プロトンは生き残れるか? | ||
「関税撤廃でシビックが安くなる?」
シビックに乗りたいが、高いので我慢してプロトンに乗っている人に朗報である。まもなくAFTA(アセアン事由貿易地域構想)がスタートし、基本的には域内の関税は撤廃される。現在マレーシアでの自動車輸入関税は排気量によって部品で約40〜80%、完成車で140〜300%である。これが2003年までには完成車が0〜5%に引き下げられる訳である。 現在ホンダ、フォードなどの多国籍企業は、アジアの自動車王国タイを中心に、各国工場の再編成を加速している。ホンダはAFTAを見据え、2003年にマラッカ工場を稼働させる。ここではマレーシア国内で人気のシティー、シビックなどの生産が始まると思われる。ホンダ関係者によると「現状の価格に比べ、かなり安くなる。」と言っている。 「窮地に立たされるプロトン」 マハティール首相ご自慢のアジア唯一の国民車プロトンだが、政府の手厚い保護を受けており国際競争力は全く無い。三菱自動車からの技術移転は遅々として進まず、エンジンなどの基幹部品は輸入に頼っている。いらだつマハティール首相はシトロエンやルノーと技術提携を進めたり、ロータスを買収したり躍起になっている。 しかし自動車産業は多くの周辺技術を必要とする。そのため世界の自動車メーカーはグループ化を進め、経営効率の向上に努めている。日本メーカーでさえ単独では生き残れないのである。プロトンは輸出競争力が無く、国内で年間20万台程度の生産規模である。本来であればかなり厳しい立場に立たされる筈である。 「それでも見捨てないマハティール首相」 マレーシア政府はプロトンを保護するため、2005年1月まで主要自動車部品の輸入関税引き下げを行わない事を明らかにした。現在タイとマレーシアで協議が難航しており、合意に達しない場合はタイ側は報復措置に出る。一例としてタイ米の輸入急増が考えられ、ケダ州の農家は大打撃を受ける。マレーシア政府は自動車産業を守るため、高い代償を払う事になる。マハティール首相や通産大臣ラフィーダ姉さんは窮地に追い込まれている。 それでも工業立国を目指すマレーシア政府、「裏わざ」を使ってでもプロトンを保護するだろう。輸入関税以外の名目で特殊な課税が準備され、プロトンには優遇税制が準備されるとの噂もある。 (2001年6月15日)
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