油脂と不飽和結合

油脂


前のページで書きましたとおり、油脂は「二重結合があると液体になり易い」のですが、ここではその理由を考えましょう。

電子軌道で説明しましたように、二重結合には、本質的にいろいろな性質があります。

ここで問題になるのは、「結合角が120度」という事です。

二重結合があると、分子は必ず折れ曲がった構造を持つ事になります。

油脂はその構造上、脂肪酸が三本並んでいます。

脂肪酸が、仮に曲がっていなく真っ直ぐならば、温度が下がって結晶化する場合、互いに平行に並びあい、互いの構造が邪魔をする事はありません。ですから比較的容易に結晶化する、つまりあまり温度が下がらなくても固体になる訳です。

しかし、二重結合がありますと、脂肪酸同志が折れ曲がっているせいで衝突し、結晶化しにくくなります。ですから結晶化には、十分温度が下がる必要があり、液体になり易くなります。


硬化油

これを、うまく応用する場合があります。

不飽和結合が少なければ、液体になり易いんでしょ?

そこで液体の油脂しか無い時に、固体の油脂が欲しい場合、不飽和結合を潰す事で、液体を固体にできる場合があるという事ですね。

実際には液体の油脂に、H2(g)を付加して二重結合を潰します。

こうして固体にした油脂を特に、「硬化油」と言います。


さて、以上で油脂に関しての基本はおしまいです。

次は油脂の応用である、「セッケン」の話に進みましょう。手を洗ったり、洗濯したりする、あのセッケンは、実は油脂の親戚に当たるのです。


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