しょうもな文

しょうもない雑文っす。どうしようもないっす。
でもおーたさんの勝手に雑文祭に参加したっす。これがその雑文っす。

■2001/08/28 (火) 88.台風

 騒ぎがはじまったのは、雨雲が低くたれこめた真冬の土曜日の午後だった。

 君は今までずっと憧れてきた女性との初デート中だ。天気が悪くなってきたものの、ここまでは上手くいっている。遊園地でいい雰囲気にもなった。食事にも誘い、感じの良いレストランで彼女も喜んでいる。払いを済ませて外に出ると、これまた丁度良く雨が降り出していた。
 ここでバッチリ決めなくてはいけない。この時に備えて「実戦に役立つ女のクドき方」というハウツー本も暗記するくらい読み込んでいる。
 ちょっと勇気を出して
「雨が降ってきたね。ちょっと雨宿りしよう」
と言えばいいのだ。
 傘を差しだして、その一言を言おうとしたそのとき、まるで台風のような突風が吹き、店の前の彼女のスカートが翻り、足首の細さからはちょっと想像できないくらい肉付きの良い、そそるような太股が露わになった。
 その所為か、はたまた君が本来持っている性癖の為か、しかし出てきた言葉はと言うと、その本には決して書いてはいないだろう、これまでの経緯を台無しにしてしまう次の一言だった。
「ね、君の足に触らせてくれないか」

 バチン

 謝れど謝れど、彼女は怒ったままだ。変態、変質者、ストーカー、あらん限りの罵声が、彼女の整った形の唇から飛び出す。罵られ続けるうちに、君は妙な快感を覚える。
 彼女はきびすを返して去っていった。

 その晩、君は生まれて初めてビデオや本のお世話にならずに、その記憶だけで自己処理をした。
 本当の意味でセルフ・プロデュースができたのかもしれない。

 そう、人生は割りきれるものばかりじゃない。


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