ハーブについて



目次

定義

「ハーブ」というと、大部分の人はラベンダー、カモミールなど、西洋由来のお茶やスパイス、或いは健康食品に入っている植物を思い浮かべるのではないでしょうか。
しかし、その意味はもっと広義で、その香り、味、更には薬効が利用されている植物全てを含めて「ハーブ」と呼ばれています。つまり、日本でポピュラーな漢方薬、民間薬の材料として使われている植物も立派なハーブなのです。


ハーブの成分

それでは、これらの植物が何故特有の香りをもっていたり、或いは薬効をもっていたりするのか。それは、植物の中に存在する化合物によるのです。その化合物の主なものを以下に列記します。

アルカロイド
窒素原子を含んだアルカリ性の化合物。苦い植物にはアルカロイドが豊富なものが多いです。実に多様のアルカロイドが存在し、その作用も多種多様で、中には脳や神経に作用するものもあります。有名なモルヒネやコカインもアルカロイドです。

フラボノイド
一般に「ポリフェノール」と呼ばれるものもこの部類です。近年赤ワインが注目されましたが、実は大部分の植物に含まれています。構造によって黄色、オレンジ、赤、紫などさまざまな色を示し、これが花の色の源になっています。抗酸化作用、抗菌作用があります。

サポニン
水中で泡を発する成分であることから、ラテン語の「sapo」(泡、石鹸)に因んでこの名前が付けられました。薬効は様々で、抗炎症作用、ホルモン作用を有するものもあります。

テルペノイド
5つの炭素原子を一単位とし、化合物中にその単位がいくつ含まれるかにより、モノテルペン(炭素原子10個)、セスキテルペン(炭素原子15個)、ジテルペン(炭素原子20個)などと呼ばれます。ハッカに含まれるメントールもこの仲間です。

精油
ハーブを加熱、抽出することによって得られる成分で、揮発性で強い香りを有することが多いです。エッセンシャルオイルとしてアロマセラピーに用いられます。純粋なものは作用が強く、直接肌につけたりすると炎症を起こしたりします。


世界のハーブ

中国
現在日本でも「漢方薬」は一般化していますが、中国での薬草の研究は紀元前に遡ります。自然界を「陰と陽」、「木、火、地、金、水」に分け、これらがの調和が崩れたとき人は病気になるので、バランスを保つよう不足しているものを補うことにより、人は健康になる、という理論に基づいています…というと面倒くさそうですね。
中国古来の医学の理論は、「病気を引き起こす原因を退治する」療法であり、例えば身体が冷えるときには身体を温める作用のあるものを飲む、身体に余分な水分が溜まっているときにはその水分を外に出すものを飲む、というのが基本で、その作用を持つハーブをミックスして病気を治療する処方が現在日本でいわれるところの「漢方薬」です。病気になる原因はその人の体質によっても違うので、同じ腹痛の治療でも、その人の体質(太っている、痩せている、顔が赤い、青い、などなど)によって処方が違ってきます。
「頭が痛いから頭痛薬を飲む」という対症療法とは違い、原因から治すので、緩やかでありながらも効果的な処方といえます。

日本
中国から医療が伝わったのは、西暦500年前後でしょうか。その前にも試行錯誤による民間療法が考案されていたようですが、中国からの技術の伝来により、日本でも本格的に薬草の研究がなされるようになり、独自の処方を築きあげてきました。
一時期は西洋医学の普及により、漢方も衰退しましたが、最近ではまた注目を集めています。

ヨーロッパ
古代ギリシャ、ローマの伝統に、エジプト、インド、アッシリアなどの文化が融合して、現在のハーブ文化が形成されたと言われています。
現在注目されているアロマセラピーの歴史は古代に遡りますが、20世紀に入ってその有効性が科学的に検証されるようになりました。そもそも「アロマセラピー」という名が用いられるようになったのは、フランスの化学者がラベンダーオイルが火傷に効果があることをたまたま発見したことだと言われています。そのあと、オイルマッサージにより、アロマの成分を皮膚から吸収させる方法が発達しました。
東洋医学ではハーブが「内服」されるのに対し、西洋で医療目的にハーブを用いる際には「外用」が多いようです。

中南米
中南米は、熱帯雨林、アンデス山脈など、その気候の多様性からも植物の種類の豊富な地域であり、これらの植物は原住民たちの生活に深く浸透してきました。
その中でも興味深いのは、「クラーレ」。もともと矢毒として使われていたもので、ツヅラフジ科の植物の樹皮の煮汁を矢の先に塗っておくと、それで撃たれた動物は死ぬけど、その動物を食べても人間は大丈夫、という優れものです。その理由は、クラーレに含まれるd-ツボクラリンという成分は、血液から吸収されると筋肉を麻痺させてしまいますが、消化器からは吸収されないので食べても大丈夫ということです。このd-ツボクラリンは、世界中で手術の際等に利用されています。

インド
アーユルヴェーダが有名ですね。数百種ものインド産ハーブを使ったインドの伝統的療法で、その歴史はやはり紀元前まで遡るそうです。
中国の伝統医療同様、その人の体質によって処方が異なり、また病気の治療目的のみでなく、いかにして豊かに生きるか…という哲学的要素も含んでいるそうです。


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