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耐震強度偽装2005年

日付 出来事 典拠
6月上旬 伊藤公介元国土庁長官は、産業再生機構幹部に対し、機構の競売案件だったホテルの落札を希望していた小嶋社長と面談するよう要請した。機構側が競売で便宜を図ったことはなかったとされるが、同社は実際に落札に成功した。伊藤議員は以前から小嶋社長のパイプ役になっていた。元長官が小嶋氏のために関係当局への要請を繰り返していた実態が浮かび上がった。

伊藤元長官は、機構の企画調整室長に小嶋社長と面談するよう電話で要請した。6月16日に小嶋社長やヒューザー従業員と室長の面談が実現した。伊藤元長官は同行しなかった。小嶋社長は機構の支援で再建中だったダイエーの100%子会社で、西神オリエンタルホテル(神戸市)を運営する西神オリエンタル開発(同)の買収に意欲を示した。

室長は入札事務はダイエーが担当していると説明した。数カ月後の入札には複数の業者が参加し、最高価格を提示したヒューザーが落札した。その後11月に耐震データ偽造事件が発覚し、ヒューザーへのホテル売却は中止となった。

毎日新聞の取材に伊藤元長官は事務所や家族を通じ、面談要請を認めた。「ヒューザーの小嶋社長から連絡があり『西神オリエンタルホテルの件で産業再生機構に聞きたいことがある』と言われたので、機構に連絡を取り『質問に答えてやってくれ』と伝えたことはある。あくまで陳情の一つととらえている」。要請を受けた機構の企画調整室長は「個別の案件には答えられないが、政治家や業者からの問い合わせに応対することはある」と話している。

伊藤公介議員、再生機構幹部に入札結果尋ねる

伊藤元長官は一次入札結果が出た後の2005年8月中旬にも同じ幹部に電話し、入札結果を問い合わせた。伊藤元長官は室長に「ホテル売却の関係で、入札手続きがどうなっているのか」と尋ねた。室長は「入札中だと思う」と答えたという。伊藤元長官の事務所も認めている。事務所は「8月中旬に、入札結果がいつ分かるのかについて尋ねたことはある」と回答した。
「小嶋社長を機構幹部に仲介 伊藤元長官、ホテル競売で」共同通信2006年2月14日
「<耐震偽造>伊藤氏、小嶋社長と再生機構幹部を仲介」毎日新聞2006年2月15日
青島顕「<伊藤公介元長官>再生機構幹部に入札結果尋ねる」毎日新聞2006年2月22日
6月

伊藤公介議員、国土交通省幹部を酒食接待

伊藤議員は国交省住宅局の幹部6人を招き、酒食のもてなしをした。当時、伊藤議員は自民党住宅調査会長であった。国交省は「党調査会が報告書をまとめるのに、住宅局が協力したことに対する慰労として伊藤議員から招かれた」と説明する。

国家公務員倫理法上、国会議員は利害関係者に該当しないが、事業者と判断されればその限りではない。民主党の長妻昭議員は「三男の会社のために行動すれば業者とみなされる。業者との五千円以上の飲食は、国家公務員の倫理法上、報告が必要」と追及した(2006年2月23日)。同省住宅局総務課は「正直言って、おみやげもいただいているが、国会議員は利害関係者にはあたらないと判断している」と話した。

「国交省幹部を飲食接待」東京新聞2006年2月24日
11月9日 ヒューザーの小嶋進社長が国交省を訪問。建築指導課の担当者に財政支援を迫る。小嶋社長は22日にも国交省を訪れた。制度上、支援が難しい事情を説明する担当者に対し、怒りを顕わにする場面もあったという。 「国交省3度訪れ支援迫る ヒューザーの小嶋社長」共同通信2006年11月26日
11月15日

伊藤公介元国土庁長官がヒューザー寄り発言

ヒューザーの小嶋進社長が、伊藤公介元国土庁長官の仲介で国土交通省の建築指導課長に面会する。伊藤元長官は小嶋社長らを伴って、国交省を訪問した。課長らと面談した後、伊藤議員は小嶋社長を残して局長室に入り、山本繁太郎住宅局長と面会した。

伊藤議員は山本局長に対し、小嶋社長の主張に沿った働き掛けをした。「(偽装を見逃した)建築確認検査機関を指定した国にも責任があると思う。居住者の安全確保などが大事だと思うが、国としてどう対応するのか」。衆院予算委員会において、馬淵澄夫議員(民主)の質問に山本局長が答えた。これは伊藤元長官の記者会見での説明とは大きく食い違 う事実である。

「資金援助してくれる人と関係官庁に同行し、問い合わせの電話をかける。これを「口利き」というのではないか」(「政倫審質疑/これで幕引きにできるか」神戸新聞2006年2月25日)。

青島顕「<耐震偽造>伊藤元長官がヒューザー寄り発言 国交省認める」毎日新聞2006年2月7日
「伊藤元国土庁長官 国にも責任と発言」読売新聞夕刊2006年2月7日
11月17日

偽装公表前、国交省がヒューザーに資料送信

国土交通省事務次官が16時45分から記者会見で耐震強度偽装を公表した。国土交通省は、その30分前にヒューザー(小嶋進社長)と東日本住宅(桃野直樹社長)に発表資料をファックスで送信していた。両社は前々日に伊藤公介議員とともに国交省を訪問している。国土交通省が、国会議員が仲介した会社を特別扱いしていた事実が浮き彫りになった。

民主党の長妻昭議員は「この訪問が発表前のファックス送信という特別な計らいにつながった」と指摘する。国交省建築指導課は「2社が『公表には慎重のうえにも慎重を期してもらいたい』と言っていたので、公表にあたり送信した」と説明する。

「偽装公表前、国交省がヒューザーに資料送信」朝日新聞2006年2月23日
「報道資料、事前に渡す…伊藤元長官政倫審」読売新聞2006年2月24日
11月26日 株式会社森田設計事務所(東京・世田谷区)の森田信秀代表、死亡。自殺と発表される。口封じ又は他の関係者への警告のために殺された可能性も否定できない。今の警察では警察にとってやりたくない厄介な事案は自殺とされかねない。

欠陥住宅被害全国連絡協議会、被害者相談会開催

弁護士らでつくる「欠陥住宅被害全国連絡協議会」は、東京都品川区で被害者相談会を開催した。マンションの住民約30人が出席した。弁護士側は「建築確認を行った民間検査機関や元請け設計事務所、自治体にも過失責任を問える」「売買代金が全額返ってくるほか、引っ越し費用や慰謝料も請求できる」と説明した。

弁護士側は被害者の会を結成して集団で売り主や建設会社と交渉していくよう呼び掛けた。同協議会事務局長の吉岡和弘弁護士は「被害者が個々に補償について交渉するのと一つにまとまるのとでは発言力の重みが違う。運動の力で責任企業や行政を押していくことが重要だ」。

「被害者の会の結成呼び掛け 住民相談会で弁護士」2006年11月26日

2005年12月

日付 出来事 典拠
12月1日 木村建設、自己破産を東京地裁に申請。2005年11月19日、熊本ファミリー銀行は木村建設が持っていた当座預金約13億円の凍結を通告した。このうち約12億円を貸付金の回収に充てた。木村建設は同21日に1回目の不渡りを出した。
12月8日

東急系でも耐震強度偽装発覚

東急電鉄系の建設会社、世紀東急工業株式会社(東京都港区、奥澤靖司社長)のマンション「アーバン武蔵小金井」で構造計算書偽装が判明した。建築主・施工ともに世紀東急工業である。設計は世紀東急工業一級建築士事務所が担当した。

1999年1月に東京都多摩東部建築事務所(当時)が建築確認し、同年12月に完成した。判明分の問題物件の中では最も古いとみられる(「東急の物件でも偽造判明 都が建築確認」共同通信2006年12月8日)。

東京都都市整備局は12月13日にアーバン武蔵小金井の偽装を発表した(東京都都市整備局「マンション建築に係わる構造計算書等の偽装について(姉歯建築設計事務所が関与したもの)」2006年12月13日)。

「新たに「姉歯マンション」判明、最も古い偽装物件」読売新聞2005年12月8日
「<耐震偽造>東京・小金井のマンションでも改ざんの疑い」毎日新聞2005年12月8日
12月11日 自民党の片山虎之助参院幹事長が午前中、テレビ朝日の番組に出演。耐震データの偽造を民間検査機関が見逃していた問題に関し、国や地方自治体が指定した民間の全検査機関を調査し、適正と判断した機関だけを再指定すべきだとの考えを示した。「民間の指定(検査)機関を、能力と意欲があるかどうかもう一度全部点検する必要がある。再指定というか、それは国民の安心につながる」。 「民間検査機関の再指定を=耐震偽装問題で片山自民党参院幹事長」時事通信2005年12月11日
12月16日

ヒューザー、資産売却

ヒューザーはマンション建設用地を山口県の建設会社に売却した。売却した建設用地はグランドステージ町田とグランドステージ和光である。売却代金は21億5千万円。このうち、20億5千万円は銀行への借入金返済に回り、住民への補償に充てられたのは約1億円のみであった。
「建設中止の2用地売却」朝日新聞夕刊2006年1月16日
12月19日 株式会社森田設計事務所(東京・世田谷区)、東京地方裁判所に破産手続きの開始を申請。翌20日に開始決定を受けた。森田信秀代表の死亡により、事業継続が困難になっていたという。 「所長「自殺」の森田設計事務所、倒産していた」建設総合サイトKEN-Platz 2006年1月23日
12月28日 奈良地裁は総合経営研究所の資産について仮差し押さえ命令を出した。申請人は構造計算書の偽造が明らかになった「サンホテル奈良」(奈良市、休業中)のオーナー会社である。対象は東京都千代田区平河町にある総研名義のビル2棟とその土地で、このうち5階建てのビルは内河健所長の自宅になっている。関係者によると、オーナー会社は総研に対して損害賠償請求の検討をしており、仮差し押さえの手続きはその一環という。 「総研資産を仮差し押さえ 被害ホテル申請で奈良地裁」共同通信2006年2月2日

耐震強度偽装2006年

日付 出来事 典拠
1月16日

ヒューザー、国訴える方針決める

ヒューザーは、特定行政庁や国指定の確認検査機関が、姉歯秀次元建築士による偽装を見抜けなかった結果、偽装物件を販売し損害を受けたとして、国家賠償を求める訴訟を起こす方針を正式に決めた(2006年1月16日)。

関係者によると、ヒューザーは、耐震強度偽装問題が拡大した原因が、特定行政庁や検査機関の偽装の見落としにあった、との見解をまとめた。基準値以下の強度の物件に施工の許可を与えた最終的な責任は国にあるとする。

被害者住民宛文書でも「一切は確認検査機関の怠慢と国土交通省の監督責任によるもの」と主張する(「耐震偽装事件(不正文書発行事件)について」2006年1月10日)。この文書は偽装マンションの対策委員会代表が2006年1月中旬、ヒューザー本社を訪れたところ、小嶋社長から手渡された。

ヒューザー、営業活動停止

ヒューザーは営業活動を休止する。偽装問題発覚(2005年11月17日)後、新たな物件の販売が進まず、事実上営業ができなくなった。ヒューザー関係者によると、発覚前に30数人いた従業員の9割近くが退職し、現在は数人の社員が残るだけという。現在は残った数人の社員で住民との交渉などを行っている。

ヒューザーは「被害者救済に向けた指針」をまとめた。以下の方針を採る。
営業活動を停止し、会社は住民への被害補償だけを行う組織に縮小する。
会社と小嶋進社長の資産を公開し、全て被害者救済に充てる。
営業活動をただちに停止し、被害者救済のため最小限の組織に再編する。本社も東京・丸の内から2006年1月末にも移転する(「ヒューザーが本社移転へ=営業停止「補償に専念」」時事通信2006年1月17日)。
従業員には再就職先を斡旋する。
住民に連絡協議会を作ってもらい、その合意のもとで救済策を実行する。
弁護士らで専門家のチームを結成し、強度偽装事件の責任のありかを明らかにして損害賠償請求し、被害者救済に充てる(「耐震偽装のヒューザー、営業停止へ 「住民補償に専念」」朝日新聞2006年1月16日)。姉歯秀次元建築士による構造計算書偽造を見抜けなかった民間の指定確認検査機関や、制度の不備を放置したとして国にも損害賠償請求し、その補償金を原資とする。

住民側が同社の意向を受け入れるかどうか、流動的である。ヒューザーは建築主としてマンション居住者に瑕疵担保責任がある。しかし、住民集会等での説明ではヒューザーの補償方針が二転三転した。そのため、住民は不信感を募らせている。複数のマンション住民は「小嶋社長の言動は全く信用できない」として、資産保全のため破産申し立ての方針を表明した。今後の推移は不透明である。

ある法律関係者は以下のコメントをする。「破産しても、損害賠償請求は破産管財人が裁判所と相談しながら取り組む。ヒューザー自身がやるといっても、住民からみれば信用性や公平性に欠けるのではないか」(「ヒューザー営業停止へ」朝日新聞夕刊2006年1月16日)。

「国訴える方針決める ヒューザー、強度偽装で」共同通信2006年1月18日
「小嶋社長“潔白文書”」読売新聞2006年1月17日
「ヒューザー社員の大半退職 近く正式に営業停止へ」共同通信2006年1月16日
「ヒューザー営業休止へ 「居住者補償」中心に縮小」産経新聞2006年1月17日
1月16日 参議院国土交通委員会は参考人質疑に強度偽装が判明したビジネスホテル「センターワン半田」(愛知県半田市)の中川三郎社長を招致することを決めた。 「ホテル社長招致」読売新聞2006年1月17日
1月17日 衆議院国土交通委員会は小嶋進ヒューザー社長の証人喚問後に理事懇談会を開催した。民主党は伊藤公介議員の証人喚問を求めたが、与党側は回答を保留した。与野党は「正当な理由がないのに証言を拒否した」として小嶋社長の再喚問や議院証言法違反での刑事告発を検討することで合意した。 「伊藤元長官の証人喚問要求」朝日新聞2006年1月18日
1月18日

伊藤公介元長官の表彰延期

衆院議院運営委員会は午後に開かれた理事会で、自民党の伊藤公介元国土庁長官の議員在職25年表彰を当面延期することを決めた。与党側が提案、民主党も了承した。表彰は1月20日召集の通常国会冒頭の本会議で行われる方向だった。野党側が伊藤氏の証人喚問か参考人招致を強く要求しているため、与党側が現段階での表彰は得策ではないと判断したとみられる。
「伊藤元長官の表彰延期 耐震強度偽装めぐり」共同通信2006年1月18日
1月18日 山形県は早ければ1月中にも、大臣指定の民間確認検査機関「日本ERI」(本社・東京都)に立ち入り検査する方針を固めた。県内の5階建て以上の分譲・賃貸マンションやホテルを対象に、構造計算書の偽造がないか調べる。積載荷重や地震力などの入力データとその計算結果を審査しているかや、計算結果を構造図面と照合しているかを点検する。国は大臣指定の各民間機関ごとに、10階建て以上の建築物を50件程度抽出し調査したが、抽出数からみて県内の物件が含まれていないと考え、独自調査をすることにした。 山根真紀「耐震計算偽造:日本ERIを立ち入り検査へ−−県、今月中にも /山形」毎日新聞2006年1月18日
1月19日 衆院国土交通委員会にて参考人質疑。平成設計の徳永豊建築士は「総研には絶対服従で、言いなりになっている意味合いを感じた」と話す。

民主党の下条みつ議員は、スペースワン建築研究所の井上正一代表に設計・監理者としての責任を質した。「工事監理の責任があるのに見過ごしたのではないか」「あなたの言っていることが通用したら誰も信用できなくなる。監理者に責任がないというのなら、誰が責任を取るのか」。

井上氏は「気が付かなかったことに関しては責任を感じる」と認めた。ただ、「現場は常に動いている。工事監理者といえども現場に常駐していない。その都度、定例打ち合わせなどで対応しているが、見切れない部分は施工者がやるべきだと考えている」と述べた(小原隆「工事監理の責任があるのに見過ごしたのではないか」建設総合サイトKEN-Platz 2006年1月20日)。

「「総研には絶対服従」=99年から姉歯氏利用−平成設計代表ら証言・衆院国交委」時事通信2006年1月19日
1月19日

参院参考人招致

参院国土交通委員会は建物構造の専門家や耐震強度が偽装されたマンションの住民らを参考人として招致した。招致されたのはグランドステージ住吉(江東区)住民の清水克利・構造偽装問題対策委員と、センターワンホテル半田(愛知県)の中川三郎社長らである。19日10時から16時まで審議し、再発防止策や国の住民支援策について意見を聴いた。

清水氏は以下のように述べた。「建築確認を信じなければ、何を信じればいいのか」「私たちを苦しめているのは、多くの違法建築物が同じ業者によって長年、建てられ続け、それを防ぐことができなかった法制度の問題だ」。

購入者側の責任を問う議員の質問には「建築確認まで疑って購入することを求められても無理だ」と反論した。「住宅喪失の危機にある自分たちを支援してほしい」と国による補償を強く求めた。

「参院国交委も参考人招致へ 耐震偽装、19日に」共同通信2006年1月13日
「耐震偽装で参考人質疑、住民訴え「生活破たんの危機」」読売新聞2006年1月19日
「<耐震偽造>マンション住民ら支援策見直し訴え 参考人質疑」毎日新聞2006年1月19日
「「住宅喪失の危機」=被害住民ら支援要望−参院国交委で参考人質疑・耐震強度偽装」時事通信2006年1月19日
1月19日 ヒューザーの会計担当者が偽造マンション住民に財務状況を説明した。説明を受けたのはグランドステージ東向島とグランドステージ藤沢の代表である。ヒューザーは偽造マンションの住民に損害を全額補償することは不可能な財務状況である。倒産した場合、住民への賠償分を除いても約10億円の債務超過に転落する見通し。 桐野耕一「<耐震偽造>「補償不能の財務」ヒューザー会計担当者説明」毎日新聞2006年1月20日
1月20日 自民党は伊藤公介・元国土庁長官から事情を聞くため、党政治倫理審査会(笹川尭会長)を開く方向で検討を始めた。 「自民、政倫審で伊藤元国土庁長官の事情聴取を検討」読売新聞2006年1月21日
1月20日 イーホームズはサンホテル奈良(奈良市三条本町)の構造計算の再計算結果を発表する。耐震強度基準の1.0に満たない0.44であった。 「サンホテル奈良 耐震強度0.44−イーホームズ再計算 奈良市に結果報告」奈良新聞2006年1月20日
1月21日 自民党の片山虎之助参院幹事長は朝、TBSの番組に出演した。野党が自民党の伊藤公介元国土庁長官の証人喚問を要求していることに関し、衆院国土交通委員会での喚問を検討する必要があるとの考えを明らかにした。「委員会の理事が相談するだろうが、場合によってはやるべきだ。本人の説明が足りないところは党が補わないといけない。党の政治倫理審査会でも話を聞くことになっている」。 「伊藤元長官の喚問必要=自民参院幹事長が言及」時事通信2006年1月21日
「伊藤氏の証人喚問も検討 耐震強度偽装で片山氏」共同通信2006年1月21日
1月21日 ヒューザー(東京都)の破産申し立てについて、首都圏のマンション八棟が参加を決めた。同社の資産散逸を未然に防ぐのが目的で、資産は建て替え費などに充てる。2006年1月末を目処に東京地裁に破産を申し立てる予定。

参加棟数はヒューザーが販売(完成済み)した偽装マンション約17棟のほぼ半数にあたるが、対応を決めていないマンションもあり、今後、参加棟数が増える可能性もある。破産申し立てを決めたのは、同社の「グランドステージ」シリーズの住吉、茅場町、稲城、赤羽、千歳烏山、江川、下総中山とコンアルマーディオ横浜鶴見の計8棟。

「ヒューザー破産申し立て 8棟月末にも」産経新聞2006年1月22日
1月21日 グランドステージ東向島管理組合はヒューザーの破産申し立てへの参加を棄権した。住民の間には「破産管財人が入った方が配分が公平になる」「破産させずに残し、きちんと真相を解明させるべきだ」との両論があり、全世帯での投票結果も賛否同数で、意見がまとまらなかった。 「8カ所が破産申し立てに賛成 ヒューザーに対し住民ら」共同通信2006年1月21日
1月22日 公明党の井上義久政調会長はテレビ朝日の番組に出演。自民党の伊藤公介元国土庁長官の証人喚問を求めていることについて、国会招致が必要との考えを明らかにした。「国会に出てきて、説明責任を果たしたらいい」。 「伊藤氏の国会招致必要=堀江氏支援「自民は反省を」−井上公明政調会長」時事通信2006年1月22日
1月22日 ヒューザーの小嶋進社長、グランドステージ溝の口(川崎市高津区、24戸)の住民説明会に出席。住民側からは批判の声が上がった。「自分達が第一被害者というのは、被害者の心情を理解しない発言」「すべてが『たら、れば』で、実現性が感じられない。現実を把握できているのか」「言っていることは口先だけ。逃げ道を作っている」。 広瀬登「安全ショック:構造計算書偽造 「口先だけ」住民冷ややか−−住民説明会/神奈川」毎日新聞2006年1月23日
1月23日 毎日新聞が1月21、22日の両日実施した世論調査の結果を発表。支持政党で自民党を挙げた人は28%で、2005年11月の前回調査より7ポイントも減少した。先の衆院選でライブドアの堀江貴文社長を自民党が実質支援したことや、耐震データ偽造問題で同党議員の関係が追及されていることが影響した、との見方が与野党から出ている。

構造計算書改竄を見抜けなかった民間確認検査機関や自治体の責任の方が国より重いと考えている人は約六割である。自宅の耐震強度に不安を感じている人は三割を超えた。

「<自民支持率>7ポイントも減少28%に 毎日新聞調査」毎日新聞2006年1月23日
「<耐震偽造>民間検査機関や自治体の責任6割近く 世論調査」毎日新聞2006年1月23日
1月25日 小泉首相は参院本会議で、民主党が自民党の伊藤公介元国土庁長官の証人喚問を求めていることについて、伊藤氏自身が説明責任を果たすべきだとの考えを示した。「政治家たるもの、自らの政治活動については国民に自ら明らかにしていくことが大切だ」。 「強度偽装、伊藤元長官は「自らの活動明らかに」…首相」読売新聞2006年1月25日
1月25日 川崎市の阿部孝夫市長は市が建築確認しながらも、姉歯秀次元建築士によるデータ偽造があった市内のマンション4棟について、建築主の責任による補強工事を求めることを明らかにした。「市には問題を起こした事業者に徹底的に被害者救済をさせる責任がある」。「補強工事は業者負担。市が補助する考えはない」。 「安全ショック:構造計算書偽造 川崎市長「マンション補強工事は業者負担」/神奈川」毎日新聞2006年1月26日
1月26日 警視庁などの合同捜査本部は姉歯秀次元一級建築士らの建築基準法違反容疑などを裏付けるため実施する現場検証の際、原則として全て破壊検査を行うことを決めた。偽装物件の強度を確認する現場検証は、建築基準法だけでなく詐欺容疑での立件を目指す際もポイントとなる。そのため、合同捜査本部は、鉄筋量だけでなくコンクリートの強度も正確に分析することが可能な破壊検査を重視した。 「全検証物件で破壊検査 耐震強度を正確に分析」共同通信2006年1月26日
1月29日 民主党の鳩山由紀夫幹事長がNHKの番組に出演。小嶋進ヒューザー社長と安倍晋三官房長官の秘書との関係について何らかの関与があったとの見方を示した。「(安倍氏は)国土交通省側に働き掛けはしていないと言っているが、国交省側のいろんな方から聞くと、どうもそうでもない」。秘書の関与の疑いは依然ぬぐえないとの認識を示した(「安倍氏秘書「働き掛け」疑念消えぬ=民主・鳩山氏が指摘」時事通信2006年1月29日)。 「鳩山氏 自民議員の関与改めて指摘」スポニチ2006年1月29日
「国交省への関与を指摘 安倍氏秘書問題で鳩山氏」共同通信2006年1月29日
1月30日 ヒューザーは、耐震計算書偽造を見抜けなかったとして、東京、神奈川、埼玉、千葉の4都県にある17市区と都を相手取り、総額139億円の国家賠償訴訟を東京地裁に起こした。耐震強度偽装事件で行政を相手取った提訴は初めて。 「ヒューザーが賠償求め提訴=18自治体に139億円請求−耐震強度偽装・東京地裁」時事通信2006年1月30日
1月30日

グランドステージ東陽町で偽装発覚

グランドステージ東陽町(江東区千石3-4-2)の耐震強度偽装物件が判明した。97件目の偽造物件と認定された。耐震強度は基準の61%である。グランドステージ東陽町はヒューザーが建築主で、下河辺建築設計事務所が設計、木村建設が施工した。日本ERIが2002年1月に建築確認し、2003年2月に竣工した。

江東区は当初偽装ではなく設計ミスと報告した。しかし、再調査したところ偽装と判明した。構造計算書には偽造は見つからなかったが、計算書に基づいて作られる構造図に計算書と一致しない点があった。構造図からの再計算で耐震強度の不足が判明した。震度6弱の地震で倒壊の恐れがある。

行政からマンション名が正式に発表されたのは2月7日である。江東区の担当者は「国から『物件を明らかにしないと通行人にも危険だ』と公表の要請があった」と話す(「<耐震偽造>川崎の2棟強度不足 40日以上も公表せず」毎日新聞2006年2月15日)。

グランドステージ東陽町はRC造、地上8階、29戸である。基礎工事は株式会社ジオトップ(大阪市中央区)が担当し、TAIP工法を採用した。杭明細(杭種・杭長・本数)は以下の通りである。
鋼管杭 φ700 L46.5m 11本
鋼管杭 φ800 L46.5〜56.5m 19本
鋼管杭 φ900 L56.5m 5本
鋼管杭 φ1000 L46.5〜56.5m 11本

「新たに偽装確認、計97件に 江東区の分譲マンション」共同通信2006年1月30日
「<耐震偽造>姉歯氏物件が97件に 東京・江東区」毎日新聞2006年1月30日
「東京・江東の「姉歯物件」、耐震強度61%」日本経済新聞2006年2月7日
1月30日 国土交通省は、建築確認の際に姉歯秀次元一級建築士による偽装を見逃した二十八自治体を対象に行った聞き取り調査の結果、四市区の構造審査方法に「重大な問題点があった」ことを明らかにした。社会資本整備審議会建築分科会の基本制度部会で報告した。

問題があったのは福岡市、前橋市、長野県松本市、東京都中央区。コンピューター処理する構造計算書は、耐震強度が建築基準法の水準を下回るとエラーメッセージが記載される仕組みだが、四市区ともエラーメッセージがまとめて出るページが欠落していたのに建築確認を行っていた。

国交省が今月、二十八自治体が建築確認をした十階建て以上の物件から各十件を抽出して調査し判明した。福岡市でマンション六件、前橋市は二件、松本市と中央区はそれぞれ一件で不備が見つかった。また、自治体自ら実施した建築確認業務の点検の結果、建築主など基本データを記載した台帳で、福岡市で修正後の数値の記入漏れが見つかるなど、計七市区で誤記入や記入漏れがあったことも分かった。

「構造審査「重大な問題」 福岡など4市区 エラー表示されず」西日本新聞2006年1月31日
1月31日 ヒューザーが販売した耐震強度偽装マンションの購入者が、ヒューザーは実質的に債務超過の状態にあるとして、同社の破産を東京地裁に申し立てた。申し立てたのはグランドステージ住吉(東京都江東区)、グランドステージ下総中山(千葉県市川市)など千葉、東京、神奈川の三都県にある強度が偽装されたマンション9カ所の住民計309世帯である。

グランドステージ住吉の清水克利・対策委員ら住民代表は午後、東京都庁で記者会見した。 「ヒューザーの資産流出は明らかだ。補償(のための資産)をどう減らさないかを考えれば、破産申し立て以外に方法はない」。「破産させて資産状況の透明化を図るべきだ」「会社が存続しても補償も期待できず資産が減るだけ」「補償を得るためにやむを得ない」「ヒューザーの資産は減る一方で増える要素はなく、貸す銀行もおそらくない。だらだらと残すよりも清算すべきだ」。

「ヒューザーの破産申し立て」産経新聞2006年1月31日
「「破産以外に方法ない」偽装マンション住民が会見」共同通信2006年1月31日
「<耐震偽造>破産申し立て 被害住民「補償得るため必要」」毎日新聞2006年2月1日
1月31日 耐震データ偽造事件に絡み、建築主のヒューザーは、指定確認検査機関イーホームズのWebサイトの記載で名誉を傷つけられたなどとして、同社と藤田東吾社長に5億円の賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。「意図的に強度不足のマンションを建築したかのように公表され、名誉を傷つけられた」「イーホームズは自らの責任を免れるため、ヒューザーが姉歯秀次元一級建築士と共謀して強度偽装を行ったかのような虚偽の事実を公表した」と主張する。 木戸哲「<耐震偽造>イーホームズをヒューザー提訴 名誉棄損で」毎日新聞2006年1月31日
「ヒューザーがイーホームズも提訴=「耐震偽装で名誉棄損」−東京地裁」時事通信2006年1月31日
「ヒューザー、イーホームズに5億円損賠提訴」読売新聞2006年2月1日

2006年2月

日付 出来事 典拠
2月1日 新生銀行は、新生銀の住宅ローンを借りて偽装マンションを購入した住民への支援策を発表した。返済を最長三年間猶予でき、その間の金利を免除する。返済猶予期間の金利が一切免除されるため、猶予によって返済総額が増えることはない。具体的な特例措置を公表した民間金融機関は初めて。 「耐震偽装 新生銀、ローン最長3年猶予 住民支援へ金利免除」産経新聞2002年2月2日
2月2日 合同捜査本部は、マンション建築主ヒューザーや施工業者木村建設の元従業員らに対する任意の事情聴取を本格的に開始した。偽装マンションやホテルの建築主、施工業者、元請け設計会社などからも幅広く聴取する方針で、対象は100人を大きく超える見通し。 「ヒューザー、木村の聴取本格化=対象100人超に−合同捜査本部」時事通信2006年2月2日
2月2日 連合加盟の官公労組で組織する公務公共サービス労働組合協議会(公務労協)は、東京都内で代表者会議を開催。公共サービスの在り方を提言した。従来の行政や小泉内閣が進める「小さな政府」ではなく、狂牛病(牛海綿状脳症BSE)問題や耐震強度偽装問題等、新たに生じている不安や危険に対応できるよう仕事を改革しなければならない、とする。 「政労協議でルール作りを 仕事見直しも、官公労組」共同通信2006年2月2日
2月3日 国会議員が国会質問のため、姉歯秀次元建築士を聴聞した記録の開示を求めたのに対し、国土交通省は「個人情報にあたる」として拒否した。2005年4月に全面施行された行政機関個人情報保護法の規定を理由とする。しかし情報公開法は生命や財産などの保護のため必要なら、個人情報も開示できると定める。同省は、国会での真相究明より姉歯元建築士の情報保護を優先した形で、論議を呼びそうだ。 「「姉歯聴聞」国交省が開示拒否…「個人情報」理由に」読売新聞2006年2月3日
2月4日 グランドステージ池上(東京都大田区)の耐震強度が、建築基準法の最低基準の50%を割り込んでいることが、大田区の調べで分かった。グランドステージ池上は姉歯秀次元一級建築士が「最初に偽装した」と証言した物件である。

グランドステージ池上は大田区が建築確認し、1999年6月に完成した。偽装問題が2005年11月に発覚した後、建築主のヒューザーは「強度不足」を住民に伝えた。しかし同社か住民側が保管している筈の建築確認申請書類副本が紛失していたことから、区は当初「偽装は確認されていない」としていた。

住民からの要望を受け、大田区は2006年1月から、超音波装置を使った調査の他、柱や梁に実際に穴を開け、内部の鉄筋量を調べる破壊検査をした。その結果、ヒューザーに残っていた施工図を基に同社が作成した構造計算書による耐力不足と、ほぼ一致したことが分かった。

「「最初の偽装マンション」耐震強度50%以下 退去勧告へ」産経新聞2006年2月4日
2月4日 国土交通省は姉歯秀次元建築士の構造計算書の偽造を見逃し建築確認を出したイーホームズなど6つの民間の指定確認検査機関と審査を担当した確認検査員について、建築基準法に基づき年度内に処分する方針を固めた。 「検査機関は年度内に処分 耐震強度偽装で国交省方針」2006年2月4日
2月5日 グランドステージ川崎大師(川崎市川崎区)の住民と施工業者の太平工業が協議。同社は竣工図通りに施工されなかった部分について補償する考えを示した。一方で同社は「耐震強度にはほとんど影響がない」と主張。住民から「自己弁護だ」と憤りの声が上がった。 「<耐震偽造>業者が竣工図通りに補償へ 川崎のマンション」毎日新聞2006年2月5日
2月6日 政府は閣議で決定した答弁書で、国土交通省のOB18人が民間の指定確認検査機関6社に再就職していることを明らかにした。長妻昭衆院議員(民主)の質問主意書に答えた。

全国銀行協会は、耐震偽装マンションを購入した住民の住宅ローンの返済支援策を発表した。対象は震度5強程度の地震で倒壊する恐れがあり、解体の対象となっている10棟288戸。支援策は元金・利息の返済を最大3年間猶予、返済期間を最大3年間延長、返済猶予期間の金利は可能な限り引き下げる、返済方法の変更のための事務手数料を免除の4項目である。マンション再建後の新規ローンについても柔軟な対応を示す。

「民間検査機関に天下り18人=国土交通省OB、6社に−耐震強度偽装」時事通信2006年2月6日
2月6日 日本ERIは、グランドステージ川口(川口市原町、11階建て)の実態調査を始めた。同社が実態調査を行うのは初めて。調査は約1週間。ベランダや階段の壁に穴を開け、モルタルを抜き取って成分や強度を調査し、レーザーで柱や梁の中の鉄筋の本数を確認する。調査結果をもとに同社が構造計算を再計算し、マンション住民らに補強策などを示す。同社が行った構造計算書の再検査では、耐震強度は基準値の56%だった。 「川口のマンション強度偽装、日本ERIが初の実態調査」読売新聞2006年2月6日
2月7日 伊藤公介元国土庁長官の三男が経営する会社が、元長官に長年政治献金している住宅販売会社から、清掃業務を大量受注していたことが分かった。耐震偽装問題発覚前に、ヒューザーの小嶋進社長らを国土交通省課長に引き合わせた伊藤元長官と業者側との密接な関係が、一層鮮明になった。

この住宅販売会社は、東京都内に本社がある中堅業者。同社によると、伊藤元長官の三男が社長を務める「フューチャービジネスネットワーク」(東京都中央区)に、建築した分譲マンションの完成後の清掃業務を、過去2年間で約70件発注した。1回あたり50万円前後だったという。フューチャー社は、この住宅販売会社が所有する中央区のビルに入居しているが、住宅販売会社は「適正な家賃を頂いている」としている。

伊藤元長官の資金管理団体「東京公友会」の政治資金収支報告書によると、この住宅販売会社は2004年にパーティー券を100万円購入したほか、社長が1998−2003年に各16万円を献金している。また、社長は、問題発覚のため中止になった2005年12月の伊藤元長官の政治資金パーティーの発起人を、ヒューザーの小嶋社長らとともに務めることになっていた。

青島顕「<伊藤元長官>三男の会社が、献金先から業務大量受注」毎日新聞2006年2月7日
2月8日

非姉歯物件で偽装発覚

姉歯秀次元建築士以外の建築士が構造計算し、木村建設が関与した福岡市内のマンション3件について、同市が偽装を確認した。国交省は都府県を通じ、木村建設が施工などに関与した物件の実態調査を進めていたが、姉歯元建築士以外の建築士による構造計算書が偽造と確認されたのは初めて。3件の構造計算をしたのは廃業した福岡県春日市の設計会社「サムシング」(仲盛昭二代表)である。偽装された3物件は構造計算に一部修正が加えられ、一貫性がない。サムシングが手掛けた物件は約二十年間でおよそ一万二千件に上るとされるだけに、行政による徹底調査を求める声が相次いでいる。

国土交通省は仲盛昭二一級建築士から建築士法に基づき事情聴取する方針を固めた。早ければ今週中にも、九州地方整備局に出頭を求める。聴取を通じ、これまでにサムシングが構造計算に関与した物件の特定や偽装の有無、多い時には約50人が所属していたとされる建築士が偽装にどのようにかかわったのかを調べる方針。しかし、同社の廃業に伴い関係書類は散逸しているとみられ、偽装の全容把握は困難な見通しである(「国交省も建築士聴取へ サムシングの耐震偽装問題」共同通信2006年2月8日)。

「偽装を意図せず作成した構造計算書が欠陥住宅を生んでいるとすれば、問題の根深さは姉歯疑惑の比ではなくなってくる」(「“姉歯以外”が示す新たな欠陥住宅問題」日経ビジネス2006年02月20日号8頁)。

「非姉歯で初の偽装確認 福岡市マンション3件」共同通信2006年2月8日
「設計関与1万2000件 九州で最大手級 サムシング社偽装」西日本新聞2006年2月9日
2月8日

熊本県、偽装物件を放置

熊本県内の木村建設施工のマンションやホテル6件に耐震強度不足があることが判明した。熊本県の依頼で、日本建築構造技術者協会九州支部JSCAが木村建設が県内で関与した建築物について構造計算のやり直しを行ったところ、耐震強度不足が判明した。何れも姉歯秀次元建築士や設計会社サムシングは関与していない物件である。

熊本県は強度不足2件の具体的な数値(1件は耐震基準の67%)を1月13日に把握しながら、数値の確認や国への報告などの対応をせず事実上放置していた。半月以上も国に報告せず対策も取らなかった(「<耐震偽造>熊本県土木部次長が対応の遅れ陳謝」毎日新聞2006年2月9日)。国土交通省の調査で判明した(「数値把握後も放置 熊本県、耐震基準の67%」共同通信2006年2月10日)。「厄介な物件が判明してしまった」という態度がありありである。

国土交通省は、熊本県の西山一郎土木部次長を呼び、公表が遅れた経緯について説明を求めた(2006年2月9日)。西山次長は「忙しかった」などと答えた。同省の小川富由建築指導課長は「国民の不信を招く行為で誠に遺憾だ」と述べ、行政の対応を検証するよう求めた(「「国民の不信招く行為」=「強度不足」公表遅れ−熊本県に検証要請・国土交通省」時事通信2006年2月9日)。北側国交相は10日、「遺憾だ。そのまま報告してもらわないといけない」と県の対応を批判した(「<耐震偽造>熊本県の報告遅れに「遺憾」 国土交通相」毎日新聞2006年2月10日)。

「6件で耐震強度不足指摘 震度5強で倒壊の恐れ」共同通信2006年2月8日
「<耐震偽造>熊本県のマンション、ホテルの6件に強度不足」毎日新聞2006年2月8日
2月9日 設計会社「サムシング」(仲盛昭二社長)は、姉歯秀次元建築士と同様に、二つの構造計算書を組み合わせる手口で改竄を行っていた疑いが強いことが、福岡市などの調査でわかった。同社は建物の重量を実際より軽く見積もり、「OK」を出した計算書の結果部分だけを、元の計算書と組み合わせ、市などに提出していたと見られている。 「福岡のマンション強度偽装、2種類の構造計算書用意」読売新聞2006年2月10日
2月9日 東京都は姉歯元建築士が構造計算を偽装したマンションなどの設計を担当した元請け設計業者六社に、建築士法に基づき2006年2月9日付で設計事務所の登録を取り消す処分を行った。登録を取り消されたのは、スペースワン、下河辺建築設計事務所、エスエスエー建築都市設計事務所、平成設計、木村建設東京支店、シノケン東京支店。

六社は、姉歯元建築士の偽装を見逃し、建築基準法に違反して強度不足の建築物を建てた疑い。エスエスエー建築都市設計事務所など四社は既に廃業届を都に提出していたが、都は登録抹消とせず、「登録取り消しとするのが妥当」と判断した。

「<耐震偽造>東京都、元請け設計会社6社の登録取り消し」毎日新聞2006年2月9日
「元請け設計業者6社、事務所登録取り消し 都が処分」産経新聞2006年2月10日
2月10日 耐震強度偽装事件で強度不足が判明し、休業中のビジネスホテル「センターワンホテル半田」(愛知県半田市)は、建築確認を行った愛知県と、コンサルタント会社「総合経営研究所(総研)」、同社の内河健所長を相手取り、総額約6億円の損害賠償を求める訴えを起こすことを決めた。14日、名古屋地裁に提訴する。偽装が判明したホテルが訴訟に踏み切るのは、全国で初めて。 「総研などに6億円損賠提訴へ、偽装ホテル初訴訟」読売新聞2006年2月10日
「愛知県と総研を提訴へ=耐震偽装、被害ホテルで初」時事通信2006年2月10日
2月10日

日本ERI、受注激減で業績下方修正

日本ERIは2006年3月期(2005年4月1日〜2006年3月31日)の連結業績予想の修正を公表した。経常利益は前期比約59.5%減の2億円で、2005年11月18日に公表した連結業績予想の7億700万円を約71.7%下回り、売上高は前期比約13%増の61億円(従来予想は66億8000万円)と見込む。2005年11月17日に発覚した構造計算書偽造事件の影響で、共同住宅の確認検査業務や住宅性能評価業務に関する受注が大幅に減った。
「日本ERIの経常利益が前期比6割減へ」KEN-Platz 2006年2月10日
2月11日 姉歯秀次元建築士が、「最初の偽装物件」と証言した東京都大田区の分譲マンション「グランドステージ池上」(24戸)について、同区が「破壊検査」などを行った結果、耐震強度が基準の50%にも満たないことがわかった。区は11日、居住者に説明し、区が行った建築確認や完了検査で不正を見抜けなかったことを陳謝する。

同マンションを巡っては、建築主のヒューザー(大田区)は最も弱い部分で強度が44%と公表した。しかし同区はこれまで構造計算書など正規の資料が残っていないため、「偽装は確認できていない」としてきた。区はエックス線などによる非破壊検査に加え、壁や柱の一部をドリルで削る破壊検査も行って強度を調べた。

「GS池上の耐震強度は50%未満、検査の大田区謝罪へ」読売新聞2006年2月11日
2月11日 社民党の第10回党大会開催。福島瑞穂党首は挨拶で、ライブドア事件、耐震強度偽装事件などを挙げ「規制緩和、効率性重視の政策が生命、安全を脅かしている。小泉・自民党政治の末期的症状だ」と批判。格差社会の是正と憲法「改悪」阻止に取り組み、「競争社会をこえて共生社会をつくろう」と訴えた。 「「小泉政治は末期症状」 社民党大会で福島党首」共同通信2006年2月11日
2月11日 耐震データが偽造された川口市原町のマンション「グランドステージ川口」(11階建て、21世帯)の耐震強度実態調査が、終了した。調査した佐藤啓智・県建築士事務所協会川口支部長は、33カ所で実施したコンクリート強度調査について、「各階ベランダの耐震壁の厚さが設計図の18センチに満たない15センチだった」と明らかにした。

同日開かれた住民総会で結果が報告され、住民からは「今後補強案が提示されることになっているが、その先が見えない」など不安の声が出たという。

森国郎「耐震計算偽造:耐震壁の厚さ、設計図に満たず−−川口のマンション /埼玉」毎日新聞2006年2月12日
2月15日 耐震強度が基準値を下回ることが判明した川崎市内のマンション2棟について、川崎市は偽造確認後40日以上経過した現在も、物件名や耐震強度の数値を国に報告していない。同市は「入居者の了解が得られないため」と言うばかりだが、周辺住民にとって大事な安全対策上の情報であり、他の自治体から「行政の怠慢ではないか」と批判の声も上がる。国土交通省も「地震はいつ起きるかわからず、近隣住民の安全性を考え、速やかに報告するようお願いしている」と話す。

耐震強度偽装事件で著しい強度不足の分譲マンションを抱える自治体と国土交通省は、公的支援で支出される家賃補助や建て替え費用の返還請求を、各自治体がヒューザーに対し、速やかに行うことで合意した。国の2005年度補正予算で総額50億円が計上されており、今月中に法的手続きに入る自治体もあるという。自治体の動きに対し、グランドステージ住吉の八住庸平・対策委員長は不快感を示す。「住民が得られる補償額を削られるのは納得できない」。

「<耐震偽造>川崎の2棟強度不足 40日以上も公表せず」毎日新聞2006年2月15日
2月16日

ヒューザー破産手続き開始

東京地裁(西謙二裁判長)は、マンション住民による販売主ヒューザーの破産申し立てについて、破産手続きの開始を決定した。地裁は同社が債務超過状態にあると認定した。破産管財人には瀬戸英雄弁護士を選任。財産状況報告集会は9月13日に開かれ、債権届け出期間は6月30日まで。決定によりヒューザーの財産を管理・処分する権限は破産管財人に属する。届けられた債権が適正かどうかを調べ、住民ら債権者に財産を公平に配当する。

住民側によると、負債は瑕疵担保責任に基づく損害賠償債務などで、住民への債務は少なくとも130億円以上という。債権者として破産を申し立てたグランドステージ稲城(東京都稲城市)の住民代表・赤司俊一氏らが東京都庁で記者会見。破産債権として届ける額について「少なくとも購入価格の全額を考えている」と表明した。

ヒューザーに対する破産手続きの開始を受け、破産を申し立てた分譲マンション9棟の住民代表と弁護士が記者会見した。住民らは「主張が認められたうえ、資産流出を防ぐという趣旨も酌んでもらえた早い決定で、うれしい」と心境を語った。

ヒューザー、即時抗告

ヒューザーは17日、決定を不服として東京高裁に即時抗告した。ヒューザーの代理人弁護士によると、これに対し同社は「自治体を相手取った損害賠償請求訴訟で勝訴する見込みがあるから、債務超過に当たらない」と主張するという。

ヒューザー資産の目減り

破産管財人に選任された瀬戸英雄弁護士は17日午前、東京都内で記者会見した。現時点ですぐに配当などに充てられるヒューザーの資産は現金約540万円、銀行預金約2300万円にとどまることを明らかにした。

瀬戸弁護士はヒューザーの小嶋進社長と16日夜会ったことを明らかにした。瀬戸弁護士はその際、会社名義の預金通帳に約2300万円の残高があったことを確認。ヒューザー側から現金540万円を受け取った。

瀬戸弁護士は、ヒューザーの2005年9月末の中間決算に関する書類と、2006年1月末の財産目録を比べ「相当目減りしているのは事実だ」と話し、目減り分が被害の弁償に当てられたのかどうかを今後、調べる考えを示した。

「ヒューザー破産手続き開始 申し立て認める」共同通信2006年2月16日
「<耐震偽造>ヒューザー破産手続き開始 住民ら「うれしい」」毎日新聞2006年2月17日
「破産手続き開始決定に不服、ヒューザーが即時抗告」読売新聞2006年2月17日
「すぐ配当できるヒューザー資産、約2840万円」読売新聞2006年2月17日
「小嶋社長と会い、現金受領 ヒューザー管財人が会見」共同通信2006年2月17日
2月16日

自動車道橋脚で偽装

国土交通省などが発注した自動車専用道路「能越(のうえつ)自動車道路」(富山県砺波市―石川県輪島市)の建設工事で、高架道路の橋脚を支える基礎杭が設計基準より最大10%細いにもかかわらず、工事業者が橋脚2基の杭に偽装を施し、基準通りの太さに見せかけて国交省の検査をパスしていたことが、わかった。建築物の耐震強度偽装が深刻な社会問題となっているが、土木の世界も他人事ではない。

業者は、読売新聞の取材に偽装を認めている。さらに別の1基でも偽装が行われた疑いがあり、国交省北陸地方整備局が調査している。マンションなどの耐震強度偽装やホテルの不正改造に続き、国の検査制度を軽視した不正がまた明るみに出た。

工事を担当したのは、富山県内の中堅建設会社「松本建設」(本社・砺波市、松本誠一社長)。同社は、富山県氷見市に建設中の高岡北IC(インターチェンジ)―氷見IC(仮称)間の自動車道のうち、4基の橋脚を作る「粟原(あわら)高架橋下部工事」を受注。2004年1月に着工し、工期は当初、5か月間の予定だった。

同社などによると、2004年8月、橋脚の土台に打ち込んだ基礎杭のうち、不良工事のため、検査の対象部分となる杭の上部が設計基準の「直径1200ミリ」を満たさないものが見つかった。地下数十メートルまで埋められる杭について、国交省は、出来上がりを確かめる「段階確認」の際、土中から数十センチ突き出た「杭頭(くいとう)」の直径を測って太さをチェックする。

同社は、杭頭の外側に型枠を設置してコンクリートを流しこみ、杭頭の直径だけを太くしていた。関係者によると、4基の橋脚のうち少なくとも2基で偽装が行われた。1基は、計8本の杭のほとんどが基準以下で、うち4本が12センチ細かったという。国交省は2004年8、9月、段階確認を行ったが、この偽装を見抜けず、2005年3月、工事代金約1億8000万円を松本建設に支払った。

「自動車道橋脚で偽装、富山能越道の杭の太さ基準以下」読売新聞2006年2月17日
2月17日

ヒューザー、宅建業法違反で免許取り消しへ

東京都は、耐震強度の偽装の疑いを知りながらマンションを引き渡したとして、宅地建物取引業法違反での免許取り消し処分に向け、ヒューザー等二社に対する聴聞を都庁で行った。

ヒューザー側は偽装の認識はなかったとする陳述書を提出し、聴聞は欠席した。都は、欠席のまま聴聞手続きを終えた。重要事項の説明を義務付けた宅地建物取引業法47条に違反すると認定した。近く免許を取り消す。刑事告発の手続きを進める方針である。

「ヒューザーの免許取り消しへ=宅建業法違反で−東京都」時事通信2006年2月17日
「ヒューザー刑事告発へ 宅建業免許も取り消し」共同通信2006年2月17日
2月17日

横浜市の非姉歯物件で強度不足

横浜市は、非姉歯物件で耐震強度不足が判明したと発表した。マンション名はセントレジアス鶴見(鶴見区、10階建て、37世帯)である。ヒューザーが販売し、株式会社下河辺建築設計事務所が設計、木村建設が施工した。構造計算は田中テル也構造計画研究所(東京都杉並区)が担当した。民間の指定確認検査機関「日本ERI」が、2002年11月に確認済み証を交付した。

原因は日本ERIから設計ミスを指摘された田中テル也構造計画研究所が本来すべき構造計算をせず、ミスの残った確認申請書を再提出し、日本ERIも見落とした初歩的なミスである。同研究所は、強度不足を認識しながら、日本ERIに確認申請書を提出していた。市は「あり得ないミス。担当者に能力がなかった」と両者を厳しく批判した。

セントレジアス鶴見の構造設計は同事務所に所属する建築士資格のない男性職員が行った。建築士のチェックも受けていなかった。男性職員が作成した構造計算書は、本来強度の最低基準である1.0以上を示すべき個所に堂々と0.45等の数値が表示されていた。さすがに気付いた日本ERIは耐震壁等が基準を満たしてないと指摘した。基準を満たすにはコンクリートと鉄筋の強度補強が必要であった。職員は鉄筋だけを補強し、手書きで修正し再提出した。

依然強度は不足していたが、ERIは見落として建築確認を出した。日本ERIは見落とした原因を不明とする。しかし、計算式に当てはめればコンクリートと鉄筋の補強が必要なことは一目瞭然である。市は「普通は見落とさない。結果的に指摘した項目を確認していなかったのでは」とする。修正数値でも構造計算書を再計算をすれば強度不足は分かるが、再計算はなされなかった。

同研究所所員は、今回を含め以前から強度不足を認識しながら、指定確認検査機関に確認申請していた。この手の構造計算を繰り返していたとも話す。所員は市の聴取に「時間に追われ、ミスを指摘されたあとで修正すればいいと思った。間違いを指摘されれば勉強にもなる」と放言したという。

セントレジアス鶴見の住民説明会が18日に開催された。日本ERIは「審査が不十分だった結果でもあり、機関の役割に照らして深く反省している」と謝罪する文書を配布した。今後、マンションの実態調査と耐震改修案を立案すると説明。一方改修にかかる工事費は同研究所などと過失割合を話し合い、負担額を決めると説明した。住民代表の男性は「こんな図面で審査を通ったと思うと苦笑してしまった」と話した。

田中テル也構造計画研究所

田中テル也構造計画研究所はプラーティノ多摩川(大田区矢口)、ピュア・アクア大森(大田区大森本町)、アクロスコート池上(大田区東矢口)、カーサフロレスタ西馬込弐番館(大田区仲池上)、プラーティノ多摩川(大田区矢口)の構造設計を担当した。プラーティノ多摩川とピュア・アクア大森は管理会社を東急コミュニティーに予定している。

田中瑛也所長は謎めいた人物である。自身のWebサイトによると1934年生まれの一級建築士である。文明評論家の肩書も持つ。「地中海文明の源流をたずねて」等、複数の著書があり、エーゲ海学会、トインビー地球市民の会など多数の団体に所属。1988年には「ゲーテとラーメン」という作品で「コア東京賞優秀賞」を受賞するなどバラエティーに富んだ経歴となっている。

「「非姉歯」ヒューザー物件に強度不足、横浜で1棟判明」読売新聞2006年2月17日
「「審査不十分だった」強度不足で日本ERI謝罪」共同通信2006年2月18日
堀智行「安全ショック:構造計算書偽造 セントレジアス鶴見、ERIもミス見落とす /神奈川」毎日新聞2006年2月19日
「第2の「姉歯」はもっと手抜き」スポーツ報知2006年02月19日
2月18日 行政の責任や銀行ローンなどについて考えるシンポジウムが、東京都内で開かれた。耐震強度不足が判明した首都圏の分譲マンション15棟、住民約130人が参加。住民代表らは「国の十分な支援がなければ、国や金融機関を相手とした訴訟も考えざるを得ない」と口をそろえた。主催したのは、弁護士らでつくる「欠陥住宅全国ネット」など。これまで相談会などを開いてきたが、今回は過去最大規模の住民が集まった。

議論の焦点は行政責任と銀行ローンである。行政責任について吉岡和弘弁護士は講演で、「確認検査機関を指定した国にも責任があり、『公的支援』はまやかし。『賠償債務の支払い』という発想で誠意ある対応を望む」と強調した。

被害住民の負担が大きい銀行ローン問題では、中央大大学院の本田純一教授が「金融機関が融資前に物件の耐震性調査など担保鑑定を行うべきだった」と金融機関の対応を批判した。河合敏男弁護士も「このままでは自己破産する被害住民も出てくる。最後は債務不存在の確認で銀行相手に訴えるしかない」と力説した。

「耐震偽装 住民シンポ 国、金融機関相手に「支援なければ訴訟」」産経新聞2006年2月19日
2月19日 耐震強度偽装の再発防止策のため国土交通省がまとめた中間報告の最終案が明らかになった。建築士の業務倫理を徹底するため「倫理教育の充実を検討する」ことが新しく盛り込まれた。

自治体などに出す建築確認の書類に、実際には設計に関係ない1級建築士の名前を載せる名義貸しなどの不正行為について、建築士法で新たに罰則を設けることも打ち出した。

「建築士の業務倫理を徹底 耐震偽装防止で国交省」共同通信2006年2月19日
2月20日 国土交通省は田中テル也構造計画研究所が構造計算した東京都7件と神奈川県1件の計8件について、調査するよう関係自治体に指示したことを明らかにした。セントレジアス鶴見の耐震強度不足発覚への対応である。

田中テル也構造計画研究所には東京都が7日に立ち入り検査していた。国交省は3月10日までに調査、報告するよう自治体に求めている。

「8件の耐震強度調査へ 国交省、横浜の設計ミスで」共同通信2006年2月20日
2月21日 衆院政治倫理審査会(瓦力会長)は幹事会で、マンションなどの耐震強度偽装事件に絡んで自民党の伊藤公介元国土庁長官から申し出があった弁明聴取を23日午後に行うことを決めた。審査会は非公開が原則だが、今回は国会議員とテレビ、新聞には公開する。テレビ中継するかどうかは引き続き協議する。 「伊藤元長官の弁明聴取は23日、マスコミにも公開」読売新聞2006年2月21日
2月21日 衆院予算委員会は、耐震データ偽造事件に関する集中審議を行った。伊藤公介元国土庁長官がヒューザーの小嶋進社長を国土交通の担当者に引き合わせていた問題で、当時伊藤氏と面会した国交省の山本繁太郎住宅局長は働きかけを改めて認めた。「伊藤氏は『建築確認検査機関を指定した国にも責任がある』と話した」と述べる。

山本住宅局長は、政府が公的支援策を決定した2005年12月6日にマンション開発会社ヒューザーの役員からヒアリングするまで、同社の財務諸表を確認していなかったことを明らかにした。原口一博氏(民主)への答弁である。

原口一博議員は事件に対する独自の分析を披露した。建築サイクルが短い日本と違い、建築物が長く資産として残る欧州の建築文化を引き合いに出して、「建築物を、個人の所有物とするのでなく、社会的資産、環境資産として捉える必要がある」と指摘した。さらに、設計、施工業者が一体で建物を建てる構図によって、「資本の弱いところにしわ寄せが来ている」との見方を示し、「構造的に偽装は行われた」と結論付けた。

「<耐震偽造>住宅局長、伊藤氏の具体的働きかけ改めて認める」毎日新聞2006年2月21日
「ヒューザーの財務諸表見ず支援決定=国交省局長が答弁−「耐震偽装」集中審議」時事通信2006年2月21日
「耐震偽装は「構造的な問題」」ライブドア・ニュース2006年2月21日
2月21日

大田区に批判続出

国土交通相の諮問機関「緊急調査委員会」(座長・巽和夫京都大名誉教授)が、大田区にある分譲マンション「グランドステージ池上」で初の現地調査を実施した。調査委と住民との意見交換では、住民から「区長は無責任。住民の苦しみを分かろうともしていない」と大田区への批判が相次いだ。

住民の現状を把握するため実施された意見交換には、巽座長ら委員7人と、住民側から管理組合理事長と主婦4人が出席。理事長は委員を前に、「大田区は建物の耐震強度は足りないが、偽造があったかは不明との態度をとり(建築確認した)責任も当事者意識も感じていない。そのストレスで日々もんもんとしている」と心情を訴えた。

また、主婦の一人は「区から転居のため紹介された物件も既にいっぱいで、区は賃貸を借りる際に礼金や敷金を免除するよう依頼するといっていたのに、『住民が個別で対応して下さい』と発言を変えた」と憤る。「この事件の心労で夫は入院し、私も通院している。区が偽造を見逃さなければ、こんな悲劇は起きなかった」と語った。

さらに別の主婦は「子供が夜起きて、『マンション倒れちゃうの』と泣いて怖がる。どれほど怖いか、区長も泊まってほしい」と怒りを込めた。

NPO法人全国マンション管理組合連合会会長の穐山精吾委員は以下のように語る。「みなさんの発言は、まさに我々が前々から言っていたことが凝縮して起きたこと。この意見交換で把握した実情を、大臣に申し上げたい」。

桐野耕一「耐震計算偽造:現地調査、大田区に批判続出 緊急調査委に住民訴え /東京」毎日新聞2006年2月22日
2月22日 社会資本整備審議会(国土交通相の諮問機関)の基本制度部会は、構造計算書改竄を見抜けなかった現行の建築確認制度を抜本的に見直すための再発防止策をまとめた。一定規模以上の建物について、新たに設立する第三者機関が構造設計を再点検する「ピアチェック」の義務化を柱とする。早期に実施する防止策としては、売り主が倒産しても住宅購入者に賠償責任を果たすことができるようにした保険制度の創設と加入義務がある。罰則を強化し、危険なマンションを建設した設計者や施工業者に懲役刑を導入する。 「構造計算書、第三者機関で再点検…国交省方針」読売新聞2006年2月22日
2月22日

構造計算書非提示に対し、マンション購入者が提訴

2005年3月の福岡県西方沖地震で被災したマンションの構造計算書等の提出に応じなかったのは不当として、部屋を所有する山口県萩市の食品販売会社社長が、販売した不動産会社「大京」を相手取り、山口地裁萩支部に提訴した。売買代金(約8000万円)の返還や慰謝料など計約9000万円の支払いを求める。

訴状によると、社長は1990年3月、福岡市の14階建てマンションの1室を購入、同地震で1階の柱部分や外壁のコンクリートがひび割れるなどした。大京側は2005年5月、住民らへの説明会で、施工時に建物の基礎部分に手抜き工事があったと説明した、とする。

社長は具体的な欠陥内容の説明と、安全性を判断する構造計算書などの資料を求めたが、回答がなかった。このため、2006年1月、売買契約の解除を求める文書を郵送。これに対し、同社は「解除には理由がない」と回答したという。

大京広報部は「(説明会では)手抜き工事という説明はしておらず、一部に施工不良があったことや、補修工事の内容などについて説明した。入手可能な書類は写しを送付している」とする。

「「構造計算書の非提示は不当」マンション所有者が提訴」読売新聞2006年2月22日
2月23日

宅建業法違反でヒューザーの免許取消し

東京都は、マンション販売ヒューザーと同社の販売代理会社ジャスティホームの宅建業免許を取り消したと発表した。耐震強度の偽装を把握しながらマンションを引き渡し、重要事項の説明を義務付けた宅地建物取引業法に違反したとする。

ヒューザーは都に提出した陳述書で「処分にあたらない」と主張したが、都では「違法性が高く、社会的影響も大きい」と判断した。宅建業法で禁止する「重要事実の不告知」に当たる。 処分により、両社は土地・建物の売買や仲介などができなくなる。また、二社の役員は今後五年間、宅建業の経営にかかわることはできなくなる。

宅建業法は、取引相手に重要な事項を故意に告げないことを禁止する。違反すると一年以下の懲役または五十万円以下の罰金の刑事罰もある。都は今後、刑事告発の手続きを進める。警視庁とも協議する。

都によると、ヒューザーは2005年10月25日、グランドステージ藤沢を含め7つのマンションについて姉歯秀次元建築士による構造計算書の偽造を知った。ヒューザーの常務がグランドステージ藤沢の引き渡し前に千葉県の姉歯建築設計事務所で偽装データを確認したにもかかわらず、当該事実を住民に伝えないまま物件を引き渡した。マンションを購入者に引き渡した。その後に購入者が契約の解除を求めたが応じなかった。

「ヒューザーの免許取り消し 宅建業法違反で東京都」共同通信2006年2月23日
「ヒューザーの免許取り消し=宅建業法違反で−東京都」時事通信2006年2月23日
「東京都、ヒューザーの免許取り消し…宅建業法違反で」読売新聞2006年2月23日
「ヒューザーの宅建免許取り消し 東京都が処分」朝日新聞2006年2月23日
「<耐震偽造>都がヒューザーの宅地建物取引業免許取り消し」毎日新聞2006年2月23日
「東京都、ヒューザーの宅建業免許取り消し」日本経済新聞2006年2月23日
「ヒューザー免許取り消し 東京都、刑事告発へ手続き」産経新聞2006年2月24日
2月23日

伊藤公介議員の疑惑は消えず

衆院政治倫理審査会。伊藤公介元国土庁長官が弁明。自民党の渡辺博道、民主党の長妻昭、公明党の大口善徳の三氏が質問した。伊藤議員は発言の核心については曖昧な説明に終始した。国土交通省幹部の接待や、三男が経営する会社の営業活動について歯切れの悪い答弁が続き、疑念はさらに広がった。

政府は答弁書で「国交省局長の記憶では、伊藤氏は『建築確認検査機関を指定した国にも責任がある』と発言した」と認めている。これに対し、伊藤議員は「『調査はしっかりやってもらいたい。住んでいる方のために対応してほしい』と言った。私がそこで何をどう言ったか、全てを繰り返して言えない」と弁明した。民主党議員は「小嶋社長は『偽装』という言葉を使っている。その記憶はあるか」と追及した。しかし伊藤議員は陳情のテーマが偽装問題なのかは「分からなかった」と言葉を濁した。

伊藤公介議員親族企業、議員訪問後に受注獲得

伊藤元長官が約2年前にビル管理会社社長を務める三男と一緒に、東京都大田区の建設会社を訪問していたことが明らかになった。その後、三男の会社がこの建設会社から約4000万円のビル清掃業務を受注した。業界との「もたれ合い」の構図の一端が浮かび上がった。

建設会社は社団法人「日本住宅建設産業協会」(日住協、千代田区)の会員である。日住協は伊藤氏との密接な関係が指摘されるヒューザーも加盟しており、偽装物件「グランドステージ住吉」に優秀事業賞を授与していた。

長妻昭議員は、三男との同行について「営業活動ではないか」と追及した。伊藤氏は「その会社には三男の知人もいる。どういう時に行ったか覚えていない。営業では、できるだけ行かないようにしている」との弁明に終始した。

「潔白主張も疑問消えず」東京新聞2006年2月24日
2月24日 「近年主流となっている収益還元法(収益価格)は土地と建物を一体として評価するため、公示価格との均衡を図る必要がある原価法(積算価格)に比べて鑑定評価の自由度が高い。前提条件の置き方によって2倍近くの開きが出るといわれ、不動産鑑定士の「判断」という大義名分の下、怪しい鑑定評価が行われている可能性がある」。

「希望どおりの鑑定評価額を「偽装」できることをアピールして鑑定評価の仕事を獲得する鑑定業者もいると聞く。人命にかかわる耐震強度偽装と比較することはできないが、一級建築士、公認会計士に続く、国家資格保有者の信用失墜問題に発展しないことを祈る」。

黒柴ハル男「不動産鑑定評価の「偽装」が心配だ」日経不動産マーケット情報2006年2月24日
2月26日 偽装物件「グランドステージ東向島」(東京都墨田区、36戸)の住民が、区内で住民集会を開き、マンションを建設した木村建設(熊本県八代市、破産)に対し、債権者として届け出ることを決めた。グランドステージ東向島は耐震強度が基準の31%しかない。

住民代表の田中拓氏は届け出の理由について「金銭的な期待ではなく、いいかげんな物件を建てた責任を問うため」と話した。住民らは3月中旬までに全世帯分の債権届を取りまとめ、同建設の破産管財人に提出する。

「木村建設に債権届け出へ 偽装物件住民が方針確認」共同通信2006年2月26日
2月28日

都市再生機構、構造計算書紛失

独立行政法人「都市再生機構」(旧都市基盤整備公団)に対し、耐震強度偽装事件の表面化後、構造計算書の開示を求める住民の要請が84件寄せられたのに対し、34件だけにしか応じられていないことが分かった。

機構の内規では、計算書は永久保存を義務付けられている。しかし50件が紛失又は行方不明となっている。建物の安全性への信頼が揺らぐ中、計算書を紛失したマンションは資産価値が低下しかねず、機構のずさんな管理体制に批判が集まりそうだ。

同機構によると、姉歯秀次元建築士による計算書改竄が発覚した2005年11月以降、「偽造の有無を確認するため構造計算書を見せてほしい」という要請が、マンション管理組合等から相次いだ。

これを受けて保管倉庫などを探したところ、6件分の計算書紛失を確認。紛失した6件は、マンション計24棟の24冊の計算書である。また44件分は行方がわからず調査中という。原因について機構は「保管リストなどが作られておらず、どの計算書がどこに保管されているか把握できていない」と説明。また都内の倉庫が昨夏の集中豪雨で浸水、計算書約200冊が水にぬれて文字が判読できず、多くの建物の計算書が確認できない状態という。

機構は、「計算書が紛失すると資産価値の低下などを招きかねない」とし、紛失したマンション名や所在地などは「一切答えられない」と話す。紛失したマンション住民に対しては謝罪したという。

同機構を所管する国土交通省は、構造計算書の保管状況について実態調査に乗り出す方針を決めた。同省住宅局は「住民から問い合わせがあった分だけでも、多数の計算書が行方不明になっていることから、紛失した計算書はほかにもあると考えざるを得ない」とする。

ベルコリーヌ南大沢でも構造計算書紛失

機構を巡っては、ベルコリーヌ南大沢(東京都八王子市)で鉄筋不足など深刻な手抜き工事が発覚、20件を建て直す事態となっている。公団欠陥マンションは東急建設やピーエス三菱を含む企業体が施工した。同マンションの住民も、偽装事件表面化以前から計算書の提示を求めていたが、これまでに8件分の紛失が明らかになっている。

あまりに杜撰な管理である。本件は構造計算書偽造事件に比べても、誰に責任があるかを特定するのは容易である。都市機構のような公的存在にまで、無責任体制を許していい筈がない。厳正な処分が必要である。しかし機構は「紛失した時期が不明確で担当者がはっきりしないため、職員の処分などを行う予定はない」とする。

「欠陥住宅全国ネット」幹事長の吉岡和弘弁護士は「信じられない話だ。偽装問題が広がる中で、模範を示すべき公的機関がこの体たらくでは、住民の不安は高まるばかりだ」と話す。

「都市再生機構の欠陥マンション、構造計算書を「紛失」」読売新聞2004年11月22日
「都市再生機構で構造計算書の50件紛失・不明が判明」読売新聞2006年2月28日
「都市再生機構の構造計算書紛失、国交省が実態調査へ」読売新聞2006年2月28日
「都市再生機構の構造計算書紛失、6件で24棟分と判明」読売新聞2006年3月1日


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