リサイクルキャンペーンは成功するか?
 

最近スンガイペタニの街角で、分別回収ボックスを見かけるようになった。「The Star」によるとケダ州政府は将来を見据え、リサイクルキャンペーンを実施していると言う。「なんらアクションを起こさずにいれれば、1020年先は廃棄場所がなくなり、身近にゴミが山積みされるであろう。そして市民の健康に悪影響を及ぼすであろう。」 そこで150セットの分別回収ボックスを製作。回収場所には啓蒙のためマレー語、中国語、タミール語のポスターも設置する。手始めにランカウイに50セット、スンガイペタニに50セットの設置を進めている。まことに結構な話である。公害問題というかつて先進国が犯した過ちを経験する必要は無いのである。

しかし私にとってこの光景は実に不可解に映った。分別はビン(Botle)、紙(Paper)、缶(Can)の3種類であり、新聞紙、週刊誌とかアルミ缶、スチール缶の様に、素材別分別はしないようだ。「あのような中途半端に分別したものをどこへもって行くのだろう。」 ペナンでさえ分別廃棄している家庭があるだろうか。MPPP(ペナン市役所)は分別回収などせず、まとめてコスタルロードの埋立地や、半島側処分場に持って行く。せいぜいインド人がゴミをあさってビンや缶を持っていく程度である。ましてやケダ州でリサイクルシステムが出来ているとはとても思えない。

実はこのキャンペーンには裏がある。分別回収ボックスは、街角で見かける「家庭用ゴミ箱」とほとんど同じである。このゴミ箱を製造するプラスチック成型会社はケダ州にあり、某政府高官のご子息が経営する。主力製品であるゴミ箱がほとんどの家庭に行き渡り、業績が低迷し「売上が上がらなくて困ったよパパ。」と言ったとか言わないとか。そして政府高官のお膝元ケダ州でリサイクルキャンペーンが始まり、大量の分別回収ボックスが発注された。更に州政府はリサイクル資源を持ちこんだ市民に、報酬を支払う事でキャンペーンを後押ししている。なんとも不純な動機である。

リサイクルシステムは経済合理性の上で成り立つのである。市民〜回収業者〜生産者〜消費者すべての利害が一致しないとリサイクルの輪は切れる。アセアン諸国において、マレーシアは経済的に豊かな国民である。フィリピンのスモ-キーマウンテンのようにゴミあさりで生計を立てる人はいない。そんな仕事は失業してでもやらないだろう。プラウティクスの乞食は10セント程度のはした金は受け取らないのである。街では汚水を垂れ流すホッカ-センター、ゴミを路上に投げ捨てる市民。彼等は掃除はインドネシア人かミャンマー人にやることだと思っているだろう。

分別回収ボックスは単なるゴミ箱になっている。市民に環境保全意識が芽生えるのは当分先の事だろう。英語の家庭教師にこの話をすると「なにも考えずに先進国の真似をする。それがマレーシア政府の愚かな点かな。」と冷ややかであった。

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