以下は http://www.social.gouv.fr/htm/actu/autisme/ L'autisme: evaluation des actions conduites (1995-2000) 自閉症についての活動評価報告書(1995〜2000年) 議会報告 (1996年12月11日法) 仏政府 雇用・連帯省 社会事業局 2000年12月 のファシリテイテッド・コミュニケーションに関する記述 http://www.social.gouv.fr/htm/actu/autisme/langage.htm のa) を訳したものです ++++++++++++++++++++ 添付書類T:自閉症に関する最近の情報と見解 W.治療方法および特殊教育方法の多様性 4 言語およびコミュニケーションに関する治療法 a) ファシリテイテッド・コミュニケーション ファシリテイテッド・コミュニケーションは、1979年、オーストラリアのローズマリー・クロスリーにより、ことばの表出に影響を与える脳機能障害を持つ子どものために開発された。その後、ダグラス・ビクレン(Biklen, 1990)により米国に紹介され、自閉症児にまで範囲が拡大された。ヨーロッパにおいて、その方法が用いられるようになったのは最近のことであり、よりさまざまな対象児・者に用いられている。 ファシリテイテッド・コミュニケーションは、「道具を用いることによって表現されるコミュニケーションであり、他者の補助に依存するもの」と定義されている。「ファシリテイター」から身体的・情緒的な補助を受けることにより、ことばに問題がある人のコミュニケーションを増やすことにその主な目的がある。ファシリテイターが指を支え補助することで、キーボードを押しながら、文字がつづれるようになる。 この方法の支持者にとっては、「自閉症の人に秘められた真の能力の奇跡的な発見」(Vexiau, 1984)ということになるだろう。しかし、ファシリテイテッド・コミュニケーションを行っている自閉症児・者を対象とした45の研究(対象者数は合計359名)の展望論文によれば、わずか23名の事例、つまり6%にしかコミュニケーションの改善が認められていない(Howlin, 1994)。この改善された事例でも、改善の効果は微弱であり、「語」単位で用いた場合に限られている。米国心理学会は、1994年に、「ファシリテイテッド・コミュニケーションには賛否両論があり、その有効性を裏付ける証拠がない」と結論づけている。 以上のように、科学的妥当性を欠くにも関わらず、子どもに改善が見られたとする親がおり、専門職の中にも熱心な人がいる。