交通検問

ペナンではよく交通検問をやっている。ただし飲酒運転の検問はいまだお目にかかったことは無い。止められるのは決まって無免許運転のオートバイ、もしくはローリー(トラック)の積荷チェックである。乗用車が止められることはほとんど無いし、まさか自分が停車を命じられるとは夢にも思っていなかった。独立記念日翌日の9月1日、午後9時過ぎの事である。オールドチャイナカフェから後帰宅途中、ペナン博物館前の検問で停車を命じられた。ギネススタウトを一杯飲んでいたが、シートベルトはしているし、保険もちゃんと更新している。四の五の言われる筋合いは無い(←お前ぇ飲酒運転じゃないか!)。私は窓を開け、露骨に不愉快な表情でPoliceを見上げた。
   
  Police 「ドライバーズライセンスを拝見。それと車から降りて。」
  Claytan 「何ですかぁ?」
  Police 「ここで働いてるのか?会社は何処だ?」
  Claytan 「会社はスンガイペタニ。何なんですかぁ?」
  Police 「助手席のレディーはチャイニーズか?」
  Claytan 「日本人だ、私のワイフだ。だから何なんですぅ?」
  Police 「うん。このナンバープレートは違反だ。」
  Claytan 「???」
  Police 「文字が欠けている。これだとスピーディングで確認できない。」
  Claytan 「アラマッ!知らなかった。たぶん誰かがリムーブよ。」
  Police 「ソリーな、違反切符を切る。RM300だ本部の交通課で支払ってくれ。」
  Claytan 「ちょっとウェイトな、明日すぐリペアよ。」
  Police 「駄目だ。ただしここで精算しても良いぞ。RM100でどうだ。」
  Claytan 「うーん、RM50でどうだ。」
  Police 「OK、車に乗ってくれ。」
   
ナンバープレートの文字が欠けている車など山ほどいる。私は彼らにとって「飛んで火にいる夏の虫」だったようだ。窓越しに私のひざからキャッシュを拾った(渡したのではない)Policeはサンキューと言って車から離れた。交通違反で袖の下を要求されたのは、携帯電話の一件を含めこれが2度目である。マレーシアで日常茶飯事のこの出来事に対し、「マレー人公務員は腐っている。けしからん!」と怒る人もいれば、「警察官の給料が安いんだから仕方ない、安く上がってよかったじゃん。」と呑気な事を言う人もいる。野放図な私は基本的に後者であるが、半分は「所詮後進国だな」と呆れている面がある。

マレーシアの法制度は英国をお手本にした立憲君主制で、非常に良く整備されている。しかしながら強制力、法執力の点ではお粗末な面が多い。例えば先進国並に厳しい環境規制を外資系企業に課していながら、ローカル企業は垂れ流しである。身近な例では7月に発動された「野焼き禁止令」、8月の「VCDの屋外販売禁止令」など誰も守っていないじゃないか。かく言う私は法律を守らない不良外国人である。

(2001年9月1日)

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