しょうもな文

しょうもない雑文っす。どうしようもないっす。

■2001/03/08 (木) 64.激しい言葉

 激動の20世紀と呼ばれた世紀も過ぎ、世紀末なる言葉も聞かれなくなり、世の中「激しい」という表現を使いにくくなったかと思いきや、そうでもないらしい。

 「激」で始まる熟語そのものには、勿論古くからある単語も多い。ちょっと辞書を開いただけで、激越、激化、激減、激語、激昂、激賛、激臭、激暑、激症、激賞、激情、激職、激震、激戦、激湍、激痛、激怒、激闘、激突、激発、激変、激務、激流、激励、激烈、激浪、激論と並んでいる。しかしここ数年、妙な熟語が激増しているように思う。
 激美味、激写、激走、激打、激甘、激勝、激評、激撮、激軽、激選、激似、激悪、激唇などなど、誌面やネット上に踊る新語の数々だが、中には激唇のように一見してその意味が分からないものもある。ちなみにAVのタイトルである。なんだ、そういう意味か。
 激ラブ、激ヤバ、激レア、激モロなどは、既に熟語ですらない。あとは激裏。ただでさえ裏ってことは違法なのに、これはいくらなんでも激マズだろう。

 また、よく電車の吊り広告などで見かけるのは「激白」だ。女性週刊誌の見出しに多い。最初に目にしたときは激しく白いことだと解釈し、そんなに色白なのか、故鈴木その子のコトか?と思った。ここで言う「白」は、告白、関白、自白などで使われる「もうす」と言う意味の「白」だ。
 このように漢字には形容詞の場合と動詞の場合で異なる意味を持つものがしばしばあるので、これが熟語になったりすると、その意味が不明確になるということも、ぱぱなし、いや、ままある。熟語が新語だと尚更である。巷でよく目にする熟語の中にも以下のように分かりにくいものがある。
 激安…激しく安心できるのか?
 激生…波瀾万丈の一生を送ること?
 激うま…足の速く気性の荒い競走馬かも?

 煽り文句にするには、その物事の程度が著しいということを強調する「激」という文字は使いやすいのだろう。しかし、現状では少々インフレぎみである。何にでも「超(チョー)」を付ける一部の女子の人と同じで慣用句になってしまう。よく激辛ラーメンなどという幟を目にするが、そのうち超激辛、極超激辛、最極超激辛などとなるのではないか。基準が混乱し、とても辛い食べ物を期待して食べた人が落胆する危険性がある。これは問題である。言語破壊だ。文化の混乱だ。責任者出てこい!

 激しい言葉、それは世紀末の一過性現象だと思っていたのだが意外と侮れない存在であり、とてつもなく危険なものであることが分かった。早急なる対応を当局に求めるものである。
 以上、激憤であった。あっ


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