対の洪水とハードディスクの値上がりの因果関係

2011年は災害の年でした。
日本では東日本大震災、アメリカでは竜巻の発生、オーストラリアの干ばつ、そして東南アジアでは大洪水が発生しました。

東南アジアの大洪水は、日本の企業の工場も被災したこともあって
大々的に報道され、日本人の関心を集めましたが、
洪水の陰で大きな値上がりをしたものがありました。

そではハードディスクです。
ハードディスクは専らパソコンに搭載されるものと思われがちですが、
現在はブルーレイレコーダー、テレビ、ビデオカメラ、携帯用オーディオプレイヤなど
様々なものに搭載されるに至っています。

世界的にも需要が年々伸びているこのハードディスクの3分の1が
東南アジアのタイで製造されていたのです。

日本のハードディスク市場も品薄になると見るや否や、
価格が三倍まで膨れ上がり、一般の人は手を出せない状況になりました。

しかしながらここで一つの疑問が生じます。
3分の1が製造できなくなっても、残りの3分の2がフル回転で稼働すれば
そこまで値上がりしないのではないのか、ということです。

そのため、中国を生産拠点とするハードディスクメーカーが
便乗値上げをしたと一部の消費者に批判されていました。

しかし、理由は別にあったのです。
ハードディスクは内部の記憶版がモーターで高速回転してデータの読み書きを行います。
そのモーターの世界トップシェアを担う日本の企業がタイで被災したのです。
そのため、今後の部品調達が困難になると予想され、市場が動いたのです。
便乗値上げを全く否定することはできませんが、この点の影響が大きいと思われます。

ここで問題とすべきは便乗値上げでなく、
部品の一部が供給不足になったことで価格が不安定になる生産体制だと思われます。
日本の東日本大震災で起こった、自動車の生産ラインの停止と同じ問題が世界でも起こっているのです。

今回はハードディスクという生活必需品ではありませんでしたが、
これがライフラインにかかわる物資であるとしたら、安穏としてはいられません。

グローバル社会は世界の分業を露呈しています。
それだけ世界が繋がるようになったのであれば、リスクも世界中で繋がるのです。
リスクだけでなく、解決策も世界で共有できるような体制が望まれます。

This article was updated on May 27, 2022