身近な存在「華人」について
 

「華人は仏教徒か?」

一般的にマレー人はイスラム教、インド人はヒンドゥ教、そして華人は仏教といわれる。しかし華人の宗教は儒教及び道教(Taoism)並びに、仏教(Buddhism)が入り混じったものと考えたほうが正しいだろう。実際は「祖先崇拝」こそが華人の信仰の根源にあり、宗教自体は第二義的な存在とも言える。祖国を離れ南洋に渡った彼ら、現地に同化せず、いつまでも中国人たらしめている理由はここにある。つまりご利益さえあれば何でも良いという、実に柔軟な(言いかえれば節操無い)民族である。かく言う日本人も正月は神道、お彼岸は仏教を信仰する同類である。

「同郷集団ごとの強い結束力」

マレーシアの華人の出身地域としては中国南部「広東省」と「福建省」である。ただしこれらは単に現在の行政地域単位に過ぎず、彼らにとってあまり大きな意味を持たない。これらの地域は方言集団レベルで更に「客家/はっか」「広東/かんとん」「福建/ほっけん」「潮州/ておちゅう」「海南/はいなん」の5地区に細分化される。異なる文化を有するバンと呼ばれるこの分類が、事実上彼等の出身地といえるだろう。

彼等はこの単位で硬い結束力を持った同郷集団を作ってきた。そして冠婚葬祭、教育、社会福祉などの相互扶助に努めた。つまり福建会館を組織し、海南語中華学校を運営し、広東共同墓地を作った。これらは移民として国家行政の埒外に置かれた華人のよりどころであった。更には排他的な卸売り組合を作り、すべての商業を独占し、他民族を完全に排除した。マハティール首相のマレージレンマに次のような一節がある。『華人が独占するガソリンスタンドに、政府の後押しでマレー人が参入した。しかしながら同じく運送業界を独占する華人組合のボイコットにあい、経営はすぐに行き詰まった。』

「DNAに刻まれた金儲け本能」

街の商店では年端もいかぬ子供が、親の商売の手伝う姿を良く見かける事だろう。中国人は歴史の早い段階から貨幣経済にかかわり、民衆は腐敗した政府に搾取されるか、賄賂を使い上手く付き合うかの繰り返しでもあった。彼ら中国四千年DNAには「金儲け」の本能が刻み込まれている。字が書けない者もこの金銭感覚だけは身に付けている。彼らにとって金儲けをすること、賢い買い物をすることが頭の良さを示すことである。そして商業的成功を収めたものは、前述の同郷集団リーダーとして名誉と影響力を持つに至るわけである。

2001年6月18日)

次のページへ

ホームミニコラム>身近な存在「華人」について

Hosted by www.Geocities.ws

1