しょうもな文

しょうもない雑文っす。どうしようもないっす。
でも赤ドラおはなし雑文企画に参加したっす。これがその雑文っす。

■2001/09/17 (月) 92.むかしむかしのことじゃった

 むかしむかしのことじゃった。
 燦々と太陽の輝くエーゲ海に面したギリシャという国に、音楽の神様アポロンの息子でオルフェウスと言う琴の名手が、それはもうとびきり別嬪の嫁さんエウリディケと仲良う暮らしておったそうな。
 幸せいっぱいの新婚生活を送っておった、そんなある日のこと。
 散歩に出かけたエウリディケが、突然の事故でぽっくり死んでしまったんじゃ。
 生きていく希望も何も無くなったオルフェウス。
 楽しかった日々を思い起こすうちに、じゃが、オルフェウスは嫁さんを生き返らせるという大それた望みを思いついたのじゃ。
 真っ暗闇の死者の国の王は彼の大伯父ハデスじゃったから、オルフェウスはハデスに頼み込めば嫁さんを生き返らせてもらえるだろうと、死者の国へと行ったのじゃ。
 能力の限りを尽くしたその美しい琴の音色で、ハデスの老妻ペルセポネを懐柔し、死者の国にいる間は決して後ろを振り返ってはならないと言う条件付きながら、ハデスから、エウリディケを連れ戻す許可を貰ったのじゃった。
 迷路のような死者の国を地上への出口に向かって、オルフェウスは妻の手を握り言われたとおり後ろを振り返らずに、坂道をずんずんずんずんとのぼっていったんじゃ。
 いつの間にか妻の足音が聞こえなくなってきていたので、不安になったオルフェウスは、やがてうっすらと地上の光が見えてきた頃、もうよかろうと振り返ってしまったのじゃ。

 「ぶすっ。」

 つい振り返ったオルフェウスの目の前にいたのは、美しかった元とは似てもにつかぬ化け物になったエウリディケの姿…じゃなく、ハデスの妻ペルセポネじゃった。

 「見〜た〜なぁ〜〜っ。」
 「んっ、んわ〜っ、来るなあぁぁ〜っ。」

 なんとも言えぬ、恐ろしい姿に驚いたオルフェウスは、手を振りほどくと、一目散に地上めがけて逃げ出したのじゃ。

 「誰が逃がすか、このボケェ〜ッ、久しぶりの若い男〜っ。」
 「イヤだイヤだ、俺は悲劇のヒーローの筈なのに、こんな吉本みたいなオチだけはいやだ〜。」
 「好っきやでぇ〜、オルフェウス〜。」
 「嫌いじゃ、オマエなんて〜。」




 それから長い年月が経ったのじゃった…。

 迂闊にも大伯父から老妻を押しつけられたオルフェウスは、そのショックで、あの後すぐに豆腐の角に頭をぶつけてくたばりおった。
 感動的な調べを奏でていた彼の琴は、彼の形見にと、オルフェウスの父アポロンが天界に持ち帰って星にしたのじゃった。
 星座になった彼の琴は、今でもこと座として輝いておるのじゃ、めでたしめでたし。
 ん? オチが無いじゃと。
 別にオチは無ければ無くてもいいんじゃが、しょうがないのお。

 今となっては、むかしむかしのこと座った。


 文頭を繋げると、「武蔵埼玉の名物みんな大好き草加煎餅」


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