聖なる巡礼

2001年のハリラヤハジ休暇は33日(土)〜7日(水)の5日間である。ハリラヤハジは「聖地巡礼祭」とか「犠牲祭」と訳される。日本人駐在員はゴールデンウィーク程度にしか考えておらず、遊びに行く事で頭がいっぱいである。かくいう私もKLに遊びに行く。3月2日も終業時間となり「Have a nice Holiday」と言って帰るとき、46歳の総務マネージャーMr.Mahathir(仮名)と世間話をした。

  claytan Mahathirさんはメッカに行く予定あるのか?」
  Mahathir 「はい2年後です。」
  claytan 「なんで?」
  Mahathir 「政府割当てがあり、登録後最低2年は待たなくてはならないんです。」
  claytan 「一人で行くの? 何日間くらい行ってるの?」
  Mahathir 「家内と二人で40日間行ってきます。」
  claytan 「えーっ そんなに行っちゃうのぉー !!!

ハジとはムスリム五行のひとつで、メッカ巡礼の事である。この時期メッカのアカバ宮殿をぐるぐる廻るムスリムの姿がCNNなどで報道され、その大群衆に圧倒される。10億人いると言われるムスリムが殺到すれば、川崎大師の初詣どころではない。サウジアラビア政府は国ごとに割り当てを決め巡礼者総数を約200万人に制限している。マレーシアの割り当てが何人だか私は知らないが、最低でも2年間は待たなくてはならないとは・・・・。

巡礼は預言者ムハンマドの別れの礼拝を忠実に追体験するもので、アカバ宮殿からアラファト山までの5日間の行程である。なぜ40日間も休むかというと、1ヶ月前に行って断食で身を清めるとも、もうひとつの聖地メディナを訪れるからとも言われる。巡礼に行けないムスリムも家庭で牛や山羊等の家畜を生贄として屠り、その肉を親族友人と分け合うらしい。街に野良(?)山羊がうろうろするのもこの時期である。

基本的に非ムスリムには関係ないが、ハジが終わった翌週あたりから巡礼者は故郷に錦を飾る事になる。これから数週間、空港では巡礼者を出迎える家族が殺到する為、空港駐車場は満車となり周辺道路は違法駐車で大渋滞に陥る。帰国ピーク時には到着ロビー入場が大幅に規制される。それでも往来を気にせず感激の抱擁をするムスリムで大混雑する。そしてタクシー乗り場は長蛇の列となる。非ムスリムは不便を強いられるので、この時期のマレーシアへの出張や旅行は避けたほうが良いだろう。それより彼が1ヶ月以上休んだとき、給与計算は誰がやるんだろう・・・・?

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