衣類に使われる合成繊維の一つ「ビニロン」も、付加重合による高分子の仲間ではありますが、非常に重要なので、ここで特別にページをとりましょう。
大事な理由は、世の中でよく利用されている事もあるのですが、その合成方法が複雑(例外反応が含まれる)なんです。ですから、入試問題にも、良く出題されるのです。
ややこしいけど、大事なんで、マスターして下さい。
さて、まずビニロンの構造ですが、困った事に、キッチリと決まった構造構造がありません。
と言いますのは、二つのパーツ、
と
が、入り乱れて、ごちゃごちゃに繋がっている構造になっています。
二つの構造が、交互に繋がっているというスマートな構造なら分かりが良いのですが、実際には、
という感じになるんです。というより、衣類の繊維に使うためには、そうある必要があるのです。
なぜそうなのかは、後で説明する事にして、まずこのビニロンの合成方法を説明しましょう。(その方が分かり易いから)
まず、ビニロンを作るためには、ポリビニルアルコールを合成し、そこからビニロンを合成します。
問題は「どうやってポリビニルアルコールを合成するか」なんです。ここが難しいんです。
他の付加重合による高分子と同様に、
とやればできるような気がしますが、そうは行かないんです。
だって、ビニルアルコールは不安定なので、安定して存在しないからなんです。ですからこれを付加重合などできるはずがないんですよ。そこで工夫が必要なんですね。
では、その工夫から説明しましょう。