作物栄養学実験

November 6, 1997 八訂版

のような内容で構成されています。

植物栽培方法

試料調整法

成長解析法

無機成分(N, P, K, Si, Fe, Sugar, Starch)分析法

光合成速度測定法

mRNA抽出法

クロロフィル、Rubisco抽出法

今年の実験結果1、Total RNAの電気泳動像の写真はここをPHOTO

植物は葉で光エネルギーを利用して2酸化炭素(CO2)と水(H2O)より炭水化物を合成 し、根で無機養分を吸収し、これらの光合成産物と無機養分を利用して植物体構成 成分を合成し、生長・維持を行っている。従って、植物の生長を理解するためには 炭素同化機構と養分吸収機構およびその相互作用を解明する必要がある。作物栄養 学実験では、植物栄養生理に関わる基本的操作を習熟する事を目的とする。実際に 生育している植物体の光合成能を測定し、光合成産物である糖・デンプンの定量、 さらには光合成能を支配する様々な成分のうちクロロフィル、Ribulose-1,5-bisphosph ate carboxylase/oxygenase(Rubisco)タンパク質、Rubisco small subunitのmRNAの抽出・ 定量法を修得する。また養分吸収機構に関する手法として、水耕培養により高塩濃 度障害の試験を行い、無機成分(N, P, K, Na, Fe, Si)の分析を行う。

0.実験の心得

(1)一般的心得

実験で用いる多くの試薬類は毒性の強いもの(特にタンパク質、遺伝子関連)が多 く、不用意に皮膚に接触させたり、口に入れることは決してしないように注意する こと。また、一般試薬(硫酸、塩酸、エタノールなど)でも濃度が高い場合には強 い毒性を示し、場合によっては発ガン性を持つ場合があるので十分に留意するこ と。実験室内での飲食、喫煙は厳禁とする。また、白衣を着用し、土足での入室を 禁止する。各自上履きを用意すること。毎日出席を取ります、実験の進め方を自分 達で考えるのは大変良いことですが、偏った時間配分は事故にもつながりかねず、 好ましくない。原則として18時に実験室は閉鎖することを予め考慮すること。

(2)分析上の心得

1)植物の生長、生理解析のデータは通常有効数字3桁(つまり4桁目まで測定 し、4桁目を四捨五入)で標記する。

2)標準試薬(standard)作成や定量分析のための秤量は特に正確に行う。実験は再 現性があることが重要であることを常に頭に入れること。厳密な定量の場合、試薬 や試料は秤量管に入れ、加熱が可能な場合は80-100C程度(試薬、試料に応じて異 なる)で4-6時間(水分が多い場合はそれに応じてのばす)乾燥し、シリカゲル(青 色であることを確認のこと)が入ったデシケーター中で放冷した後で秤量する。さ らに30分間加熱し、同様に放冷後秤量し、前に秤量した値と同じになるまでこの 操作を繰り返す。以上の操作を恒量という。

(3)試薬の溶解はビーカーあるいは三角フラスコ内で行い、メスシリンダーおよ びメスフラスコ内で行わないこと。試薬の撹拌はガラス棒を用い、金属製のスパチ ュラを使用してはいけない。

(4)メスシリンダー、メスフラスコ、メスピペット、ホールピペットは使用後直 ちに水、脱塩水で洗浄し、風乾する(熱をかけるのは原則として禁止。ただしタン パク質・遺伝子の実験で器具を滅菌する必要があるときは乾熱滅菌やオートクレー ブを行う)。

(5)ガラス器具は使用後なるべく迅速に水道水と洗剤を用いて洗浄し、水道水で 最低10回(泡がきれてから)、脱塩水で6回洗浄してから乾燥する。洗剤は残存 した場合は以後の実験に影響を与えるので、必要最小量を使うようにこころがける こと。

1. 植物栽培法

1-1原理:植物は無機養分のみを含んだ培養液によって育てることが可能である。今 回は水耕実験は行わないが、養分をほとんど含まないバーミキュライトを使うの で、無機養分を培養液で供給する。水耕法は養分の組成や濃度を正確に管理するこ とができるため、植物の栄養生理研究には欠かせない手法の一つになっている。水 耕栽培は Sachs(1860)とKnop(1862)によって始められ、その後、Hoagland and Arnonに よって基本培地がほぼ確立され今日でも広く水耕実験に利用されている。わが国で はイネを中心として水耕栽培法の研究が進められ、春日井、木村、石塚などによる 培地が現在でも使用されている。しかし、作物ごとに栄養特性が異なる場合が多 く、単一の培養液組成で全作物を生育させることは困難である。そこで代表的な作 物に適した共通培養液組成と栽培法を示す。

(1)植物育苗と移植

  植物種子を1.0-1.5%次亜塩素酸ナトリウムで1-10分間(マメ科は1分、イネ科は 10分など)ほど振盪して殺菌し、脱塩水で良く洗浄する。畑作物ではバーミキュ ライトかパーライトあるいはその混合物に播種する。

(2)通気

  水耕栽培では根に酸素を十分供給しなければならないが、その程度は作物によ り異なる。イネは通常通気を行なわなくてもよいが、ダイズ、コムギなどの畑作物 は一般に耐湿性がやや弱い植物なので通気の他に培養液の水位をやや下げ、根の上 部が直接空気に接するように栽培する。(今回はバーミキュライトで栽培するので 必要は無い。)

(3)水

  実験の目的に応じて、地下水、水道水、蒸留水、脱塩水を使用するが、通常は 脱塩水を使用する。ケイ素や糖などの非イオン性成分を除去したい場合には、脱塩 水を蒸留した後に使用する必要がある。

(4)pHの調整

  培養液のpHは携帯用のpHメーターを用いて測定し、pH調整には各班で調整した 酸(1N H2SO4)やアルカリ(1N NaOH)を使用する。水道水を使用する際に は、緩衝力が強いので、培養液交換の前日にpHを合わせ放置したものを当日に調整 してから使うと良い。培養液のpHは養分吸収とともに変動するので最低1日に1回 は調整するのが望ましい。通常の試験ではpHは5.0-5.4に調整する。pHが5.5以上にな ると特にFeが沈殿し、Fe欠乏を引き起こすので注意が必要である。

(5)培養液組成

  Sachs液以来、培養液組成は多数考案 されている。畑作用としてHoagland液が現 在でも広く使用されているが、濃度が高いため1/2濃度液として使用される場合 が多い。北大作物栄養学講座で一般に使用しているストック液の培養液組成を以下 に示す。ただし今回は、少量しか使用しないのでストック液は作成しない(使用塩 量を間違わないように)。

1)Hoagland および Arnon の培養液

_______________________________________   

g / L m mol

KNO3 0.51 5

Ca(NO3)2 0.82 5

MgSO4・7H2O 0.49 2

KH2PO4 0.14 1

_______________________________________

微量要素(ppm) Fe:3, Mn:0.5, B:0.5, Zn:0.05,

Cu:0.02, Mo:0.02

2)北大培養液組成

_________________________________________________________

要素 濃度  使用塩     希釈率   使用塩量(g)

_____ (ppm) _______________________________________________ 

多量要素      (g / 20 L)

N 30 (NH4)2SO4 500 1415.10

P 10 NaH2PO4・2H2O 500 503.7

K 30 K2SO4 (15ppm) 500 334.25

KCl (15ppm) 286.01

Ca 50 CaCl2・2H2O 500 1834.05

Mg 20 MgSO4・7H2O 500 2027.64

微量要素      (g / 10 L)

Fe 2.0 FeSO4・7H2O 2000 199.12

Mn 0.5 MnSO4・4H2O 2000 40.60

B 0.5 H3BO3 2000 57.195

Zn 0.2 ZnSO4・7H2O 2000 17.59

Cu 0.01 CuSO3・5H2O 2000 0.786

Mo 0.005 (NH4) 6・Mo7O24・4H2O 2000 0.184

尚、Sは硫酸根として含まれている量で充分である。

      

NはNH4NO3で30ppmとしてもよい(857.19 g NH4NO3 を20 L に溶かし、500倍に希 釈して使用する)。微量要素液は作成時に前もって20mLのconc. H2SO4を加えた液 にそれぞれの塩を溶かす。

1-2ダイズの栽培

ダイズは耐塩性が弱い作物である。培養液に塩(NaCl)を加えた処理(Na区)と加えな い処理(対照区)でダイズを栽培し、塩に対する生育・生理反応を解析する。

播種

各自殺菌し、洗浄した種子を10粒5リットル容器に入れたバーミキュライトに播 種する。バーミキュライトは予め脱塩水で適当に湿らせておき(過湿は種子を腐敗 させ、乾燥は発芽を誘導しない、水を加え良く混ぜた後にバーミキュライトの表面 が手で触ってしっとりしている程度)、表面から約3cmの深さに指で穴を開け底部 に種子を一粒づつ置き、バーミキュライトで覆土し、全体の表面をならす。

培養液の作成

培養液を各班で3 L作成する。500mLビーカー5個に約300mL脱塩水を取り、窒素((N H4)2SO4)、リン(NaH2PO4・2H2O)、カリ(K2SO4:KCl=1:1)、カルシウム、マグネシュ ウムを別々にガラス棒で撹拌しながら溶かし込む。微量要素はまず約800mLの脱塩 水を用意しこれに、それぞれ薬包紙に秤とった1000倍量の塩を順次加えた後に1mL のconc. H2SO4を加える。その後ビーカーの目盛りで1Lにする。この液を3mL取り、 約3Lの培養液に加える。3L容器(ガロン瓶)にストックする。この内1.5Lをガロン 瓶に取りにNaClを1Mになるように加える(厳密な実験の場合には試薬を溶液に加え ることによる容積の変化をさけるために定量前にNaClを加える必要がある)。pH5.3 になるように0.01N NaOHを用いて調整する。

バーミキュライトに播種したダイズに3日おきに(間に休日が入る場合は延ばす) 適量の培養液を散布する。

2.作物体採取・試料調整法

 播種前の種子の新鮮重を秤量し、乾燥する(105Cでovernight(O/N))。第1、2、3 週目のサンプリングでは作物体を採取し、根に付着したバーミキュライトを水道水 できれいに洗い落とした後にハサミを用いて根、子葉、茎に分ける。各部位の新鮮 重を求め、葉面積測定後に、105℃にて24時間通風乾燥した後に秤量する。ただし、 RNA、Rubisco、クロロフィル測定用にサブサンプルを採取し、それぞれの目的に応 じて処理をする。

2-1.葉面積測定

 葉が多量にあるときは葉面積計で測定するが、少量の場合はコピー法で十分であ る。葉は測定葉とその他の葉に分け、輪郭を鉛筆でなぞって写し取り、その線上を 切り抜いて秤量し、既知面積の同一用紙の重量との比から重量法にてその面積を求 める。ただし、 RNA、Rubisco、クロロフィル測定用の試料調整を先に終わらせるこ と。

 なお、サブサンプルを採取する場合にはあらかじめハサミで細かく裁断した後に 全新鮮重を測定し、 RNA、Rubisco、クロロフィル測定用と乾燥用の試料の新鮮重を 必要に応じて再度測定する。

2-2.試料調整

 1. 無機および糖・デンプン分析用:乾燥試料をハサミでさらに裁断すること。 播種前の種子、播種後2週目のガス交換能測定葉を供試する。

 2. クロロフィル分析用:ガス交換能測定葉を新鮮重で約0.05-0.1gを1つ精秤し、 アルミホイルで包んで冷暗所(4C)に保存する。

 3. Rubiscoの測定用:測定用の葉全てを1つ精秤し、アルミホイルに包んで-20℃に 保存する(2週間目)。

 4. mRNA測定用に葉と根から約0.1gを1つ精秤し、アルミホイルに包んで -80℃(-8 0℃の冷凍庫は3F、作物栄養実験室にある)に保存する。

3.生長解析

 T1日の乾物重(W1, g plant-1)、葉面積(LA1, m2 plant-1)、葉重(LW1, g plant-1)とT2日 の乾物重(W2, g plant-1)、葉面積(LA2, m2 plant-1)、葉重(LW2, g plant-1)とする。

Crop growth rate (CGR, g day-1) = dW/dt = (W2-W1)/(T2-T1)

Relative growth rate (RGR, g g-1 day-1) = 1/W*dW/dt = (ln(W2) - ln(W1))/(T2-T1)

Net assimilation rate (NAR, g m-2leaf area day-1) = 1/LA*dW/dt = (ln(LA2)-ln(LA1))/(T2-T 1)

Specific leaf area (SLA, m2 g-1) = LA/LW

4.作物の無機成分分析法

4-1.全窒素(Semi-micro-kjeldahl法)

 原理:有機態窒素を硫酸によって分解しアンモニアにする。分解後に生じたアン モニアをアルカリの存在下で蒸留することにより酸性の溶液に集め、残った酸を標 準アルカリ溶液で滴定する。

試薬(各班):

濃硫酸 50mL

分解促進剤(K2SO4:CuSO4・5H2O= 5:1) 10g

conc NaOH (40% w/v) NaOHの必要量をビーカーに取り脱塩水を 200mL加 える

0.01N H2SO4 をメスフラスコで200mL (まず1NのH2SO4を作成し、 0.1, 0.01Nの順で希釈する)

0.01N NaOH をメスフラスコで200mL (まず1NのNaOHを作成し、 0.1,0.01Nの順で希釈する)

Methyl red 0.2% in 60% EtOH (10mL) 100% EtOH60mLをメスシリンダーで脱塩水 を使って100mLにする。これが60% EtOHである。Methyl redを必要量ビーカーに取 り、60% EtOHを10mL加える(完全に溶解しないので上澄液を用いること)。

分析方法:約50mgの粉砕試料を正確に計り分解フラスコに取る。分解促進剤を500m g程度加え、次に8mLの濃硫酸を加える。沸騰石を加えた後に徐々に加熱し、液が透 明になるまで強熱する。室温まで放熱し、脱塩水で希釈してメスフラスコで100mL に定容する。このうち10mLをホールピペットで取り、蒸留器によって濃水酸化ナト リウム溶液を約10mLメスピペットで添加した後、ホールピペットで取った10mLの0. 01N硫酸溶液に集める(約50ml程度まで)。これをメチルレッドを指示薬にして0. 01N水酸化ナトリウム溶液にて滴定する。窒素含有率は以下の式にて求められる。

N(%)=[(B - T) × N ×F ×14.01 / 1000 ×10] / Sample weight (g) ×100

ここでB=Blank (mL of 0.01N NaOH)

T=actual titration (mL of 0.01N NaOH)

N=normality of 0.01N NaOH

F=normality factor of 0.01N NaOH

なお、ブランクとして脱塩水10mLを同様に蒸留し、その滴定価をブランクとする。 0.01N NaOHのfactorは0.1N( factor=1.000)のH2SO4をあらかじめ用意するので、これ をホールピペットを用いて1mLを50mL三角フラスコに取り各班で作成した0.01N Na OHをメチルレッドを指示薬として滴定する(赤色が黄色になる点であるが、個人差 があるので各班でまずブランクの基準を決めておくこと)。これより0.01N NaOHのf actorを決定する。

4-2.窒素以外の無機成分

(1)湿式分解

原理:ケイ素以外のリン酸、カリウム、ナトリウム、鉄の分析を行うにあたりまず 植物体を酸で分解する。

試薬:acid mixture(各班): 75mL conc. HNO3、15mL conc. H2SO4、30mL 60% H ClO4の混合液

分解方法:約1gの粉砕試料を正確に計り分解フラスコに取り、これに安全ピペット をとりつけたホールピペットで20mLのacid mixtureを加え、試料全体に浸せきするま で放置する。なお、沸騰石にはSi, Alが含まれるので、湿式分解では沸騰石を試料に 入れないこと。代わりの物として、ガラスの毛細管を入れてもよい。ドラフト内に て緩やかに加熱し、次第に強熱する。試料によっては泡が出ることがあるので、そ の場合は加熱を中止し冷却する(発泡が激しい場合は洗浄瓶を用いて管の部分に水 をかけてもよいが、割れる場合があるので極力さけるようにする)。溶液が透明に なったら室温になるまで放冷し、これに脱塩水を加え約50mLとした後にメスフラス コを用いて100mLに定容する。定容後100mLの三角フラスコに5Cの濾紙を用いてろ 液を集める。濾紙は4-2(2)のケイ素の分析に用いるので捨てないこと。メスフラスコ を続いて脱塩水で洗浄してメスフラスコに残存したケイ素を回収するが、この時の 洗浄液は捨ててよい。

注意! 過度の分解は溶液の乾固を導き、リンの不溶化を引き起こす。分解液が完 全に無くなった場合は分解からやりなおすこと。

(2)ケイ素

分析方法:ルツボ(マジック等での記入、あるいはシール等をはってはいけない。 ルツボには個々の番号が記してあるのでこれを記録しておくこと)をマッフル内で5 50℃で2時間空焼き後(マッフルは3Fにあります)、室温でしばらく放置後にデシ ケーター内で放冷後恒量し、この値をブランク値とする。ろ過に用いた濾紙をルツ ボ中に入れ、105℃のオーブンにて乾燥させた後にマッフル内にてルツボのふたをや やずらしてかぶせ、550℃で2時間燃焼する。室温でしばらく放置後にデシケーター 中で30分間放冷した後に秤量する。さらに105℃1時間乾燥、室温30分間放冷を 繰り返して値が一定なったときの値が厳密には正確な値である。ケイ素はSiO2で測 定されており、結果は乾物当たりのSiO2の含有率で示す。なお、濾紙にはそれぞれ の濾紙番号に応じたSiO2含有量が記載されているので(濾紙の箱の裏側)その分を 引くこと。

(3)リン酸(Vanado molybdate yellow method)

原理:リン酸がammonium vanadate と ammonium molybdateの存在下で複塩を生成し 黄色を呈するので、これを吸光法で測定する。

試薬(各班で作成):

1)ammonium vanado molibdate-nitric acid溶液

25gのammonium molybdateをビーカーに取り400mLの熱脱塩水に溶かす(A液)

1.25gのammonium vanadateをビーカーに取り加熱しながら脱塩水に溶解後、放冷し これに250mLのconc. HNO3を加える(B液)。

A液とB液を混合し、メスシリンダーで1Lに定容する。

2)リン酸標準液

KH2PO4を105℃のオーブンで予め1時間乾燥した後、デシケーターに入れて放 冷しておく。そのKH2PO4を4.39g取り、ビーカー内で脱塩水で溶解し、その後これ にH2SO4 (conc. H2SO4は36N)を加え(標準液と試料溶液の硫酸濃度が同じになる ように調整すること)、これを1Lメスフラスコに移し脱塩水で1Lに定容する。この 溶液は1000ppmのリンを含む。検量線には0, 1, 5, 10, 20ppmまでの濃度を作成する。1 000ppmの液から100ppm, 10ppmと順に希釈し、それぞれの液から検量線用の濃度に なるように調整する。なお、試料および標準液を希釈するときには別に作成した希 硫酸溶液を用いること(酸度によって発色が異なるため、分解液中の硫酸濃度に合 わせるため)。

分析方法:分解液を2倍に希硫酸溶液で希釈して100mLのメスフラスコに10mL取 り、これに20mLのammonium vanado molibdate-nitric acid溶液を加え、脱塩水で定容す る。撹拌した後、10分間放置し吸光度(Abs = 400nm)を測定する(吸光度がStandardの 値を越える場合は分解液を希硫酸溶液で希釈して再度発色操作を行う)。なお、発 色は48時間以上安定であるので、順次メスフラスコの中身を試験管等に移して実験 を進めること。ただし、検量線の比色も同時に行うこと。

リン酸の濃度は標準リン酸溶液を用いて上記と同様に測定して作成した検量線 を用いて決定する。

(4):カリウム、ナトリウム(炎光光度法)

原理:試料を炎光中で加熱することにより基底状態の原子に解離する。この時の目 的元素から発する特定のスペクトルの強さを光電管で測定する。定量される元素は アルカリ、アルカリ土類金属が主であり、これらは励起電圧が低く、炎光中での発 光スペクトルの数が少ないことから比較的容易に特定波長を取り出すことができ る。

試薬:

カリウム標準液

105℃で1時間以上乾燥した後、デシケーターに入れて放冷しておいたKCl を1. 9069g取り希硫酸で1リットルに定容する(硫酸濃度が試料溶液と同じになるよう にしておくと便利)。この溶液には1000ppmのカリウムが存在する。検量用には0、 5、10、25、50ppmを30mL用意する(100mL作成後、試験管で30mL程度をパラフィ ルムでシールして保存する)。希釈は、試料と同じ硫酸の規定度にすることに留意 すること。

ナトリウム標準液

105℃で1時間乾燥した後、デシケーターに入れて放冷しておいたNaCl を2.542 0g取り1リットルに定容する。この溶液には1000ppmのナトリウムが存在する。検 量用には0、1、2.5、5ppmを100mL用意する。希釈は試料と同じ硫酸の規定度にする ことに留意すること。

操作:脱塩水で12.5倍(測定値によってはさらに希釈を要することもある)に希釈 し、ナトリウムの濃度も標準溶液を作成して、これより検量線を作成して決定す る。

(5)鉄(o-Phenanthroline法)

原理:pH2から9において2価の鉄と橙赤色の錯塩を形成する。[(C12H8N2)3Fe2+]

実際の測定にあたってはpHによる影響を防ぐために緩衝液でpH3.5にする。また 銅、亜鉛、モリブデンも妨害を与えることがしられるが、植物体に通常存在してい る濃度では問題ない。

試薬:1)クエン酸ナトリウム緩衝液

13.8gのNaOCOCH2C(OH)(COONa)CH2・COONa・2H2Oをビーカーに取り 12m Lの酢酸を加え、脱塩水でメスシリンダー(硝子製)を用いて100mL にする。

2) Hydroxylamine hydrochloride (10%)

10gのHydroxylamine hydrochlorideをビーカーに取り脱塩水で溶解後、メ スシ リンダーで100mLにする。

3) o-Phenanthroline (0.1%)

0.1gのo-Phenanthrolineを温脱塩水に溶解する。放冷後メスシリンダーで 100 mL にする。冷暗所で貯蔵し、貯蔵中に着色した場合は廃棄する。(ア ルミホイ ルで全体をくるみ4Cに)

4) 鉄標準液

デシケーター中で1晩以上乾燥しておいたFeSO4(NH4)2・SO4・6H2Oを0.7022g取り、 希H2SO4でメスフラスコを用いて1Lに定容する。この溶液は鉄が100ppmで存在する ので、検量用に0, 5, 10, 20, 30, 50ppmのスタンダードを希 H2SO4を使って用意する。

操作:試料溶液5mLを100mLのメスフラスコと50mLの三角フラスコに取る。三角フ ラスコにBPB指示薬数滴を加え、クエン酸ナトリウム緩衝液で黄色が淡緑色に変わ るまで滴定して(pH3.5)(緩衝液を加えたら迅速に操作を行うこと)、試料溶液5mL をpH3.5にするのに要する緩衝液の量を決定する。比色にはメスフラスコに5mlの試 料あるいは検量線用の溶液を加え、pH3.5にするために必要名緩衝液量を加え、hydr oxylamine hydrochloride(10%)とo-phenanthroline(0.1%)を4mLずつ加える。100mLに脱 塩水で定容した後に1時間以上(over nightは不可)室温で放置し、波長510nmで比 色法で濃度を決定する。なお、検量用の試薬に関しては1つのみ必要な緩衝液の量 を決定して、後は同じ量を入れればよい。

5.糖、デンプンの測定

5-1.糖

原理:基本反応はアルドヘキソース(アルデヒド基-CHOを持つ6炭糖)のフルフ ラールへの脱水反応といわれており、これら生成物とアンスロンの反応により生ず る緑色を比色する。なお、この反応は糖の種類によって最適条件が異なることが知 られている。

試薬(各班):

(1)52% HClO4 (HClO4の原液は60%である)100mL

(2)80% EtOH 400mL

(3)0.3N Ba(OH) 2 8H2O 200mL (完全には溶けない。白濁した試薬を静置 し、上澄液を使用する。またガラスに付着し、放置すると取れなくなるの で試薬を ビーカーに取り、これに脱塩水を加えること。ビーカーはあきら める)

(4)5% (w/v) ZnSO4・7H2O 200mL

(5)アンスロン試薬:anthron 0.5g をビーカーに取り250mL conc. H2SO4を 加え る。溶解後、アルミホイルで遮光し、4℃で保存、

(6)Glucose standard: 1000ppm溶液を100mL用意し、これを用いて 50オg/5mL, 100オ g/5mL, 150オg/5mL, 200オg/5mLになるように希釈した溶液 を100mL用意する。

抽出方法:

(1)サンプル200mgを100mLビーカーにとる。

(2)数滴の80% EtOHでサンプルを湿らせる。

(3)5mLの脱塩水を加える。

(4)約25mLの熱した80%EtOH(試験管内に入れ湯浴で加温する)を加え、撹拌棒で 良くかき混ぜる。

(5)静置後、No. 5Aの濾紙を置いてデカンテーションで200-300mLのビーカーに(な るべく残渣が濾紙にはいらないようにして濾液を集める)。

(6)残渣に30mLの熱80%EtOHを加え良くかき混ぜる。

(7)同じ濾紙上でデカンテーションする。この操作をもう一度繰り返す。

(8)室温の80%EtOHで洗い落としながら残渣を全て濾紙上に移し(撹拌棒を使う)、 濾紙上の残渣を室温の80%EtOHで洗浄する。(残渣は捨てないこと)

(9)ホットプレート上で緩やかに加熱して約5mLまで濃縮する(アルコール臭が消え るまで。この際、乾固したらやり直し)。

(10)50mLの脱塩水を加える。

(11)あらかじめ決定した量(注1)の0.3N Ba(OH)2・8H2Oをまず加え、続いて5%Zn SO4を5mL加え混合する。

(12)メスフラスコで100mLに定容する(丁寧に行わないと泡が多くなるので注意)。

(13)よく攪拌した後5Aの濾紙で濾過する(この際、濾液の最初の5mLは廃棄)。

分析方法:5mLを中型試験管に入れ氷中に入れ冷却、同様に冷却したanthron試薬を 吹き出しピペットで10mL加え、激しく撹拌する(試薬は濃硫酸なのでこぼさないよ うに注意、皮膚、衣服、物品に着いた場合は大量の水ですぐに洗浄すること。時間 がたつと穴があきます)。

直ちに沸騰水中に正確に7.5分間入れて発色させ、氷中に戻し冷却。充分冷却さ れたら室温に戻し、吸光度630nmにて測定。試料は5、10倍に脱塩水で希釈した ものとブランク、検量線用の試料も同時発色させて測定する。なお、セルはガラス 製のものを使うこと(プラスチック製のセルは腐食する)。

(注1):5mLの5%のZnSO4をホールピペットで取り、フェノールフタレインを数 滴加え、メスピペットを用いて0.3N Ba(OH) 2 8H2Oで赤色になるようにする。これ に要した0.3N Ba(OH) 2 8H2Oの量を加える。

5-2. デンプンの抽出

抽出方法:

(1)糖の抽出で生じた残渣を100mLビーカーにとり、5mLの脱塩水を加え、沸騰水中 で10分間加熱する。このときビーカーの上に時計皿を置くことを忘れずに。(2)6.5m Lの52%HClO4を加える。

(3)約5分間時々ゆらした後、15分間放置する。

(4)5Aの濾紙で濾過。

(5)100mLにメスフラスコを用いてメスアップ。

分析方法:分析方法は糖と同様で、試料溶液を1, 5, 10倍に希釈したものとブラン ク、検量線用の試料を同時に発色させて測定する。

デンプンは加水分解されて糖になったものを測定しているので、デンプンの含有率 の計算では糖の含有率に0.9を乗じること。

6.光合成速度、呼吸速度、蒸散速度の測定

 これらの測定は最上位の最大展開葉について行う。測定には携帯用の光合成蒸散 測定装置を使用し、飽和光照度(約1500オEm-2s-1)下で光合成速度を測定し、そのま まの状態で測定チャンバー全体をアルミホイルで包んで葉を暗くして暗呼吸速度を 測定する。この装置で得られる光合成、呼吸について得られる値はmgCO2h-1dm-2で 古い単位であるので、現在の国際単位であるオmolCO2 m-2s-1に換算する。

 蒸散速度とは大気中の水蒸気密度(ここでは測定チャンバー内の絶対湿度)と葉 面境界面での水蒸気密度の落差によって生じ、葉面境界層拡散抵抗と気孔拡散抵抗 によって律速される。すなわち次式によって示される。

TR = (Cleaf-(RH/100)×Cair)/(rleaf+rstomata)

ここでTRは蒸散速度(gH2O m-2s-1)、Cleafは葉温における飽和絶対湿度(g m-3)、Cair はチャンバー内飽和絶対湿度(g m-3)、RHは相対湿度、rleafは葉面境界層抵抗(s m- 1)、rstomataは水の気孔拡散抵抗(s m-1)であり、Cleaf以外は実測値である。このうち 飽和絶対湿度Cleafは次式で与えられる。

Cleaf=804×PS / (AP×(1+3.66×10-3×AT))

ここでAPは大気圧(=101.3kPa)、ATは葉温(実測値)あるいはチャンバー内温度(実 測値)、PS(mbar)はある温度での飽和水蒸気圧で次式で与えられる。なお、1mbar = 0.1kPaである。

log(PS)=45.72-109.43/log(273.16+AT)

rleafは経験上20s m-1で近似できるので、この値より水の気孔拡散抵抗を算出する。 さらにH2OとCO2の拡散抵抗の比は0.65であるのでCO2の気孔拡散抵抗を算出する。 (単位に注意すること)

左から通し番号、測定番号、月日、時刻、測定チャンバーの面積(cm2)、照度(オmol E m-2 s-1)、気温(C)、葉温(C)、流量(L min-1)、入り口水蒸気密度(g kg-1)、出口水蒸 気密度(g kg-1)、入り口2酸化炭素濃度(ppm)、出口2酸化炭素濃度(ppm)、みかけの 光合成速度(mg CO2 dm-2 h-1)、蒸散速度(g H2O dm-2 h-1)、葉内2酸化炭素濃度(pp m)。このうちみかけの光合成速度、蒸散速度、葉内2酸化炭素濃度の値は計算値で ある。

単位窒素(mg)当り、単位クロロフィル(mg)当り、単位Rubisco(mg)当りの光合成速度 も計算で求める。

7.mRNAの分析法

植物に限らず真核生物において、DNAから転写されたmRNAを鋳型としてタンパク 質が合成される。DNAは個体を構成する個々の細胞において基本的には同じ遺伝情 報を持っているが、それぞれの細胞において必要とされるタンパク質には大きな違 いが存在している。それはそれぞれの細胞が位置している器官の特性に基づいた り、様々な環境因子に応答した結果として生じている。タンパク質量はタンパク質 の分解と合成のバランスにより調節される。タンパク質合成も遺伝子レベルでみる とDNAからmRNAへの転写レベルでの調節およびmRNAからタンパク質への翻訳レ ベルでの調節が行われている。今回はmRNAの発現量を定量し、器官における発現 の違いと塩処理の影響を調査する。解析は発芽ダイズの各器官から全RNAをSDS-Ph enolによって抽出し、Rubiscoのsmall subunitのmRNA量の器官による違いをDIG法に よって定量する方法で行う。

注意:mRNAはつば、あせ、ほこり等に含まれるRNaseによって容易に分解されるの で取り扱いには十分注意すること。滅菌した器具、試薬の取り扱いに際しては特に 注意することが必要であり、共通試薬が汚染すると全員失敗する可能性がある。

試薬:RNA抽出バッファー

以下の試薬は予め調整してあるので必要量使用する。

TE sasturated Phenol

Chloform:isoamyl alcohol (24:1)

3M 酢酸ナトリウム(NaOAc)(pH 5.2)

100%EtOH

70%EtOH

TE (10mM Tris-HCl pH8.0, 1mM EDTA)

10M LiCl

DEPC H2O (Diethyl pyrocarbonateによってRNaaseを不活性化したH2O)

RNA抽出バッファー(班で必要分を作成し、作成溶液を滅菌スピッツに保存する, on ice)

0.5mL 1M Tris-HCl (pH 9.0)

50オl 5M NaCl

50オl 0.5M EDTA (pH 8.0)

1.7725mL DEPC H2O

Autoclave(翌日以下の操作を行う)

125オl 10% SDS

2.5オl 2-mercaptoethanol

抽出操作法:

凍結試料100mgを液体窒素で十分冷却した乳鉢と乳棒で液体窒素で冷却しながら磨 砕する。

液体窒素で冷却した2mL Eppendorf tubeに冷却したスパチュラで移す。

+250オl RNA Extraction Buffer

+250オl TE sat. Phenol

+250オl Chl/iso

12K(12,000rpmで遠心), 20min., RT(室温)

sup.

+250オl TE sat. Phenol

+250オl Chl/iso

12K, 10min., RT

sup.

+1/10 vol. 3M NaOAc (pH 5.2)

on ice 15-20 min.

12K, 10min., 4度

sup.

+2.5 vol. EtOH

-85度, >30min.

12K, 20min., 4度

ppt.

+0.4mL 70% EtOH

12K, 5min., 4度

ppt.

12K, 1min., 4度

ppt.

+400オl TEで完全に溶解する。

+100オl 10M LiCl(mix well)

-85度, 1 to 4 hr

4度

12K, 20min., 4度

ppt.

+40オl TE(このうち20オlをDot blottingに利用する。以下の操作は残りに)

+2オl 3M NaOAc

+50オl EtOH

この状態で保存する(-80度)。

全RNAの電気泳動

平成9年度の結果です。 8.光合成関連成分の分析法

光合成によって植物は光エネルギーを使って大気中の2酸化炭素を還元してスク ロースを合成する。この際に機能するカルビン・ベンソン回路においてRubiscoは炭 酸固定の最初の段階を触媒する。Rubiscoは可溶性タンパク質の50%近くを占める こともあることから、炭素・窒素代謝の中枢的な役割を持っていると考えられてい る。また集光性クロロフィルa/bタンパク質複合体(LHCP)の量も多い。これらのタン パク質の定量を通して炭素・窒素の相互関係を理解する。

8-1.クロロフィル

原理:クロロフィルは光合成における集光色素で、その量はLHCPの指標になると考 えられる。

試薬:100%エタノール、100mL(各人)

分析方法:クロロフィル用に取ったサンプルが入ったすり鉢に石英砂を小量とり1 mLの100%エタノールとともに摩砕する。5Cの濾紙を用いてろ過し、ろ液を100mL 容メスフラスコに取り、100%エタノールで定容する。分光光度計で波長665nmと649 nmの吸光度で測定する。クロロフィルaおよびクロロフィルbは次式にて与えられ る。

クロロフィルa(mg/l)=13.70(A665)-5.76(A649)

クロロフィルb(mg/l)=25.80(A649)-7.60(A665)

吸光度が1を越した場合は100%エタノールで希釈する。

なお、セルはガラス製を用いること。

8-2.Rubiscoの定量

原理:抽出液中のRubisco量を求めるために電気泳動法にて定量する。精製されたRu biscoタンパク質と同時に電気泳動し、染色の程度を画像解析により決定して定量す る。

試薬:1) 抽出用緩衝液 以下の物を含む100mM Tris-HCl緩衝液 (pH 7.8)を250mLを各 班で作成し4度で保存する。沈殿物が生じることがあるので、定量前に遠心し、上澄 液を用いる。

100mM Tris (mw. 121.14), 10mM 2-mercaptoethanol, 10mM MgCl26H2O (mw. 203.30), 1 mM Na-EDTA (mw. 372.24), 1mM Iodoacetic acid, sodium (mw. 207.93), 12.5% (v/v)glycer ol

Tris-HCl buffer: Tris, MgCl2, Na-EDTA, Iodoacetic acidを250mLに定容した時に規定濃 度になるようにビーカーに取り、約150mLの脱塩水に溶解し、2-mercapto ethanolのス トックsolution(5M)を必要量加え、glycerolを加えて氷冷しながら塩酸(6Nと2N)をピ ペットで滴下してpHを7.8に合わせる(なお、pHが7.8を越した場合は作り直すこ と)。この溶液を脱塩水を用いてメスシリンダーで250mLにする。

2) 染色液をメスシリンダーで100mLを各班で作成。

0.25% (w/v) CBB-R250, 25% (v/v) iso-propanol, 10% (v/v) acetic acid ; CBBなどの試薬を 直接メスシリンダーに取ってはいけない。ビーカーで溶かした後にメスアップする のが通常の方法であるが、CBBは色素であり、メスシリンダーに付着すると取れに くいので100mLの溶液をビーカーに加えること。

3)脱色液:メスシリンダーで600mLを各班で作成。なお、酢酸にはプラスチックの メスシリンダーを用いないこと。

25%(v/v) iso-propanol, 10% (v/v) acetic acid

4) 2N HCl溶液 メスシリンダーで100mL (各班)

5) 6N HCl溶液 メスシリンダーで100mL (各班)

抽出方法:

乳鉢にサンプルを取る。抽出用緩衝液を5mL用意する。

抽出用緩衝液1-2 mL程度と石英砂(薬匙小一杯)、PVPP(薬匙小一杯) を加 える。

ペースト状になるまで摩砕する。

遠沈管(pp tube)に注意深く移す(コツは、少量の液を足して一気に移すこと)。乳鉢 等は残りの抽出用緩衝液で洗浄し、遠沈管に加える。緩衝液を使いきること。

遠心分離(3,000 rpmで10分)

上澄液

約1mLをエッペンチューブに取り遠心分離。

(4度,10,000rpmで20分)

上澄液 沈殿 廃棄

約1mLをエッペンチューブにとって4度で保存。

電気泳動法

物質を分子篩効果により分子量の大きさにより分画する。その担体としてはagarose, polyacrilamideなどがあるが、ここではpolyacrilamideを用いて全可溶性タンパク質を 分画し、Rubiscoの分子量(約45000と20000dalton、それぞれlarge subunitとsmall subu nitと呼ばれる)の位置に存在するバンドを定量する。このバンドの定量にはゲルを 染色、脱色後、ホウレンソウから取られたRubiscoをstandardとして用い、染色の濃さ を画像解析によって定量する一連の実験操作方法を学ぶ。

1. 試薬

ゲルは既成(予め作物栄養学研究室にて調整)のものを用いる。

染色液:0.1% CBB R-250, 40% MeOH(メタノール), 10% AcOH(酢酸)

脱色液:40% MeOH, 10% AcOH

2. 操作

Sample調整:抽出液: E solution=1:4になる割合で混合し、沸騰水中で5分間加熱す る。なお、抽出液は5オl用いる。

Inject: 各自が調整した上記の試料液を全てゲルにロードする。

泳動時間:約1時間要する。

染色時間:1時間

脱色:2時間-overnight

ゲル組成 12%ゲルを用いる

分離ゲル A solution 1.92mL

B solution 1.20mL

H2O 1.61mL

D solution 48オl

10% APS 24オl

TEMED 3オlを混合し、速やかに脱気し、ゲル板に注入する。

濃縮ゲル 分離ゲル上に濃縮ゲルをつくる。

A solution 325オl

B solution 625オl

H2O 1.52mL

D solution 25オl

10% APS 25オl

TEMED 5オlを混合し、速やかに脱気し、ゲル板に注入しコームを差し 込む。

電極用緩衝液

F solution 30mLにH2Oを加えて300mLにする。

試薬:

A solution Acrilamide 29.2g

BIS 0.8g

add H2O upto 100mL

B solution 1.5M Tris-HCl, pH 8.8

C solution 0.5M Tris-HCl, pH 6.8

D solution 10% SDS

E solution H2O 4.0mL

0.5M Tris-HCl, pH 6.8 1.0mL

Glycerol 0.8mL

10% SDS 1.6mL

2-mercapto ethanol 0.4mL

0.05% BPB 0.2mL

F solution Tris 15g

Glycine 72g

SDS 5g

3. 画像解析

農学部付属の情報処理施設において行う。ソフトはNIH imageを用いる。

8.発表

植物の生育というものを化学的な分析を通じて解釈してみる。特に塩処理を行って いるので処理により植物の生育・生理がどのように変動したかを解析する。

要点:

1)実験データを整理した表を作成し、それぞれのデータの特色について考察 する。

2)生長解析により植物がどのように生育したかを解析する。

3)光合成、呼吸、蒸散速度と各種無機成分、糖・デンプン、Rubiscoとの関係 を解析する。

発表時間は各班15分とし、発表後に質疑応答の時間を5分設ける。

発表形式はOHPを用いて行う。

成績

毎日出席を取ります。

発表内容と実験態度で採点を行います。

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