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-3- リィン ルルは双児のエルフである。 「あなたはいつか偉大な魔法使いの素敵なお屋敷にいくの。。」 双宮の月に産まれた双児のエルフは魂を分け合う。 リィンはエルフにしては類い稀な生命力を持ち、魔力に長けていた。 ハーフエルフのような姿と好奇心は、彼女を迷宮へと導いた。 一方、 リゥンはまるで人間の赤子の様に脆く、魔力も儚く、深林で花を 摘むのがやっとであった。 朝露を飲み、花の香りで滋養を得、大半を夢の中で過ごしていた。 しかし、神は彼女に不思議な力を与えていた。 他の者の動向を見透かし、未来をも見通す事の出来る能力である。 「あなたは、暗闇の中で旅をしているわ。屈強な武人達とね・・」 短気で泣き虫で我侭であったリィンに対し、リゥンはまるで聖母の様に いつも優しく微笑みかけた。 魔力を秘めた言葉で猛獣を打ち倒す程に育ったリィンにも リゥンの囁きは彼女を夢の中に誘う神秘的な響きである。 彼女達はお互いを好きでいたし、お互いを必要とした。 「あの子は走る事さえ出来なかったのよ。 いつも花畑に座っていたわ」 繰り返される昔話だが闇の中では一時の休息である。 干し肉にかじりつくド ウル ワトーは笑った。 「ベッドの上じゃ一晩どころか、半時ももたないな」 「失礼な男ね」 しかしリィンはこの不躾な男を嫌ってはいない。 この地下迷宮に足を踏み入れるだけで精一杯だった彼女が あの最深部に通じる昇降機を使えるようになったのも、 この男達との冒険が何よりの経験として力になっているからだ。 あの酒場に初めて足を踏み入れた時、ヴァーンガルツとド ウル ワトーは 一人の魔術士と交渉をしている最中だった。 ギルガメシュの酒場には、仲間を探して数々の冒険者が集まっている。 その中には、まるで初心者の魔法使いや地下の最深部まで降りている兵まで あらゆる職業、種族の者が屯している。 中でも彼等は、腕は立つが荒っぽい事で有名だった。 案の定、魔術士の放った炎が彼等を焦がし、怒ったド ウル ワトーが その華奢な男を殴って終わりだ。 彼等とパーティーを組もうと望む者は少ない。 酒を煽る彼等から離れた場所にリィンは座った。 剣士が一人、彼女に声をかけてきた。 「ハーフエルフか?、今晩どうだ?」 美しい種族である彼女には聞き慣れた、しかし薄汚れた挨拶・・ 特にハーフエルフのような外見は、彼女にいかがわしい視線を集める。 この侮辱を浴びせた男に対し、彼女はいきなり窒息の呪文を投げかけた。 ..nMAKarNiTOww.. 呟きにも似た言葉は、彼女の口より生まれ、剣士を窒息に至らしめる。 愚かな剣士は喉に手をやると彼女を指差しながら店を抜け出した。 「馬鹿な野郎だ」 ド ウル ワトーが大きなジョッキを片手に隣に座った。 もう片手には巨大なメイス、そして腰には小振りなフレイル。 「俺とならどうだ?」 呪文を詠唱しようとした彼女の口元に、彼の太い指が止まった。 「つきあってもらうのは汚い宿じゃない。 ワードナって魔法使いの作った素敵なお屋敷だ」 彼女は詠唱を止めた。 素敵なお屋敷・・いつか聞いたその言葉に彼女は微笑んだ。 「そうね、安い宿ならお断り。 ロイヤルスイートをお願いするわ・・ただし、 今夜ね。、潜るのは明日。。」 ド ウル ワトーはジョッキの酒を一気に飲み干し、 革袋から何粒かの宝石を取り出し、テーブルに転がした。 「好きな宿で眠るんだな。明日の朝、ここで待ってる」 契約料としては破格である。 リィンは宝石を懐に入れ、少し考え、そして彼に一声かけた。 「ハーフエルフよ。今晩どう?」 ド ウル ワトーは振り返らずに彼女に言った。 「怪物共と戦うより疲れるぜ? 今夜は休みな、独りでな」 |