00) 午後:12:00 石山寺 → (タクシー) → 12:30 田上鉱物博物館 花崗岩鉱物の産地として知られる田上にある有名な博物館です。事前連絡が必要なので、この機会にぜひどうぞ。 田上鉱物博物館見学(1時間)→(タクシー) → 木内石亭関係の史跡(墓碑のある本像寺、交遊のあった西遊寺) →(タクシー) → 滋賀県立琵琶湖博物館15:00 同博物館見学(1時間30分) 博物館 16:54 → 近江バス → 草津駅 17:25 草津 17:33、17:48 → JR西日本 → 京都駅 17:55、18:10 京都 18:26 → のぞみ64号 → 東京 20:46 費 用:約4万円 交通費(約3万円=往復新幹線、現地交通費)+西教寺宿泊費(1泊2食、5,100円) +昼食費(2回)+博物館入場料(田上鉱物博物館 300円、琵琶湖博物館 600円) 集合・解散: 集合は11月26日 (土) 比叡山坂本駅 12:15 の現地集合です。東京駅 9:26の新幹線はあくまで参考の列車です。早めに現地に到着されても構いません。また解散も現地解散で、ツアー途中で切り上げて東京に戻られても構いません。 お申し込みのとき、早めに帰られる方、あるいは26日 (土) の昼食不要の方 (←26日遅れて参加されるかた)は、その旨、お書き添え下さい。10月末日締め切りで、確定した人数(菊料理の数、宿泊者数)を西教寺に連絡いたします。 勉強会の内容: 参加者各自の発表を皆で聞いて議論する予定です。発表は、文献紹介、自分の調査・研究報告など地学史に関するものであれば何でもけっこうです。 |
2005年 9月 6日 第20回地学史勉強会のご案内 昨年早坂一郎について発表した長田氏が、早坂の業績の背景を探る研究を深めて、今回戦前の台湾地学研究史として講演してくださいます。現地取材によって得られた貴重な証言と新たに発掘された資料を活用した研究成果に期待が集まるところです。 記 日 時 2005年10月 1日(土) 午後2時〜5時 場 所 青学会館 (渋谷区渋谷4-4-25、電話:03-3409-8181)2階 校友会室C 交 通 (1) 渋谷駅より徒歩10分、国連大学ビル前の青山学院キャンパスに 隣接して青学会館があります。 (2) 営団地下鉄「表参道」駅より徒歩5分、地下鉄出口は青山 学院方面B1あるいはB3が便利です。地下鉄構内の地図でご確認下さい。〕 〔地図:http://www.aogaku-kaikan.co.jp/map.htm〕 話題提供 長田 敏明 氏(杉並区立西宮中学校) 演 題 戦前に於ける台湾地学研究史 内 容 戦前の台湾の本格的地学研究が始まったのは、総督府に殖産局鉱務課が設けられてからです。次のステップに入るのが、台北帝国大学に地質学教室が設立されてからになります。日本の敗戦によって、日本人の研究は終息するわけですが、戦後なお台湾に留庸されて研究を続けた人もいます。台湾に地質学を根付かせたのは、台北帝大に於ける地質学の普及でした。先に早坂一郎の地質学について検討した時、本当に早坂を理解するためには、戦前の台湾地学研究史、特に台北帝大における地学研究の実体を知る必要があると思いました。このたび訪台して早坂の教え子である台湾の研究者に会い新しい資料を入手することができました。今回この資料の紹介を含めて発表したいと思います。当日はいろいろ議論していただけると幸いです。 ★以前の会合の折り、八耳俊文氏より提案のありました滋賀県の地学史見学ツアーの件ですが、大津市の西教寺を宿泊場所として11月26日(土)・27日(日)に実施することが固まりました。「穴太(あのう)の石積み」や木内石亭関係史跡見学を予定しています。詳細は10月1日に発表される予定です。 地学史勉強会事務局 山田 俊弘 |
第19回地学史勉強会のご案内
記 キャンパスに隣接して青学会館があります。 話題提供 大沢 眞澄 氏 (前 昭和女子大学)
1)地球化学:卒業研究の東京湾底質から日本海溝・日本海へ進み、温泉水の放射能、コロンビア川台地玄武岩、アポロ11・12号月面試料の分析など、主として放射化分析による微量成分元素中心の分析地球化学であった。 地学史勉強会事務局 山田 俊弘 |
第18回地学史勉強会のご案内 旅行や旅行記と地学研究がどのように影響し合うのか。これはなかなか刺激的なテーマです。今回、「ジオプラニング」という魅力的な名前の会社を起こされ、人々を地球の各地にいざなう旅を企画する一方で、自らも「ジオトラベラー」としてヒマラヤの高峰に挑んできた立澤氏にさまざまな旅の実相を報告していただきます。 記 話題提供 立澤 富朗 氏 (ジオ プランニング) 内 容 「旅行会社「有限会社 ジオ プランニング」設立から8年。世界の第3極と言われるヒマラヤをネパール側から3回、さらに、パキスタン (フンザ)、インド (スピティ渓谷)、中国 (雲南省、横断山脈)、中国 (チベット) と、5方面から8回見学する機会を持つことができました。ヒマラヤを巡ることを一つのテーマ (研究テーマではありません) として考え実行しきました。ネパールのカリカンダキ川を、かつてのムスタン国の町だったジョムソンまで歩ききったことは、思い出に残る旅となりました。道中マルファでは、川口慧海が2ヶ月間逗留した館 (現在はアップルワインを製造) の中にはいり、彼が座ったであろう仏間を見学することができました。ジオロジストの旅は露頭との出会いでもあるが、人との出会いも忘れ難いものがあります。当日は、写真と二三のサンプルを持参して話をさせていただきます。」 地学史勉強会事務局 山田 俊弘 |
第17回地学史勉強会のご案内 今回の会合はやや趣を変えて、鉱物学・鉱物コレクション・アマチュアの役割といったテーマに関わる講演になります。特に鉱物愛好のクラブとして伝統を誇る「無名会」とその主宰者であった桜井欽一博士 (1912-1993) の業績について、無名会の会員でもある浜崎氏に発表していただきます。 記 〔地図:http://www.um.u-tokyo.ac.jp/museum/access.html〕 内容 「“鉱物の牧野富太郎”とも称された桜井欽一博士の業績と人をたどり記載鉱物学にたいする貢献と長期にわたる多彩な活動内容について紹介する。桜井博士は日本鉱物誌第3版 (昭和23年、上巻のみ) 作成の原動力となったが、この鉱物誌との関係にふれずには桜井博士の貢献、標本収集を語ることはできないであろう。膨大な桜井標本は何を物語るのであろうか?どのような日本産鉱物種に関しても即座に、まるで古事記の太野安万呂のごとき驚くべき語り部能力を発揮した桜井博士であるが、学界の記録という意味でもその記載能力が発揮された。「日本地質学会史」 (60周年記念、1953年) には、鉱物学界の故人追悼とその周辺の鉱物収集家、標本商、篤志家の列伝、新産鉱物など興味深い記事を執筆している。特に博士が力を注いだアマチュア育成と情報ネットワーク構築に関する事跡を具体的に紹介してその主宰した鉱物愛好家のクラブである無名会の活動についても触れる。」 |
第16回地学史勉強会のご案内 さて今回はいよいよ日本地学の黎明期に重要な役回りを演じた榎本武揚 (1836-1908) が登場します。以前の勉強会でも話題提供をしていただいた吉岡氏は、その後、刀鍛冶の実際を勉強するなど、研鑽を積んでいらっしゃいました。その研究成果を発表していただきます。
地下鉄構内の地図でご確認下さい。〕 〔地図:http://www.aogaku-kaikan.co.jp/map.htm〕
話題提供 吉岡 学 氏 (東京学芸大学大学院)
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第15回地学史勉強会のご案内 昨年末の会合で、日本における最初期の物理学者 田中舘愛橘 (1856-1952) の地球物理学的な研究がとり上げられました。今回は、創業者を受け継ぐ「第二世代」の地質学者 早坂一郎 (1891-1978) が探求の対象になります。自らも古生物学の研究者である長田氏は、早坂の人と業績に魅せられて丹念な調査をしてこられました。その一端を披露していただくことにします。
地学史勉強会事務局 山田 俊弘 |
第14回地学史勉強会のご案内 話題提供 矢島 道子 氏 (東京成徳学園) 書物は、ひとたび出版されてしまえば、著者の思いをはるかに越えて独自の運命をたどることになる。今回出版したメアリー・アニングについての本は、これまでのところ各方面に迎えられて比較的幸運に恵まれてきたが、これからどんな運命をたどるであろうか。地学史勉強会で、本書執筆の経緯について語ってほしいとの招請を受けた。折角の機会なので、次の5点にしぼって話してみたい。
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第13回地学史勉強会のご案内 19世紀後半から20世紀にかけて勃興した地球物理学の歴史は、この分野が現実に多くの研究者や現場の実践者を擁するにもかかわらず、地学史 (あるいは物理学史) のなかでも十分な研究がなされてきていないようです。高橋氏は、国際的に活躍した日本の物理学者田中舘愛橘
(1856-1952) の測地学的な仕事をとり上げて、この未開拓分野に挑みます。 記 日 時 2003年12月20日(土) 午後2時〜5時 場 所 青学会館 (渋谷区渋谷4-4-25、電話:03-3409-8181) 2階 校友会室B 交 通 (1)
渋谷駅より徒歩10分、国連大学ビル前の青山学院キャンパスに隣接して 青学会館があります。 (2)
営団地下鉄「表参道」駅より徒歩5分、地下鉄出口は青山学院方面B1 あるいはB3が便利です。地下鉄構内の地図でご確認下さい。〕 〔地図:http://www.aogaku-kaikan.co.jp/map.htm〕 話題提供 高橋 幸紀
氏 (北海道大学大学院修士課程) 演 題 「田中舘愛橘と重力測定」 内 容 測地学(地球物理学)には,各地の重力を測定して,地球の偏平率を求める問題が古くからある.19世紀の中頃,すでに小笠原島の重力値は当時世界最大の重力異常として地球物理学上の大きな問題とされていた. その事実を知った田中舘はこれを「測定ミス」と考え,小笠原島へと測定に向かったのであった.他方同時期に,ヨーロッパ諸国では重力異常は存在すると考え,地球物理学的な考察により重力異常を補正する試みもおこなていた. ここに田中舘と「世界の第一線」との重力測定への対応の違いが見られる.では,この違いは何に起因するのであろうか?まず,田中舘が研究を始めたばかりで学習という性格が強かったという点.そして「世界の第一線」の研究成果が十分に伝わっていなかったという点である. このように田中舘の重力測定は、まだまだ世界に通用するような水準にはなく、日本の重力測定史において「胎動期」にすぎなかった事を示す. |
第12回地学史勉強会のご案内 今回は、「帝国主義と科学」に関するテーマに造詣の深い加藤氏による講演です。加藤氏は、大学で地震学を専攻した後、科学史に転じ、植民地における科学のあり方を中心に研究してこられました。講演内容は、とくに戦時期の上海自然科学研究所地質学科でなされた調査・研究に焦点を当てるもので、最新の研究動向をふまえた発表が行われる予定です。 記 日 時 2003年10月4日(土) 午後2時〜5時 場 所 青学会館 (渋谷区渋谷4-4-25、電話:03-3409-8181) 2階 校友会室C 話題提供 加藤 茂生 氏 (日本大学) 演 題 上海自然科学研究所における地質学研究 内 容 「1931年から1945年まで上海に置かれた日中共同研究所、上海自然科学研究所には地質学科があり、主に東北大学の矢部長克門下の地質学者たちが朝鮮、中国の地質学研究を行った。その活動は純粋に学術的な研究よりもむしろ、結果が公開されない資源調査へのウエイトが大きかったと言われる。しかし今回は、彼らが行った東アジアの古生代、中生代岩層の層位学的研究、新生代の岩石学的研究などを整理したい。さらにできうれば、その地質学研究における意味を、当時の地質学の文脈のなかで考えてみたい。 |
過去の会合のプログラム
その1 (第1回〜第10回)