現金とATMカード | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
「日本より進んでいるATM」 マレーシアのATMマシンの多くはMEPS(Malaysia Electronic Payment System)対応で、他銀行だろうと街のショッピングセンターだろうと、24時間いつでもキャッシュが引き出せるので日本よりはるかに便利である。 現在私が使っているMaybank のATMカードはスキミング(カード偽造)対策でチップが埋め込まれたものに進化した。将来はe-Debitとして公共料金支払、指定ショッピングセンターで買い物も出来る様になるらしい。そし引き出し限度額も現行の1日RM1,000からRM3,000に引き上げられた。更に使い勝手が良くなったATMカードであるが、私の場合さして生活が便利になる訳ではない。公共料金支払はインターネットバンキングで済むし、クレジットカードと小切手があるので現金を持ち歩く必要は無い。私が現金を持ち歩かなくなったのは別の理由からである。 「解ったもう良い、俺が悪いんだろ!」 マレーシアに赴任して間もないある日の事、会計監査を受けた際 Company Petty Cash(会社手持ち現金)が多すぎるとの指摘を受けた。経理担当が会社で定めていた上限を超えて現金を保有していたのである。社内に多額のキャッシュを置くことは安全上、防犯上好ましくない。即刻呼び出して叱り付けた。
叱り付けた手前、私自身の出金を減らさないと格好が付かなくなった。高速料金は
Touch'n Go カードに変更し、ガソリンはBP Esteen Card を作り月末払いとした。また出張旅費、接待費、その他の支払いは、可能な限り会社から小切手を振り出すように交渉した。私は意固地になって会社経費の現金立替を減らしていった。 「現金をばら撒いて良いですか?」 またある日の事、帰国の決まった首藤氏(仮称)が預金残金を「男の貯金」として日本に持ち帰るため、口座の解約及び全額引き出しを経理担当に頼んだ。困った経理担当はその仕事を首藤氏の直属部下である製造マネージャーのMr.Anwar(仮称)に頼んだ。
日本人給与はローカルに比べ高額であり、数か月分の給与となるとローカルスタッフの年収をゆうに超える。その様な大金を持ち歩く事は危険である為、彼等それを極端に嫌がる。ATMマシンや窓口で大金を引き出した者を追跡し強奪する犯罪が少なくないからだ。自分の給料をばら撒かれてはたまらないと思った首藤氏はMr.Anwarと一緒に銀行に行く事にした。 マレーシアに駐在する人は給料振込み用にSaving Account(普通預金口座)を開設し、ATMカードを発行してもらう。家族を帯同された方は夫婦連名のJoint Saving Accountを開設すれば、奥様用にATMカードがもう1枚発行してくれる。小切手を振り出す人は Current Account(当座預金口座)を併せて開設すれば良い。ただし最近は普通預金口座に当座預金口座を併せ持ったPremier Saving Accountがあり、振り出した小切手決済の際にSaving Accountから自動的に資金が移動される。という訳で我が家では Joint Premier Saving Account を持っている。 ある程度預金残高が貯まったらRM5,000単位で Fixed Dposit(定期預金口座)に資金を移動する。日本と違い1ヶ月物で3.2%、1年物で4.0%程度(2003年5月時点)の金利がつく。そして為替レート(これが曲者)を見計らって解約し、日本に送金すれば良い。1998年に施行された為替規制により、非居住者によるRM10,000以上の海外送金は中央銀行への届出が必要だが、銀行が全てやってくれるし通常は拒絶される事は無い。また最近は規制が緩和されRM50,000以下は届出が不要になった。 (2003年5月28日)
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