痛い背中
アヴドゥルの腕を掴むと強引にバスルームの方へ足を向けた。逆らえず、アヴドゥルは引っ張られてしまう。何が何だか本当にわからない。ポルナレフの行動が何の脈絡もなく思えた。まあ、それはいつものことかもしれないが。
「服、脱げよ」
言いながらアヴドゥルの上着を脱がせにかかる。何だかいつもと立場が逆だな、とアヴドゥルは思うが口には出さない。ポルナレフが何をしたいのか知りたかったので、逆らわずに、従うことに決める。それに、服を脱がせてくれるポルナレフなんて滅多に見られたものではない。
「……笑ってんな」
気づいたのか、ポルナレフが言う。そこにあったのはいつものように照れた表情。そんな表情のままで、甲斐甲斐しく服を脱がせようとしていて。
こんな時に感じることではないかもしれないが、それでもポルナレフのことを愛しいと感じずにはいられない。
「…自分で脱ぐから、先に入っていてくれ」
上は完璧に脱がせて、あとは下のみ、というところでポルナレフの手が止まってしまったことに気づいて、そう言った。ポルナレフの顔が紅い。アヴドゥルの言葉に小さくわかったと返事をして先にバスルームに姿を消す。それから少しあとに、ドアがちょっと開いて服が放り出された。
一体どうしたというのか。
アヴドゥルにはポルナレフの考えがまったく読めない。とりあえず、服を完全に脱ぎ、髪を解くと、既に水音がし始めているバスルームのドアを開けた。水蒸気がふっと顔にかかる。そこにいたポルナレフの姿にかけるべき言葉を呑み込んだ。そこにあったのは、普段とは別人に見える髪を下ろした姿。
綺麗な銀の髪が、水滴を伴って肌に張りついている。