12月14日(金)
〜制空権なきバーベキュー〜●1、首都機能めぐり
昨日は早朝不意にタイマーラジオに起こされたため寝坊したが、この日もまた午前9時ごろの起床になった。豪州は今夏ゆえ日照時間も長く、気がつくと深夜で夜更かしをしやすいことも原因であろう。
この日はまず、国会議事堂周辺にある「首都らしい建物」を見て行くことにした。
国会北西部のヤラルムラ地区(Yarralumla)は各国の大使館が集まる「外交官の街」で、新首都建設に際して各国とも建物を新造したため、それぞれのお国振りがよく現れている。一番目立つものの一つが英国高等弁務官事務所の裏にある中国大使館で、他国公館よりも広い敷地に宮殿のような事務所、公邸、館員宿舎、プールが配置され、「いかにも中国」という感じもするし少し趣味が悪い気もする(正門前では「法輪功」のメンバーによるハンガーストライキが行われていた)。
日本大使館の近くにあるパプアニューギニア高等弁務官事務所も特徴ある建物で、写真にもあるようにイリアンジャヤの伝統的な建築を模した事務所が遠くからでも目立つ。
![]()
▲パプアニューギニア高等弁務官事務所(左)と中国大使館(右)(ヤラルムラ)
一方、我らが日本大使館はというと、アデレード通りに面した敷地に比較的ひっそりと立てられており、外観は東京の外務省庁舎を縮小したようなデザインで、あまり「日本らしさ」といったものは感じられない。観光ガイドによれば、併設されている大使公邸には日本庭園もあるようだが、外からはあまりよく見えなかった。
![]()
▲日本大使館(左)とインド高等弁務官事務所(右)(ヤラルムラ)
次に、国会議事堂北西部のパーケス地区(Parkes)には旧議事堂、科学技術館、国立美術館や官庁街があり、オーストラリア連邦政府の機能が集中している。いずれの建物も新しくモダンで(無論、世の高い建物も少ない)、しかも平日昼でも人通りはまばらであり、道路脇の芝生や緑には野生の鳥がのどかに歌を謳っているようなところだ。ちなみに、オーストラリアの最高司法機関は「高等裁判所」(High Court)と呼ばれているが、これはつい最近まで、同国の上告審(終審裁判所)はイギリス最高裁即ち貴族院常任上訴担当委員会であり、キャンベラの連邦高等裁判所は「最高裁」ではなかったからである。
![]()
高等裁判所(左)と外交通商部(外務省)(右)(パーケス)
なお、写真には最近新築された外交通商部(外務貿易省、Department of Foreign Affairs and Trade, DFAT)の庁舎が映っているが、その他の中央官庁は我が国とは異なり政令で設置可能なので(日本では法律が必要)、政権毎に国家行政組織の改編があり、必ずしも一定していない。
●2、制空権なきバーベキュー
さて、一通り首都の官庁街を見た後、昼食にオージー式バーベキューをすべく、地元スーパーで肉類を購入しティドビンビラ自然保護区のバーベキュースペースに向かった。
キャンベラには、ティドンビンビラに限らず多くの公園に電気式公共バーベキュープレートがあるが(コイン式で1時間点火される)、ティドンビンビラ地区やその北のコッターダム付近のバーベキュースペースは下の写真のような普通の木材燃焼式。しかも、その燃料となる材木は公園側が用意してくれており、近くにある古材木置き場から必要な分だけ持ち出して燃やしてよいことになっている(無論、着火剤は自分で用意する必要があるが)。食品も安いので、バーベキュー好きにはたまらない環境と言えよう。白米と美味しいステーキソースが無いのが残念だったが、心行くまで狂牛病の心配の無い(しかし、貧しい豪州の土に生えている野草を食べているが故にやや旨みに欠ける)オージービーフを堪能した。
![]()
▲「ワレ、『バアベキユウ』ヲシツツアリ」
ただ、BBQ天国のキャンベラだが、一つだけやっかいな問題がある。ティドビンビラは野生生物の宝庫であり、それはカンガルーと共に野生のハエもたくさん棲息していることを意味する。そして、我々人間様が食すべきジューシーな牛肉や生野菜、飲み水に対して容赦の無い特攻攻撃をかけてくるのである。その数は半端ではなく、人間様としては、常に皿の上で手を左右に振って予防線を張り、コップには紙をかぶせて中身を防護しなければならない。殺虫剤を蒔く訳にもいかず、結局最後まで制空権を確保できなかったが、これで東京が如何に清潔な街か(別の言い方をすると、如何に野生生物を徹底的に排除した街か)ということを実感させられたのだった。
●3、コアラ探索作戦その2
食後、運動を兼ねて、1日目と同じ「コアラの森」及び「カンガルーの囲い」で野生動物の探索を開始。先日は森でコアラ2匹を発見しただけでクカバラ(笑いカワセミ)や野生ワラビーは見つからなかったので、今回は前回とは別ルートを歩いてみた。
コアラの森は相変わらずユーカリの香り漂う空間で、小鳥の鳴き声やコカトゥーのギャーギャー声は度々耳にする。時々流れる風がユーカリの葉を動かし、自然が奏でる音しか聞こえない静かな森だ。ただ、前回は夕方で動物達の活動時間だったが、今回は昼食後のことでまた日も高く、結果はコアラ発見0匹で野生のワラビーの群を遠くに見ただけに終わった。ここは動物園ではないので野生のカンガルーやワラビーは群で行動しており、人や車を見ると一定程度の距離を保って近づいてこない。それはそれで自然の生態を尊重しているのでよいのだが、久しぶりにカンガルーを見るとどうしても近くによって餌付けしたくなった・・・。
![]()
▲ティドビンビラの深い森(左)と野生カンガルー(右)
●4、夜のキングストン商店街
ティドビンビラを引き払い、夜はホテルから歩いて3分のキングストン商店街(Kingston Shops)で夕食をとることにした。
キングストン商店街は、規模こそマヌカ商店街より一回り小さいものの、夜も開いているバーや飲食店も多く、しかもこちらも8年前よりお洒落になっている(先日、ナンを注文して失敗した「タンドール」もここにある)。この時は特に「何料理を食べよう」といった目的も無く、ぶらりとポルトガル料理・グリルの店「ヴァスコ」(Vasco's)に入ってチキン・グリルを注文した。
▲キングストン商店街の様子(昼間)
夜のキングストンは店によっては昼よりも活気があり、歩道にテーブルを出してサービスしているバーも多く、ジャズやピアノの生演奏を行っている店もある。どのレストランも繁盛していて、それこそ女性と2人で来るにはムード満点だが、あいにく今回はそんな相手もおらず、雰囲気だけ楽しんで帰宅した。
●ヴァスコ(Vasco's)(ポルトガル料理)
Kennedy Street, Kingston ACT 2604
12月13日へ 目次に戻る 滞在記目次に戻る 12月15日へ
製作著作:健論会・中島 健 無断転載禁止
©KENRONKAI/Takeshi
Nakajima 2002 All Rights Reserved.