水に電気エネルギーを加えると、電気分解が起きて、酸素と 水素が得られますね?
じゃぁ逆に、酸素と水素を混ぜて水を作れば、エネルギーが得られるのではないか?という発想から生まれたのが、燃料電池です。
でも、単純に水素と酸素を混ぜて火を付けるだけでは、爆発するだけで、電気エネルギーは取り出せませんね?
そこで電気エネルギーを取り出すための仕組が必要になります。
まず、反応式自身を、二段階に分割します。
第一段階:2H2 + O2 → 4H+ + 2O2-
第二段階:4H+ + 2O2- → 2H2O
この反応の内、第一段階の方からエネルギーを取り出します。
この第一段階も、実は二系統に分かれています。
水素系:2H2→ 4H+ + 4e-
酸素系:O2 + 4e- → 2O2-
この二つの反応を分けて(別々な場所で)反応させるのがポイントになります。
こうしますと、水素タンク側から電子が発生して、酸素タンク側で吸収されますから、酸素タンク側が正極、水素タンク側が陰極となる電池が出来ますね?
ところが、このままではこの電池は、うまく働かないんですよ。
だって、仮にこの電池が働いたとしても、放電に伴って水素タンクのH+が溜まってくるし、酸素タンクには、O2-が溜まってきてしまいますから。(だって、それに伴って逆反応も起きるはずだし、電気的中性の法則を満たさないから)
そこで生じたH+とO2-を消費するシステム(第二段目の反応の事)が必要になります。
対策として、二つのタンクを電解質を入れたタンクで繋ぎます。
三つのタンクは電極で仕切られていますが、この電極はイオンが通過出来る構造であるとしましょう。
電解質の種類にはいくつかのタイプがありますが、ここでは水酸化カリウムを使う方法で説明しましょう。
この場合、水素タンクで生じたH+は、電解質タンクから供給されるOH-と反応して、水に変わります。
水素タンク:H2 + OH- → H2O + 2e-
こうすれば水素イオンが溜まる心配はありませんね。
一方酸素タンク側では、水との反応が起きて、
酸素タンク:O2 + 2H2O + 4e-→ 4OH-
生じるのはOH-で、これは電解質タンクに移動します。
結局電解質タンクにとっては、OH-が酸素タンクから流れ込み、水素タンクに流れ込みます。だから、電解質の役目はOH-を運搬する事なんです。
以上の反応をまとめると、こんな感じ(右の図)です。
以上が通称「アルカリ型燃料電池」の反応です。
が、別に生じたH+とO2-を消費するシステムは、他の方法でもよい(つまり、電解質の部分を換えてもいい)ので、燃料電池にもバリエーションがあります。
この燃料電池は、反応にともなって生じる物質が水なので、公害の原因になる物質を生じません。また反応効率も良いという特徴があります。
そのため、スペースシャトルをはじめとして、宇宙船の電源(兼、水の生成装置)として利用されています。