分かりやすくするために、分子中に水素原子を一個だけ含む中性分子(電荷を帯びていない。つまりイオンではない)について考えてみよう。簡単のためにこの分子を H-R と書く事にしますね。
(Rは、問題の水素以外の分子全体を指す)
この H-R の状態では、分子全体の酸化数は 0 ですね。で、Hの酸化数は +1 ですね。ですから R の部分の酸化数は -1 になる訳です。
この分子が反応によって、水素原子一個を失う化学反応を考えてみましょう。(水素イオンではない事に注意!)
Rは電荷を持っていない分子ですから、酸化数は 0 ですね。
ということは酸化数が -1 から 0 に +1 だけ増加した訳ですね。
ですから分子は水素を失う事で、酸化された訳です。
一般に水素を失う事は酸化になる訳です。
このような種類の酸化を「脱水素酸化」と言います。
第一アルコールからアルデヒドを生じる反応などが、この種の反応の典型例でしょう。
具体的に例を挙げますと、エタノール(エチルアルコール)から水素が奪われて、アセトアルデヒドを生じる反応を書いてみました。
(赤丸を付けた水素が取られた訳です)
この場合、「エタノールは酸化されてアセトアルデヒドになった」と言える訳です。
また逆に、分子に水素を付加する事は、「還元」になります。
分子Rの部分の酸化数は、0 から -1 に減っているでしょ?