樋口康雄 (Yasuo Higuchi, 1952-)
[ja]
for (Chamber?) Orchestra + Solo Piano
"Orientation"(シリーズ)の系譜。
ここに挙げたどの編曲とも異なる unique な存在です。
KsvRでは、初演コンサート全体のCD化、そして再演を望んでいます。
unavailable (not published)
unknown
本表のうち、LPだけではわからない情報、すなわち、FM東京の放送とLPとの時間比較、[P2]部分が[P2]であること等、FM東京の放送(≒実際の演奏)内容に依存する情報は、音楽の羅針盤 天沢様にご協力頂きました。感謝申し上げます。
music | FM東京放送 | LP "DOUBLE FOCUS" | description | |
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演奏順 [演奏時間] | 収録順 [収録時間] | title | ||
[P1] | 1 [0'52] | 1 [0'52] | プロムナード | 高速。終始Str.のpizz.。和声やリズムを一部弄っている。低弦にBartok pizz.あり。楽しい! 例えるならば、チャイコフスキーの第4交響曲第3楽章の雰囲気。 |
[Gnomus] | 2 [1'52] | 2 [1'52] | こびと | PfソロとオケとStr.pizz.が入れ替わり登場。 |
[P2] | 3 [0'56] | (cut) | (タイトル未記載) | (pizz.でない)弦楽合奏とのこと。 |
[castello] | 4 [4'08] | (cut) | 古城 | |
[P3] | - | - | ||
[Tuilleries] | 5 [0'51] | 3 [0'51] | チュイルリーの庭 | Pfがキラキラ。チュイルリー庭園の噴水を表しているかのよう。 |
[Bydlo] | - | - | ||
[P4] | 6 [0'35] | 4 [0'35] | (タイトル未記載) | 次曲移行部を除き終始Str.のpizz. |
[Balet] | 7 [1'21] | 5 [1'21] | 卵のからをつけたひなの踊り | 2回に増えた中間部でPfが爆裂する!この編曲の白眉だと思う。 |
[Samuel] | - | - | ||
[P5] | 8 [0'38] | 6 [0'38] | (タイトル未記載) | アルペジオ付のPfソロで始まりオケの応答。掛け合いが終わったら終了。[P2]のような雰囲気。 |
[Limoges] | - | - | ||
[Catacombae] | 9 [1'30] | 7 [0'45] | カタコンブ | LPのライナーノーツには未収録のように書かれているが、実際は前半を収録、後半をカット。 後半は、Pf中心で、所々控え目にHrn.やStr.が和音を添えるとのこと。 |
[mortuis] | - | - | ||
[Baba] | 10 [3'16] | 8 [3'16] | バーバ・ヤガーの小屋 | Pfが炸裂する! |
[Kiev] | 11 [3'13] | 9 [3'13] | キエフの大きな門 | コラール後、プロムナード主題に至るまでのPf裏メロに感動! |
date | player | title | venue | description |
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1984.03.09T18:30 | 金洪才 : 友田啓明合奏団 + 高瀬アキ(Pf) | ELLIPSE MUSIC '84「さあ楕円音楽会だ。」 | 簡易保険ホール (東京:五反田) | 初演/録音(Premiere/Recording) 放送: FM東京 1984.06.07 21:00-21:55「[TDK]オリジナル・コンサート: さあ、楕円音楽会だ!」 発売: "DOUBLE FOCUS" (LP: VAP: 30141-25; Tape: VAP: 50141-25) |
「楕円音楽」というのは、楕円が2つの焦点を持つように、2つのジャンル・カテゴリーの音楽(ここではクラシックとジャズ)が共存する音楽。
クロスオーバー
や
フュージョン、
メルティング・サウンド(死語; ジャズ+クラシック)
は1つのジャンルを基底として他ジャンルを「融合」するものであるが、楕円音楽では対等に両立させる(一方から他方に対して優位性を持たせない)。
あくまで、クラシック音楽奏者はクラシック音楽を、ジャズ奏者はジャズを演奏する。
「楕円音楽会」は、LPライナーによると「楕円クラブ」が企画したコンサートとのこと。(恐らくラグビーとは関係ない?)
「音楽現代」記事の内容から、中心人物は恐らく、LPライナー(1984.03.20付)の執筆者でもあるジャズ系の音楽評論家 悠雅彦 (Masahiko Yuh; 1939-) 氏ではないかと思われる。
楕円音楽会の曲目(演奏順不明):
楕円音楽会の模様は、FM東京の「[TDK]オリジナル・コンサート」において、1984年6月7日と14日の2回に分けてラジオ放送された(下記「資料」の新聞情報を参照)。
TDKオリジナル・コンサートは、1971年から1987年にかけて放送された全785回の番組とのこと。お話(解説・DJ)は音楽評論家 丹羽正明氏。
下記「参照」に掲載したTDKコアの保存音源情報(FM東京提供)に従えば、このコンサートの録音テープは残っていないということになる。
現在権利を持っているのは日本コロムビア?
9(金)
岡本愛子ピアノ・リサイタル
7.00 日本都市センターホール
清宮祥子ピアノ・リサイタル<ショパンの夕べ>
7.00 イイノホール
さあ楕円音楽会だ
6.30 五反田・簡易保険ホール
音楽劇<兵士の物語>
6.30 東京日仏学院ホール
[略]
悠 [略]
にもかかわらず、ジャズならジャズ、クラシックならクラシックと型にはまったコンサートばかり日本では行なわれている。 もっと発想の違う音楽会もあっていいんじゃないかということで今度の企画になったわけですよ。
[略]
そこで我々もそういう音楽会をやってみようじゃないか、新しい形の音楽をつくってみようじゃないかということで、今回の「楕円音楽会」となったわけです。 じゃ、どんなメンバーでどういう曲がいいかと問題になる。[略] それで結果として漆原さんや樋口さん、元厳本真理クヮルテットでヴィオラをやっていらっしゃった友田啓明さん、それとジャズ・プレーヤーのアルビ・ズッティ他の皆さんに第一回目として集まってもらったわけです。
"楕円音楽会"という名前はちょっと変わっているけれども、要するにジャズならジャズ、クラシックならクラシックという中心が一つの円のコンサートではなく、 中心を二つもつ楕円のようなコンサートというつもりでこういう名前がついたわけですね。
[略]
樋口 ただ、クロスオーバーとかヒュージョン音楽とは違って、あくまで核は二つもっていたいのです。 今回ぼくは編曲も担当していて、ムソルグスキーの「展覧会の絵」をアレンジしなければいけないのですが、 まあ、これまで例えばロック・グループのエマーソン・アンド・レイク・パーマーとかいろんなプレーヤーが編曲していますけれども、 それはあくまでも、クラシックの曲を材料にしたにすぎないわけで、今回はクラシックの人はあくまでクラシックで、 ジャズの人はあくまでジャズをやるということで、それを結びつけるのはとても難しいわけですね。 ただ曲の中では一方がもう一方に近寄ったりはするでしょうけどね。
[略]
●「さあ楕円音楽会だ」=3月9日(金)午後6時30分、五反田簡易保険ホール。
●出演=友田啓明合奏団、金洪才(指揮)、漆原啓子(ヴァイオリン)、高瀬アキ(ピアノ)、アル・ビズッティ(トランペット)
●プログラム=「リターン・トゥ・フォーエバー」(チック・コリア作曲、三枝成章編曲)、「アランフェス協奏曲」(ロドリーゴ作曲、大島ミチル編曲)、「展覧会の絵」(ムソルグスキー作曲、樋口康雄編曲)、「ボレロ」(ラヴェル作曲、三枝成章編曲)、「ヴァイオリン協奏曲(KOMA)」、(樋口康雄作曲)、「トランペット協奏曲」(樋口康雄作曲)
7日(木)
[略]
6.30 高校通信講座「英語I(入門・前・後)、地学、世界史」
8.48 現代文明論◇56ワールド[N]
9.00 ★ オリジナル・コンサート↵ 「さあ、楕円音楽会だ!」ラベル「ボレロ」トランペット…ビズッティ▽ムソルグスキー 組曲「展覧会の絵」(20分40)[ほか] ピアノ…高瀬アキ 指揮…金洪才 友田啓明合奏団(3月9日 東京・簡易保険ホール)
10.00 ★ サウンド・マーケット↵「U2ライブ!」サレンダー▽アン・キャット・ダブ▽ブラディ・サンデイ▽アイ・フォール・ダウン▽アイリッシュ・オクトーバー▽ニュー・イヤーズ・デイ[ほか](82年ロンドン・ハマースミス・オデオンで収録)
10.55 音楽情報
11.00 デジタル・サウンド「松田聖子集」ロックン・ルージュ[ほか] 椎名誠
[FM東京↵80.0 MHz]
[略]
6.30 高校通信教育講座
8.48 現代文明論◇56[N]
9.00 ムソルグスキー(樋口康雄編)「展覧会の絵」高瀬アキ↵ 指揮=金洪才◇55[N]
10.00 U2ライブ「サレンダー」「ブラディ・サンデー」「ニュー・イヤーズ・デー」
11.00 松田聖子集
[FM]
オリジナル・コンサート↵ FM東京 夜9.00 今週と来週の二回にわたり、ジャズとクラシックの共演で話題を呼んだ異色のコンサート「さあ、楕円音楽会だ!」のステージのもようを再現する。 曲は、高瀬アキのピアノ独奏と金洪才指揮・友田啓明合奏団の演奏でムソルグスキー作曲、樋口康雄編曲の「展覧会の絵」ほか。
14日(木)
[略]
6.30 高校通信講座「英語I(入門・前・後)、地学、世界史」
8.48 現代文明論◇56ワールド[N]
9.00 ★ オリジナル・コンサート↵ 「さあ、楕円音楽会だ!」樋口康雄「トランペット協奏曲」(23分46)トランペット…ビズッティ▽シューマン「子供の情景」から トロイメライ[ほか] 指揮…金洪才 友田啓明合奏団(3月9日 東京・簡易保険ホール)◇[N]
10.00 ★ サウンド・マーケット↵「クリストファー・クロス・ライブ!」 愛はまぼろし▽忘れじのローラ▽オール・ライト[ほか](83年8月12日 ロサンゼルス "ユニバーサル・アンフィシアター" で収録)◇55音楽情報
11.00 デジタル・サウンド「ビリー・ジョエル集」ロンゲスト・タイム[ほか]
[FM東京↵80.0 MHz]
[略]
6.30 高校通信教育講座
8.48 現代文明論◇56[N]
9.00 樋口康雄「トランペット協奏曲」↵アル・ビズッティ↵指揮=金洪才◇55[N]
10.00 クリストファー・クロス・ライブ「愛はまぼろし」「セーリング」「風立ちぬ」
11.00 ビリー・ジョエル集
[FM]
オリジナル・コンサート↵ FM東京 夜9.00 先週にひき続いてジャズとクラシックの共演で話題を呼んだ異色のコンサート「さあ、楕円音楽会だ!」から聴く。 三月九日、東京・簡易保険ホールで収録。曲は、アル・ビズッティのトランペットと金洪才指揮・友田啓明合奏団の演奏で樋口康雄の「トランペット協奏曲」ほか。
7日〈木〉
[略]
6.30 高校通信教育講座 英語Iほか
8.48 現代文明論◇56ワールド[N]
9.00 ◆オリジナル・コンサート<さあ、楕円音楽会だ!①>ムソルグスキー/展覧会の絵(20分40秒) [演]高瀬アキ 金洪才指揮友田啓明合奏団[ほか](3月9日東京・簡易保険ホール)[話]丹羽正明◇[N]
10.00 ◆サウンド・マーケット<どきどきライブ21⑤~U2ライブ!>サレンダー▽アン・キャット・ダブ▽ニュー・イヤーズ・デイ▽グローリア▽ファイアー▽セレブレイション[ほか](82年ロンドン・ハマースミス・オデオン)
11.00 デジタルサウンド<松田聖子集>ロックン・ルージュ[ほか]
14日〈木〉
[略]
6.30 高校通信教育講座 英語Iほか
8.48 現代文明論◇56ワールド[N]
9.00 ◆オリジナル・コンサート<さあ、楕円音楽会だ!②>樋口康雄/トランペット協奏曲(23分46秒) [演]アル・ビズッティ 金洪才指揮友田啓明合奏団[ほか](3月9日東京・簡易保険ホール)◇55[N]
10.00 ◆サウンド・マーケット<どきどきライブ21⑩~クリストファー・クロス・ライブ!>愛はまぼろし▽忘れじのローラ▽セイリング▽オール・ライト▽風立ちぬ(83年8月12日ロサンゼルス・ユニバーサル・アンフィシアター)
11.00 デジタルサウンド<ビリー・ジョエル集>あの娘にアタック[ほか]
[略]
この "重要なポイント"、あるいは "面白さ" を、楕円という概念を用いてほんの少々だけ説明しておきたいと思う。 というのも、このアルバムは「楕円クラブ」の企画によるコンサートの実況録音盤であるが、過去の一元的な考え方とは違った新しい発想で、音楽をもういちど捉え直し、それを現代に解き放ってみよう こうした意図のもとに結集しあったメンバーのアイディアがこのコンサートで実を結んだというばかりでなく、ここでの音楽の面白さや新鮮さの秘密を解く鍵が、まさにそこにあるといってよいからである。
[略]
図みに、当夜のコンサート(3月9日、簡易保険ホール)では他に、 ●リターン・トゥー・フォーエヴァー(チック・コリア作曲/三枝成章編曲/友田啓明弦楽五重奏団演奏)、 ●ボレロ(ラヴェル作曲/三枝成章編曲/アル・ビズッティとオーケストラによる演奏)、 ●ヴァイオリン協奏曲"KOMA"(樋口康雄作曲/漆原啓子とオーケストラによる演奏)、 それにアンコール曲として ●トロイメライ(シューマン作曲/樋口康雄編曲)等が取りあげられたが、LPレコードの時間的制約上、以下の3曲が本アルバムに収録されたのであった。
≪Side A≫
①アランフェス協奏曲
ホアキン・ロドリーゴが作曲したギター協奏曲の第2楽章で、ジャズでも名演が少なくない。[略]
フィーチュアされるのはアル・ビズッティと漆原啓子。[略]
②展覧会の絵
これも、ジャズはもちろんロックでも演奏されるムソルグスキーの1874年の名曲で、高瀬アキがフィーチュアされる。
[略] 樋口康雄は全10曲の中から「こびと」、「古城」、「チュイルリーの庭」、「卵のからをつけたひなの踊り」、「カタコンブ」、「バーバ・ヤガーの小屋」、「キエフの大きな門」の7曲を選んで編曲しているが、 弦のピッチカードだけで冒頭の有名な「プロムナード」のモティーフを処理するなど、随所にすばらしい編曲手腕を発揮した。 現代の最も注目すべき若い作編曲家である。 なお、ここでは「古城」と「カタコンブ」を除く作品が収録されている。
≪Side B≫
①トランペット協奏曲
樋口の最も新しい作品の1つ。1983年1月15日ニューヨークで、日野皓正が吹いて初演した3楽章形式のコンチェルト。[略] 1984年3月20日 悠 雅彦
【ORIENTATIONについて】
[略]
本作について樋口は次のように述懐する。 「ここでいう "オリエンテーション" の意味は、いわゆる "オリエンテーリング" ということではなく "鳩の帰巣本能" とか "東を向く" という意味を表しています。 当時から僕は常にベクトルを気にしていたんですよ。 また "オリエンテーション" というのは、実は特定の曲を指すものでなく、シリーズタイトルといった意味合いを持っているんです。 ここに収められた作品以外にもいくつかありまして、 このあとが日野皓正やアル・ビズッティらに演奏される「トランペット協奏曲」、それに「展覧会の絵」の編曲も同じ系譜に並ぶものです。 そして、もう1曲、チック・コリアのために書いた「Mi」という作品があります。 ロスにあった彼の事務所で打ち合わせたのちに書き上げたんですが、結局未発表に終わっているものです。 その後も次々とシリーズ化したかったんですが、現状はそこまでで中断しています。 [略]」