しょうもな文

しょうもない雑文っす。どうしようもないっす。

■2001/06/01 (金) 76.省略の仕方

 どこの言葉にも長い単語というのはあるものだ。よく言われるものでは英語にSupercalifragilisticexpiaridociousと言うものがあり、この単語は「メリーポピンズ」((c)ディズニー)の中で使われて以来、ついにはBOφWYの曲名にも使用され、ある一定年齢以上の方の恐らく半数近くは耳にしたことがあろうかと思う。
 勿論学術用語の分野では、タンパク質だのウイルスだののある種の正式名が、やたら長いと言う話は、どこかの本かサイトで見かけたことがある。しかし本来の英語の造語法の場合、長い単語を作るより複数の単語の組み合わせ、いわゆる熟語になることの方が多いのであって、前述の単語なら、Super Califragi Listic Expiari Dociousとでもなるのが普通であろう。ともあれ、その様な長い単語・熟語の場合、往々にして使用される方法が略語である。

 さて、略語と言えば学術用語や専門用語の様に厳密な使用法を求められるが故に長くなりがちな単語・熟語を省略するのによく用いられる。一般名詞にまで語源となった単語を羅列して長い一つの単語を作ると言った荒技をよく用いる言語と言えば、日本語と独逸語が両巨頭なのではないかと思われるが、この様な言語における略語は、ともすれば正式名称より頻繁に使用されるのではなかろうか。丁度旧通商産業省が一般には通産省と呼ばれていた様に。

 例えば「東京特許許可局」と言うのが早口言葉の中にあるが、この様に地名や役目等を織り込んで新しい単語を容易に作れるのがこの両言語の特徴である。英語なら「東京 特許 許可 局(Tokyo Patent Permission Bureau)」となろう。この場合はTPPBと略すことが出来るが省略しないでも不便はそれほどないかもしれない。しかし独逸語ならおそらくTokyopatenterlaubnisbüro ? になろうし(この部分ネットスケープではuウムラウトの表示が?になっているがご容赦願いたい)、これではTPEBとでも略さなければ日常使用することも困難にならないか。
 一方日本語なら東特許局とかなんとか略すとこが出来る。おそらくよく似た漢語造語を使用している韓国語でも同様であろうし、本家中国語もそうだと思う。

 しかし、英語や独逸語における略語を参考にした場合、日本語においての省略法はもう一つ考えられると思う。
 本家中国語ならば1漢字1音節であるので、上記例の場合ならばアルファベット表記と同様4音節で表現できるが、日本語では1漢字が2音節に相当する例がほとんどであり、同じ内容を表現するのに「とうとくきょきょく」と7音節必要になるのであるから、英語の場合が意味と完全に切り離した「頭文字」による表記であるように、日本語においても英語の様な表音文字に対応した文字は音素記号と音節単位の違いこそあれ「かな」と言う立派なものがあるのだから、それによる省略法もあるのではないか。上記の例では「とききき」と言うのである。これなら4音節になり英語や中国語の省略法に匹敵することが出来る。

 この調子で長い単語を省略してみよう。
 人名では小泉純一郎が「こじ」。ちょっとイメージが悪い。
 田中真紀子が「たま」。猫みたいである。
 猪口邦子が「いく」。美人コメンテーターで想像してしまう。
 沢田研二が「さけ」。無茶苦茶飲みそうだ。
 篠原涼子が「しり」。そんなにいい形とも思えないが。
 安倍なつみが「あな」。…コメントできなくなってきた。

 やっぱり人名は良くない。もっと長い単語で試してみよう。
 日本語における最も長い単語と言えば、言わずとしれた寿限無である。
 寿限無寿限無五劫の摺り切れ海砂利水魚の水行末雲来末風来末喰う寝る所に住む所やぶらこうじのぶらこうじパイポパイポパイポのシューリンガンシューリンガンのグーリンダイグーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの長久命の長助
 を省略すると、
 「じじごかすすうふくねとすとやこぶこぱぱぱししぐぐぽぽちち」となる。訳が分からない。

 やっぱり落語に略語は似合わない。精々色物の切り絵くらいか。林家省略。それを言うなら林家正楽だろ。


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