痛い背中
「……」
ぼんやりと考えて、ふわりと口接けする。触れるだけの優しいもの。刺激を与えないように、痛まないように。それからそっと舌を差し出す。
突然、背中に与えられた感触に、アヴドゥルは身体を震わせる。柔らかな感触の次に、生温かい濡れた感触。一体、何の感触であるのか一瞬理解できなかったが、すぐに唇と舌であるということに気がつく。
そっと、優しく傷痕に舌を這わせるポルナレフ。舌先で傷痕を辿ると、そこから毒でも染み込んでくるかのように、舌先が痺れるような気がした。その痺れに心臓が痛む。多分、ここに毒があるとすればそれは彼の痛みだから。
自分のせいで受けることになった傷の、痛み。
少しでも、その毒を取り除ければ、と思う。そうしたくて、たまらない。
「……んっ…」
何度も何度も舌を這わせる。猫が水を飲む時のような音が、シャワーの音に混じってアヴドゥルの耳に届く。見えない分、余計に想像してしまう。指も背を撫で回し、まるで誘われているようで。
「アヴ、ドゥル……」
しきりに聞こえる舌の這わされる音。それに混じって聞こえる自分を呼ぶ声。背中に感じるポルナレフの熱い吐息。ひどく扇情的なそれらにアヴドゥルは目眩を覚え、心音が早まっていくのを感じずにはいられない。
振り向いて、抱き締めて、口接けしたい。
ひどく強い欲求。
傷痕を舐め、口接けることを止めないポルナレフ。そのまま、肩胛骨をなぞるように唇を滑らせる。肩に辿りつくと少し強く口接けた。紅い痕が残ればいい、と思って。けれどアヴドゥルの褐
色の肌にははっきりとした痕はつけられない。何だか悔しい気がした。