痛い背中2

痛い背中


「……ポルナレフ?」
  部屋に入ってドアを閉めた途端、後ろからポルナレフが抱きついてきた。突然のことに驚くアヴドゥル。背中にポルナレフの顔が押し付けられているのがわかって、動けない。ポルナレフが何を考えてこんなことをしてきたのかわからないが、嬉しくないわけがなかった。背中に感じるポルナレフの存在にふっと顔が緩む。
  それでも、やっぱり気にならないわけがない。
「どうしたんだ、ポルナレフ?」
  問い。答えは返ってこない。沈黙。
  アヴドゥルは根気よく待つことにした。そんなに長く沈黙していられる男ではない。もう少し待てば、きっと話し出す。そんな確信にも似た思いで待った。と、抱きついてきた時と同じように突然離れる。微かな熱だけを残して、ぱっと消えたポルナレフの感触。振り返ると、ポルナレフが何か思い詰めたような顔して視線を向けてきていた。すぐにそれは伏せられてしまったが。
「ポルナレフ?」
「……アヴドゥル、一緒にシャワーを浴びないか?」
  なんだか今日のポルナレフの行動はまったく読めない。抱きついてきたかと思えば、一緒にシャワーを浴びようなどと言い出した。少し混乱するのを、アヴドゥルは感じる。
「何を言っているんだ、お前は……」
 嬉しい申し出だが、絶対におかしいと思う。ポルナレフはこんなことを言い出す奴ではない。いつも自分とふたりきりで話す時は、照れたように視線を伏せて、それから笑うのだ。それなのに、今日は唐突にシャワーを浴びよう、と言い出した。
「いいから、浴びようぜ」


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