しょうもな文

しょうもない雑文っす。どうしようもないっす。

 
■2000/10/20 (金) 23.秋の夕日に−「秋の夜長に」への前奏曲−

 先日仙台に行つたときのことである。
 自分の車で出張したのであるが、午前中で仕事は終わり、折角ここまで来たのであるからと、足を延ばして鳴子温泉に向かつた。照る山紅葉と言ふ奴で、途中から辺りの山々は見事な紅葉で昂揚する気分。どうやら良い景色と言ふものは人の心をうきうきさせる効用を持つてゐるやうだ。きつと親でも連れてきたら孝養を尽くすことにならう。また好きな女子の人と来ても、彼女が自分を恋うやうになるやもしれぬ。公用のついでにしては良いものを見た。諄(くど)いのでかう言ふ話題は休題。
 濃いも薄いも数ある中にひときわ目立つ真つ赤に色づいたナナカマドが美しい。勿論松をいろどる楓や蔦は言うまでもない。
 さて、そんな山のふもとの裾模様を見つつ到着した温泉地には古ぼけた銭湯のような施設があつた。ただ、一般の銭湯と違つて本物の温泉を引いてゐる。それが数百円で満喫できると言ふのは、なかなかに良いものである。番台など、町の銭湯と変はらぬ処もなお良い。脱衣所に入り早速着衣を脱ぎ銭湯だけに戦闘準備万端、一行の先頭を切つて入湯した。これも諄いので、休題。
 熱い湯が体全体に染み渡るほどゆつたりと湯に浸かつた。然しあんまりゆつくりもしてはゐられない。十分に暖まつた頃合いに湯から出て、外の景色を見つつ車に向かつた。風呂上がりに谷間を渡る風が心地よく、ふと目を上げると傾いた日が山の端にかかつてゐる。秋は夕暮れとはよく言つたものである。渓の流に散り浮く紅葉も美しい。然しこのままのんびりしてゐては日が暮れる。今夜のうちに帰り着かなくなるので急いで車に乗り込んだ。夏から始めたRPGが終盤に差し掛かつてゐる。仕事をしてゐると一日に少しづつしか時間が割けない為、できれば睡眠時間を確保しつつゲームもしたい。それには早く帰ることである。
 ふと谷間を眺めると、何やら動く影がある。波にゆられて離れて寄つて流れてゐる赤や黄色の色様々にきらめく紅葉のその合間に、狐のやうだが遠目で良く見えないものが。同乗者で目の良い者に何匹いるかを尋ねるが、2、3匹であらうとのこと。川の浅瀬を渡らうとしてゐると言ふ。ははあ、
 水の上にもおる2匹と言ふ奴か。


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