第二アルコールの酸化のところで、
という反応が出てきましたね。というケトン基が付いているこのような物質を「ケトン」と言います。
低分子の場合は水に可溶で、中性。反応性はほとんど無いのが特徴です。
具体的なケトンの例を示してみましょう。
こんな感じでしょうか?
「あれ?参考書と物質の名前が違う・・・」と思った人も居ると思います。
有機は統一した名前が無い(慣用名が多い)ので、名前は複数あります。
例えば「アセトン」は、「アセチルケトン」や「ジアセチルケトン」、「プロパノン」とも言います。
メチル基「−CH3」を「アセチル」と言います。ケトン基に二個アセチルが付いていて、「ジ」は「二個」の意味なので、「二個アセチルの付いたケトン」という事で、「ジ・アセチル・ケトン」です。「ジ」は書かなくても分かるから、略して「アセチルケトン」、これをさらに省略して「アセトン」なんですね。
でも、「炭素が3つある」から「プロパ」です。ケトンを示す語尾「-one」をつけると「プロパ・ノン」です。だから「プロパノン」でも同じです。
「2-ブタノン」は、「エチルメチルケトン」とも言います。
炭素が4つで「ブタ」、それに語尾「-one」を付けて、「ブタノン」でも良いです。「2-」は、「二番炭素にケトン基がある」という意味なんです。ば、この場合は二番炭素にしか、ケトン基は付きようがないですけれどね。
しかし、ケトン基に「メチル:CH3−」と「エチル:CH3CH2−」が付いているので、エチルメチルケトンとも言います。
これに関しては、OKでしょうか?
なお、いずれのケトンも、第二アルコールの酸化で生成する事ができます。
例えば、アセトンの場合でしたら、
と、2-プロパノールを酸化してやればできるんですね。
ただ、アセトンにはもう一つ重要な製法があります。
という反応です。
この反応は、空気を遮断した状態での熱分解です。
このような分解反応を「乾留(かんりゅう)」と言います。
また補足ですが、「カルボキシル基」と「ケトン基」をまとめて、「カルボニル基」と言います。
さてすごい量でしたが、これで炭化水素の「官能基」に各論は終わりです。
これだけ分かれば、炭化水素に関する問題は大体解けるのですが、まだいくつか知識が足りません。以下、不足分を埋めていきましょう。
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