しょうもな文

しょうもない雑文っす。どうしようもないっす。
でも今更第3回雑文祭(こちら参照)に捧げます。

■2002/01/24 (木) 103.それは夕立のように

 それはいつもいきなりやってくる。そういうものだと分かっていても、咄嗟のことについ慌ててしまうのだ。雨が降ってきた。冬の雨は冷たい。鞄の中から折り畳み傘を取り出して歩きながら差し、駅へと急ぐ。
 そんな道すがら、傘について考えた。

 小さい頃は神様がいて…じゃない、小さい頃は雨の日が楽しかった。学校帰りなどにいきなり降ろうものならシャワーのように思えて、当時家にシャワーがなかった私は、親に怒られることも構わず、ずぶ濡れて帰ったりしたものだった。
 思えば遠くへ来たもんだ…じゃない、思えば当時は傘を差したとしても、下半身がずぶ濡れになったものだった。たぶん、差し方が悪いというか、傘を真っ直ぐに差すだけの握力とか腕の力などが足りずに、つい肩に担いでしまっていたからであろう。

 信号待ちをしながらそんなことを考えていると、何か髪に触るものがある。咄嗟に身を引いて見ると、数人連れの女子高校生の一群が隣に来ていた。
 いつもなら何とはなしに嬉しくなる瞬間なのだが、彼女らのうちの一人が傘を肩に担いでおり、その斜めになった傘の先が私に触れたのだった。

 傘も差さずに原宿…じゃない、傘を担がなくなったのは、そう言えば何時の頃からだったろう。別に傘の正しい差し方などと学校で習った覚えはない。ないのに何時の頃からか、傘を前に倒したり肩に担いだりすると雨に当たりやすいことや、危険性が高いことなどについては、自然に覚えていた。最近、そのようなマナー以前の常識が常識ではなくなってきているようだ。自転車の無灯火運転然り、携帯に夢中になって人にぶつかること然り。常識も徐々になくなってきているようだ。

 女子高校生の一群と待っていた信号も青に変わり、交差点を渡って駅に入った。切符を買って改札口を過ぎ、ホームで少し待つと電車が来た。
 丁度降りた乗客のすぐ後に座ることができた。このまま終点まで眠っていられる。この頃は、眠っても、眠っても、まだ眠い。寝室の空気が乾燥しているので、眠りが浅いのかもしれない。電車が動き出し、うとうとしかかったとき、何か冷たいものを足先に感じて目が覚めた。

 冷たい雨に打たれて…じゃない、冷たいものの正体は、丁度足の上に浮いている傘から滴る滴なのだった。満員電車でなくとも、電車に乗ったときは柄を上にして石突を床に付けるのが常識ではないのか。目の前にいる若い女性は、石突を浮かせているのだ。

 ちょっと咳払いをして足をずらした。
 その途端、ごくごく小さな、ほとんど聞き取れない声が
 「すみません」
 と、頭上から降ってきた。
 目を上げると目の前の女性は顔を赤らめ、その、思わぬことに慌てた様子が何故か好ましく思われた。
 むやみやたらに怒っていてもいいことはないのかもしれない。それが彼女との出会いだった…なんてこともあるかもしれないし、そんなことはなかったのかもしれない。
 でも…。

 

 

 

 出会いはスローモーション…じゃない、出会いはいろいろあるけれど、

 そんなのも、ちょっとわるくない。


条件: 以下の縛りを消化した文章。

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