しょうもな文

しょうもない雑文っす。どうしようもないっす。

■2001/04/16 (月) 69.大人は分かってくれない

 今年も新卒の社会人の装いが目を楽しませてくれる季節になった。濃いグレーのスーツ、タイトミニなど。昔に比べて日中のオフィス街で若い女性に出会う確率は高くなったように思われる昨今だが、不況による新卒採用見送りのあおりは主に女性が受けているという意見もあるので今後の展開については油断ができない。今のところ女性が男性よりも元気で幅を利かせているとはっきり認識できるのは、少なくとも周りを見渡す限りは、芸能界、特に歌の世界くらいである。

 その歌の世界で最近最も成功した女性たちと言えば、つんくプロデュースの「モーニング娘。」の面々であろう。しかし、最初の頃こそ計算された歌詞と古き良き楽曲に対するオマージュに溢れた曲で製作されていた彼女らの歌も、最近では意味のない言葉遊びや勢いのみの詞曲となっているように思っていた。特にミニモニの「じゃんけんぴょん」は、発売当初、歌詞に全く思想が感じられないため、つんくの安易な曲作りの姿勢に怒りさえ覚えたほどである。ところが、その後ミニモニのメンバーがぬいぐるみを着たプロモビデオを見るに及び、疑問は氷解した。これはお遊戯の歌と同じコンセプトなのだ。「アブラハムの息子」やマザーグースなどと同じ、単なる語呂によるおかしみを誘うものなのだ。つまりは子供向けの歌なのである。であれば、ナンセンスな歌詞にもレゾンデートルがあると言うものである。ぬいぐるみも、いかにも子どもだましの狙ったものに見える。

 しかし子供向けだからと言って、このような若い小さい女性が女性の可愛さを強調したビデオなどを見せては、それを見て育った少年がそのような偏った視線でしか女性を捉えられなくなり、可愛さ以外の道をつき進む女性に対し否定的になったりはしないだろうか。
 と言うのも、女性の社会への進出を阻むものの一つに伝統的なジェンダー教育があると言われているからだ。教育と言ってもそう難しく考えずともよく、例を挙げればTVの子供向け番組などにも見ることができる。少女がままごとをしているシーンや、少年が野球をするシーンを繰り返し見せることで、実際の少年少女たちは、「そういうもの」という刷り込みを受けているのである。もしかしたらミニモニのビデオもこのような刷り込みに一役買っているのかもしれない。

 この「刷り込み」という視点で子供向けの番組というものを見たとき、意外に莫迦にはできないということが分かる。社会の要請やその時々の状況が的確に反映されているのである。戦隊シリーズを例にとって検証してみよう。
 第1作目のゴレンジャーでは、紅一点としてモモレンジャーことペギー松山が活躍していた。女性の社会進出が始まった頃で、どこの会社でも紅一点の女性が各課にいた、そんな時代である。視点を変えれば、チームの五分の一が女性であったとも言える。その後戦隊シリーズでは、一時期女性が見られなくなったりもしたが、80年代前半に入り復活。80年代半ばに至り、イエローとピンクの2人が女性になった。この頃は女性の社会進出が話題に上るようになった頃であり、戦隊のチームメンバーの五分の二が女性となっている。その後ホワイトが女性の色として登場するなど色の変化はあったものの、女性がメンバーの五分の一乃至五分の二という状況は変わらずに現在に到っている。今、ガオレンジャーを見ると、女性の数は1人、五分の一に戻ったものの、その代わり上司(?)として女性が加わっている。

 女性の社会進出を今よりも増やすためには、このような子供向け番組での密かな刷り込みを一層進める必要がある。それでこそ、快適なオフィス環境が図られるのだ。私たちも少額でも良いから資金援助なりをして運動を盛り上げねばならない。昔から言うではないか。
 ジェンダーは双葉よりカンパし。


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