マレーシアの教育制度
 

「通学渋滞」

マレーシアの学校は1月下旬 に9日間(Term brake)、5月下旬 に11日間(Mid-year holiday )、9月上旬 に12日間(Term brake )、そして11月中旬から58日間 (Year end holiday)合計年4回のスクールホリデーがある。9月1日より約2週間にわたるTerm brakeが始まった。

おかげで束の間ではあるが快適な通勤を味わっている。なぜなら私の通勤経路グリーンレーン沿いにはペナンフリースクールや中華国民女学校等があり、通学時間とかち合い送迎車両で毎朝渋滞に遭う。そのために遅刻する事がしばしばである。マレーシアの学校は教師と校舎の不足により、午前と午後の2部制になっている。運悪く通学時間に出くわすと、両親による送迎車両の違法駐車で無法地帯と化し大渋滞となる。マレーシアの渋滞原因のひとつである。


「訳の解らぬ学歴」

さてこのフリースクールであるがマレーシアの教育制度を語る上で非常に重要である。近代教育が導入されたのは言わずと知れた英国植民地時代であり、1816年に設立されたペナンフリースクールがその魁であった。英国式教育制度(6322制)は小学校、中学校までは日本の同じだが、高校以降が違い結果として修学年数は1年長くなる。

採用面接をすると「Form-6」とか「SPM」とか「Diploma」とか訳のわからない言葉が飛び交う。要は下図にあるような呼称が存在するわけである。特徴的なのは高学卒業後に、大学予科に行かないと大学入試資格が得られないことである。ここで大学に行ける可能性の低い学生は「Deploma」と称する23年制の職業訓練的要素が強い専門学校へ行く訳である。ポリテクニックとかマラ工科大学とかいうと「おっ!こいつは東工大出身の秀才か?」と思ったら大間違えで、「××専門学校」なのである。当社の男性オペレータも「俺はDiplomaなのに給料が安い」と不満たらたらである。だったらサボってばかりいないでもっと仕事しろよ。

  学年  進学率  資格 認定試験 
小学校 6年  97%     UPSR
中学校 3年  83%   Form 13  PMR
高等学校  2年  55%   Form 45  SPM
大学予科(専門学校) 2年  22%   Form 6 (Diploma)  STPM
大学 4年  4%   Degree  



「人種差別政策 ブミプトラ制度」

さて優秀な学生は晴れて大学受験と相成るが、ご存知「ブミプトラ政策」が華人学生の前に立ちはだかる。日本に比べると大学は整備されておらず、その狭き門の半分以上はブミプトラに割り当てられているという。ご存知の様に教育熱心な両親を持つ華人の学力は、マレーをはるかに上回っている。にもかかわらずよっぽど優秀でない限り華人は大学進学が出来ないわけである。優秀な華人を押しのけて、程度の低いマレーが進学し、ルックイースト政策で日本に留学する。

それでは進学できない華人はどうするかというと、マレーシアの大学をはなからあてにせず、私学に行く。そこは日本同様633制でマレーシアの大学入学資格は無いが、香港、シンガポール、オーストラリアの大学へ留学する。だから華人には海外大学出身者が多い。

この様にマレーの地位向上を目指した教育政策にもかかわらず、華人との学力の差は一向に縮まらない。ある日、工科大学に公演に来たマハティール首相、あまりの華人との成績差に愕然とし公演の最中に「政治の議論に熱中してないで、本業である学問になぜ打ちこまないのか?こんな事では民族融和がいつまでたっても実現できないじゃないか。」と絶句し涙した。

(1999年7月20日)

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