共鳴理論

化学の基本の一つ


理科のお話5を先に読んで下さい。


”Everybody’s business is nobody’s business.”

英語の参考書に時々見る諺ですが、訳せますか? 参考書には「連帯責任は無責任」とありました。

「連帯責任」と言えば聞こえが良いけど、結局「誰も責任を採らない」って事ですね。

「赤信号、皆で渡れば、怖くない」

ちょっと古い言葉ですが、一世風靡した言葉です。

漫才から生まれた言葉ですが、真理を突いているから、世の中に受け入れられたんですね。

良いか悪いかは別にして、「一人では怖くてできないけれど、皆でなら・・・・」という人間心理があるのは事実ですね。(少なくとも日本では)

でもこの「心理」は、ある意味で「真理」でもあるんです。

「一人では怖くてできないけれど、皆でなら安心」

「安心」って、「落ち着く」「望ましい」事ですね。

科学的に言えば「より安定する」訳です。

「安定」とは「エネルギーが低い」訳です。

つまり「一人で責任を持つよりも、大勢に分散して共有する方が、エネルギーが低く安定する」訳です。

サイダーを一晩置いておいたところで、上が薄く、下が濃くはならないですね。

溶けている砂糖に、質量があるにも関わらずですよ。

砂糖にも質量が有るから、底に沈んだ方がエネルギーは低くなります。(正確には、「位置エネルギー」が低くなります)

つまり、「沈んで低くなるエネルギー」より、「底に集まって、濃さに偏りができる事によるエネルギーの上昇」が大きい訳です。

まとめましょう。なぜサイダーの濃さが、上下で一緒なのかといえば、「砂糖が平等に分散する(散らばる)と、エネルギーが低く安定するから」です。 (「理科のお話」で書きました、「エントロピー増大の法則」です) 確かに位置エネルギーの点から考えると、損なのですが、分散によるエネルギーの方が大きいんですね。

これが分かれば「金属結合」が理解出来るはずです。

金属原子が集まって、金属結合をする事から分かるとおり、金属原子は単独で存在するよりも、金属結晶として存在した方が、安定なのです。

なぜでしょう?

そうです。金属原子が一人で自由電子を所有するより、全員で自由電子を出し合って共有している方が、一金属原子あたりの自由電子数が変わる訳ではないのにエネルギーが低くなるのです。

この考え方の根本には、共鳴理論という考え方があります。

詳しくは、興味がある人だけ大学で学んで欲しいのです。ここでは、「皆で共有する事は、エネルギーを低下させ、安定させる」事を知っておいて下さい。

この事を踏まえて、次に進みましょう。

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